バンテージ・ポイント
2008年 04月 13日

年に何回かあることだが、筆者の早とちりから思わず作品を妙に違った方向に勘違いしてしまうものがある。この作品もそういう意味では鑑賞前には大いなる勘違いをしていたために、大きな意味で裏切られた。但し、裏切られ方が悪いわけではないから、まぁ作品としては楽しめたというのが、全体の感想である。但し、予め申し上げておくが、評価は余り高くない。
この作品は、果てしなくドキュメントに近いフィクション作品であると勝手に思っていた。事実、事前情報で得た映画関係の雑誌等には、それらしい下りが多かったし、しかも勝手に単館上映作品だと思っていたから、近所のシネコンで観られると知ったときは少々驚いた。だが、長々映画ファンをやっているのなら、キャストを観た段階で「ドキュメントに近いフィクション」であるとは思ってはいけないはずだ。迂闊であった。
但し、作品の構成としては、11時59分58秒からを繰り返すこの方法はある意味で短編集の様な趣向もあり、これはこれで良いと思ったが、但し、時間軸が多少違うのか(この部分はDVDを買って復習しなければ)不自然な繋がりがあった点は歪めない。この方法を取るのであれば、時間軸を象徴する何かひとつの「タイムキーパー」を存在させるべきであった。例えば、折角中継車から始まっているのだから、テレビキャスターの文言をその時間軸の基準としておけば、その「決まり文句」を何度も聞くことによって、鑑賞者は、この様々なポイントがそれぞれどう動き、どうリンクしているかということをもっと明確に分かったはずである。勿論、この表現法でも、作品自体が複雑ではないから別に見落としているというものはないが、逆に、そういうタイムキーパーを作ることで、もっと見落としがないかという臨場感を鑑賞者に味わってもらえる効果を作り出せたはずだ。この点は大変残念である。
それから、ラストへもっていく流れの中で、それまでの内容を全部払拭してしまう展開はどうなのかと思う。簡単に言えば、カーチェイスのことだ。なんだ。これがやりたかったのかっていう伏線は、ハワード(フォレスト・ウィッテカー)が家庭ビデオカメラを撮影しながら追跡する辺りでお決まりになりそうだって分かってしまうんだが、まだ、このあたりではドキュメントっぽさを残していたのに、やっぱり最後でここまで積み重ねたものを全部投げ出してしまったと思う。この点は残念だし、もっとうまい繋げ方はなかったのかと、今現在では筆者にも浮かばないが、これも後で復習の楽しみとして残しておきたい。
筆者的には、デニス・クエイドが良かったかな。このところ何か代表作が無かったし、筆者的には「エデンより彼方に」以来、何かピンと来るものがなかったのと、作品には出ているのだが日本未公開が結構多かったので、彼がスクリーンに出てきたときはシガニー・ウィーバーと同じように驚いていたと思う。あと、前出のウィッテカーは良かった。あと、「ミュンヘン」に出ていた、アイェット・ゾラーが出ていて、中々目を引いてしまう素敵な女優さんだと思う。
前述したが、折角中継車が入っていたのに、ここからの展開がなかったのも残念。勿論ストーリーとしては悪くはないと思うので、ドキュメントタッチ版「ボディガード」とでも言えばよいのであろうか。筆者的には見事に裏切られたが、ドキュメントも娯楽も好きな人には、実は1本で2倍楽しめる作品なのかもしれない。
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| 2008-04-13 23:55
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