暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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<   2006年 02月 ( 4 )   > この月の画像一覧

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ミュージシャンの映画化というのは色々な意味で興味がある。しかし、個人的には昨年レイ・チャールズが映画化された時に、「ああ、このジャンルってもう誰でもいいんだァ~」と、半ばとても残念な気持ちになっていたが、その後は、ボビー・ダーリンと、今回のジョニー・キャッシュというように、やはり、作品化されるべくして出てきた題材・人選である。特に、このジョニー・キャッシュは、ミュージシャンの鑑である。ミュージシャンの映画作品化というのは難しく、彼等には「音楽」という輝かしい歴史がある一方で、イコール私生活が輝かしいものではない。特にアメリカのミュージシャンは必ず「ドラッグ」との遭遇がある。冒頭でレイのことをああいう言い方をしたのは、彼の偉大な音楽家としての功績を全て引っぺがしてまで、赤裸々に全てを曝け出してしまうことに何の意味と芸術性があったのだろうかと思ったからだ。そこまでして、レイを映画化することに何の意味があるのだろうかと。

ジョニー・キャッシュは多分、日本ではそんなに知られていないミュージシャンである(筈だ・・・)。但し、ロカビリーやGS時代にミュージシャンやその関係者には多大なる影響を与えている筈だ。プレスリーやビートルズ、ボブ・ディランなども、彼から受けた影響は大きいとインタビューで聞いたことがある。筆者の音楽遍歴は、彼が活躍していた頃より少し後からなので、「プログレッシブ・カントリー」という新しい定義の音楽を完成させたり、寧ろ、ジョニー・キャッシュとジェーン・カーターはカントリー界の鴛鴦夫婦だという印象の方が強かった。更に言えば、このミュージシャンの役を誰がやるのだろうと大変興味を持ち、それがあのホアキンだと分かったとき、正直、幼年の頃に仲良しだった兄を事故で失ったという事しか共通項が無かった程意外に思った。しかし、同時にのまた、「ホアキンならやつてくれる」と思ったのも事実である。

その期待はものの見事に的中、ホアキンの演技と歌は素晴らしかった。ジョニー・キャッシュって、もっともっと骨太なミュージシャンだと言う印象が強かったので、ホアキンは少し線が細いかなと思いきや、どうしてどうして、中々のパフォーマンスは心に残るものが多かった。拍手である。「ビヨンド the シー」のケビン・スペイシーが、単にミュージシャンの物まねではなく、ひとつの一大エンターティメントを確立させた演技を演じてしまったからというもの、どうしても、この分野の作品は、それと比較せざるを得ないのだが、このホアキンのキャッシュは、また、ひとつ違った新しい「ミュージシャン映画に於けるミュージシャン役のアプローチ」と言えるのではないか。勿論、それ以外の部分では演技巧者としての実績を持っている人だから、大概は安心して見ていられたが。

一方、ホアキン以上に評価が高く、オスカーの呼び声の高いリーズ・ウィザースプーンの方は、吹き替え無しの歌はなかなか良かったが、それ以外の演技には卓越したものは感じなかった。同時に残念ながら、さげまんの私生活がダブったのか、ホアキンがラブコールをしたりとか、結婚生活が上手く行ってないとかという台詞に勝手に反応してしまった。やはり、女優さんは役柄と私生活は大事だと思ってしまう。
そんな訳で感情移入が出来なかったのが残念。正直、この作品の良さを半減させてしまったのだと思う。リーズといえば、コメディ女優であり、昨年はオスカー狙いの「悪女(Vanity fair-日本未公開)」がカスってしまい、二年連続のオスカーチャレンジとなったが、正直、この作品も演技も、「コメディ・ミュージカル部門」での評価に過ぎないというのが筆者の結論である。ホアキンは、まだ他のノミネート作品、特に「ブロークバック・マウンテン」のヒース・レジャーを観ていないので何ともいえないが。過去のオスカー、例えば、昨年の主演男優賞と比べたれば、たまたま同じミュージシャン役であるが、ホアキンの方が賞に相応しい。

また、作品タイトルの「まっすぐな道」というのが、ジェーンに対してだけという部分に終始してしまったのは残念。しかし、同時に色々な部分を描こうとしたのでなく、単に幼き頃ラジオの歌声に憧れたジョニーの「初恋」を貫き通した部分だけを物語の骨子に持ってきたのは、136分の時間でジョニー・キャッシュを語ることには成功したのだと思う。そう、この映画はミュージシャン自伝作品でなく、男の恋の物語である。「これだけ誰かに思われたら・・・」という女性陣には堪らない作品ではないか。


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by turtoone | 2006-02-18 22:41 | 映画(あ行)

オリバー・ツイスト

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余りにも有名なチャールズ・ディケンス作品の映画化である。余りにも有名なというのは、一般的に読み物としてというよりも、エンタティメントの世界で余りにも・・・ということである。特にこの世界では過去に色々な形で何度も作品化され上映された。こういう表現をすることにやりやすい内容なのかと思いきや、実は、筆者が知る限りこの作品も、また、別のディケンスの作品も物語として表現し易いものだとは思わない。ただ、それはディケンスという作家とその作品の意図と裏に潜むものを発覚してしまうとそう思ってしまうだけで、実は、案外単純なストーリーじゃないって思えば、その通りであるともいえる。そして、今回の作品化は、そのどちらの部分をも満足させられる内容であった。

まずは、19世紀ロンドンの再現が見事である。街並みの特に建造物、道路、人々の衣装、それぞれの店舗といい、これだけで鑑賞の価値はある。この再現セットとその中で生きる人々達を見て、筆者は同時代の日本、つまり江戸の町に似ていると思った。喧嘩や、人の活気、行きかう掛け声など、この再現セットには近世の人たちの息吹が強く伝わって来る。別段、江戸末期に生きていた訳ではないが、その辺りの雰囲気は容易に伝わって来る。又、花火や花見が江戸人の楽しみだった様に、一方で絞首刑が市民の楽しみなんていうのは残酷で如何にもヨーロッパらしいが、人間の歩んできた道というのは内面的にいうと、世界中どこでも、余り変わらないということが良くわかる。アメリカなんかは「ボクシング」というスポーツに象徴される市民の楽しみが、やはりこの時代には流行しているのも人間の歩みの中で地域が異なっても、同時進行している部分である。例えば、中世という時代が世界中どこでも、残酷で残虐だった様に、この時代というのは、徐々に民衆の時代になっていったのが良く分かる。

一方で、作品を装飾する部分で救貧法の施行や、市民法廷などがしっかり風刺されているさまが笑えた。ディケンスという作家は冒頭で能書きを言えるほどそんなに色々読んだ訳ではないが、時代を嘲笑することに大変長けている作家である。この作品もこういう沢山の時代背景というサブテーマが語られていて、その辺りから察する当時の大英帝国の矛盾を仄めかしている独特の組立ては大変面白い。しかし、実は、そんなことはどうでも良く、要は少年オリバーの純心な振舞いだけを追いかけていても、十分ストーリーとして成り立ってしまうところが、何を隠そう、このロマン・ポランスキーという映画監督の「見せ方の妙」なのである。正直、単純なストーリーなのではなく、戯曲や脚本として成り立つディケンスのアクの強い部分は、この作品ではポランスキーの白いハンカチに包んで、ワン・ツー・スリーとマジックで変えてしまったというところであろうか。ポランスキー監督作品に関しては、「戦場のピアニスト」は今一つ、作品全体を通してテーマが絞り切れていないように映ったから余り評価は高くなく、筆者にとっては寧ろ「テス」。しかし、好き嫌いでなくどちらが彼の代表作かと言えば、今後筆者は間違いなくこの「オリバー・ツイスト」という作品をあげたい。「テス」はナスターシャが出ているので、所詮「好き嫌い」では比較にはならないのだが…。

ベン・キンスグレーは最初、ジェフリー・ラッシュかと思った。「ガンジー」といい、「シンドラーのリスト」といい、同一俳優が演じていると思えない。筆者的には淡々と鑑賞は進み、満足しながら何事もなかったように終わったが、小五の次女は何度も涙していた。この作品鑑賞も彼女の都合に併せたので公開から少し遅れたが、少年が主役の作品だけに、筆者には分からない感動の部分があることを知った。くどい様だが、ロンドンの街並みを観るには、当然のことながらシアターでの鑑賞をお薦めしたい。


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by turtoone | 2006-02-17 23:44 | 映画(あ行)

フライトプラン

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予告編効果の高い作品だった。実は、公開週に観賞したのだが、然程インパクトが無かったのと、アフターワークで睡魔との戦いだったので、きちんと評価出来ないと思ったのでレビューを書いていなかったのだが、少し時間があったので記事を挙げておこうと思った。予告だけで鑑賞してしまう作品は多く、これもそのひとつだが、予告編が大事だなぁと思うのは、正直、邦画などで予告編だけで「見たい」思った作品は数少ないのに(昨年は「星になった少年」くらい・・・?)ハリウッドは、ついつい騙されるのである。「フォーガットン」、「アイランド」などと同じで、この作品もそうであった。

但し、残念ながら予告編から想定できる様なもの凄い展開はない。ネタバレするのも早く、仕掛けが分かってからは興醒め(というか、わざとらしい引っ張りがあったりするので、展開も悪くなった)し、逆の意味での予告編効果から、次の展開が安易に想定できる。まさかここまで狙ってはいないだろうから、作品の内容に比べ、予告編で色々見せ過ぎた観もある。もっと裏があると思いきや、そうでもないので正直満足感が少ないのかも知れない。

しかしながら、映画というのは、物語だけでなく、他にも見るべき物も結構あって、この作品においてはまずは美術。飛行機のセットは感動モノである。又、こんなセット空間の中で、力一杯演技をしてくれた、乗客エキストラ(邦画やテレビ番組でいうエキストラとは違い、ハリウッドのレベルは、一人一人がステイタスの高い役者である)の面々。セットと演技の相俟った素晴らしい「仕事」である。正直、これらのシーンの撮影は大変だったと思うと、物語の展開より、そちらを結構くまなく見ることができたので良かったのかもしれないと納得している。

演技のことでいえば、ジョデイ・フォスターであろう。彼女の渾身の演技も凄かった。「母親」である。ここのところ映画鑑賞という土壌では、父親役に感動することが多かったが、この「強い母親」は良かった。「母」とは元来強いものである。原始女性は太陽であったとかなかったとかでなく、子供の愛し方も心で応対する男親にくらべ、女親は子宮で応対する。だから母の愛は無条件である。だが、その無条件な愛を映像描写できた作品はそんなに多くない。そういう意味では。このジョディ・フォスターは「凄かった・・・」。但し、ジョデイに関して言えば、作品に恵まれているとはいえない。「ハンニバル」を蹴って「パニックルーム」に出て以来、作品には恵まれていないといえよう。「ロング・エンゲージメント」のチョイ役は良かったが…。しかし、筆者は今でも彼女がミスアメリカであることを信じて疑わない。例えば、今後の彼女の役どころであるが、初の女性米大統領候補役(残念ながらまだフィクション)とか、アメリカでなければ、イギリスのサッチャー首相とか、ここのところ、リベリアやチリでも初の女性大統領が選出されている。そう、ジョデイには女性大統領役が似合うのではないか?

正直途中で不覚にも居眠り(妖怪大戦争以来、作品に陳謝)。そのときに良い場面を見逃したかなぁ?


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by turtoone | 2006-02-05 12:58 | 映画(は行)

ミュンヘン

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この事件は筆者もリアルタイムで記憶している。いつかはこの事件が作品化されることを当時から信じて疑わなかったが、まさか、大御所スピルバーグ程の大物がこのテーマを扱うとは夢にも思わなかった。だから、この作品化の第一報を聞いたときから、近年、稀にみるほど自分の中で公開が待ち遠しい作品であった。公開直前にオスカー作品賞ノミネートの吉報も入り、まさか、監督賞は考えていたが、作品賞(尤も、今回は作品賞と監督賞のノミネートが同一)とはオスカー委員の傾向としては意外だった。ミュンヘン五輪の悲劇は自分の生活にもリアルタイムに直結していたので、例えば、「浅間山荘」や「よど号ハイジャック」よりも鮮烈に覚えている。丁度、父がドイツへ行って、この五輪開会式その他の観戦する予定だったので、家族でも心配していたり、この事件の後も、競泳選手スピッツを始め、多くの有名選手、メダル有望なユダヤ系が途中帰国するというハプニングもあった。五輪が終わってからも様々な問題が発生し、筆者の中で政治とスポーツが密接だと初めて知った出来事で、スポーツが純粋な世界で行われているという希望を打ち砕かれた事件でもあった。

それだけではないが、スピルバーグがこのテーマをどういう描写、また、どの辺りをクローズアップさせるのかは大変興味の多い作品であった。作品の冒頭は、実写との組み合わせが絶妙でありこの辺りの掴みは大変見事である。スピルバーグは兎に角「掴み」がうまい。時代考証も良く、自身が鮮烈に記憶しているミュンヘン五輪の1972年時に一気に引き戻された感覚であった。その後、五輪事件のシーンは断片的に、しかもフラッシュ・バック方式と主人公(エリック・バナ)の回想と相俟って物語が進行していく重要なファクターとして使用されている。しかしこの作品で大事なことは、その表現手法でなく人間がごく普通の人間として生きられるかどうかという主題について、それが自分の一生涯の中で完結することがなく、子々孫々の永代なテーマだとしても、その繋ぎの一要因としての自己の存在を「誇り」に思うことが「人生」であり「運命」であるということを受け入れている民族がこの時代に存在するということである。そして、同時に、このことは、過去の人間の歴史の中で、ありとあらゆる「民族」が勝ち取って来た「権利」であるということで、たまたま、今は「中東」という地域(地域性が問題というだけではないが・・・)に、その途上の民族(作品を尊重に、敢えて「国家」という言い方はやめた)が居るということである。彼等の行為は(勿論、テロリズム行為の正当性を善しとはしない)この何千年間の間、人間が地球上で繰り広げてきたことのプレイバックに過ぎないのである。

中東問題、更にそこにユダヤ問題が絡まって来ると、島国の住民という免疫力しか与えられていない日本人である筆者には正直なところピンと来ない。中東やユダヤ系に友人がいない訳ではないが、言葉・信教・風習の壁は大きく本質的な付き合いは無い。但し、一緒に酒を飲んだり、下町を歩いたり、歌を歌ったりした経験はある。それくらいしか出来ない。それくらいでも良いと今までは思っていたが、「人間が繰り返して来たこと」の渦中に今でも関わりのある友人に、果たしてそれだけで良いのかという自問自答が新たに生まれてきた鑑賞であった。それ以外にも色々な事、それも自身にも人類にも大事なことを沢山盛り込んだ作品であるので、何回も鑑賞したい映画である。これは中東の問題でなく、東アジアの一民族として子々孫々の為に自らを考えなければいけないという使命感をも喚起させる内容である。テーマは奥深い。

演出、美術、効果は満点である。勿論、問題提起、そしてこの作品、出演人物が全て素晴らしい。主役のエリック・バナや、ジェフリー・ラッシュ、ダニエル・クレイグという著名俳優だけでなく、他民族・他人種すべての俳優さんの演技が素晴らしい。これだけ多くの他民族俳優が一堂に会した映画作品というのを観たことがない。正直、3時間を越えても、冒頭五輪のシーンをもう少し長く、強調して欲しかった(映像が良かったので)と思ったが、それはリアルタイムにその時代を鮮烈に記憶している筆者の身勝手な要望であり、構成としての時間配分も実に的確であった。

2000年の「グラディエイター」以来、筆者評の「特A」作品(95点以上/100点満点)である。


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by turtoone | 2006-02-04 23:50 | 映画(ま行)