暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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西の魔女が死んだ

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この原作が100万部を越えるベストセラーだということを、シネコンで見終わった後立ち寄った書店で知ったが、如何に原作に忠実だったのか、それとも原作を越えられたのかは別として、なんて色々な要素を詰め込みすぎた作品なんだろうかと思った。対比が都会の喧騒(というシーンは出てこないが)とか、登校拒否、ダブルインカムなどやたらと現代社会の病巣になりうる要素のてんこ盛りに、田舎のスロウライフ生活一本で通そうとしている部分にはそもそもの作品としての無理があり、速読が出来、文学青年だった過去と比べ、最近は特に日本の新刊は週に1冊程度しか読めないから原作の存在すら知らなかったが、批判している訳ではなくこういう類の小説が売れてしまうということに疑問を感じる。

同様にこの作品の構成に関しても可也疑問を感じた。所謂「魔女修業」というと「魔女の宅急便」くらいしか思い浮かばす、だが実祖母が魔女だというリアリティのなさは、その時点で残念ながらアニメの原作に負けている。勿論、箒に乗って宙を飛べとか鼻をクチュクチュさせて荷物を簡単に運べということでなく、本当に自分の祖母が魔女なのであればその誇りだけで十分実社会でやっていける筈だと思うのだが、前述したように、現代の病巣を全部詰め込んだような家庭を勝手に築き上げ、対してそこにやれ自然の営みやら、人間の尊厳や価値やら、非文明的な生活やらをぶつけた総称としての魔女を置いていることに、そうか、現代の人間社会ってそんなに酷いものなのかって疑問に思う。舞の家族って別に特別なものではないし、夫婦ともに仕事を持っているとはいえ両親共にしっかりしているし、作品で見る限りとてもわが子のことを気遣っている。今、子供のことに体当たりできない親が多い中で、立派な親だと思う。父親だってそうだ。魔女とは当然義理の母だからぎこちなさはあるが、義理の父を尊敬していることを娘になんの飾りもなくストレートに話す。久しぶりにあって多感な中学生の娘とこれだけ話ができるということは仕事もしっかりとしているということだ。つまり。そもそも作者が想定していた対比は残念ながらこの物語設定では生まれない。欲張りすぎなのである。明治から戦後直後の作家作品はもっと骨太でイデオロギーがあった。今はこれがベストセラーなのかと思うとも残念ながら空虚感が広がるだけだ。

サチ・パーカー(確か本名はサチコ・パーカーだったかと・・・)は、親日派父、スティーヴが大女優シャーリー・マクレーンと別居してから以降、しばらく日本で暮らしていたから日本語も流暢であり、魔女って感じ(筆者の大好きなシャーリーは魔女役をやったけどね。母は今でも魔女みたいな雰囲気がある)はしない。寧ろりょうちゃんの方が狐みたいで、こっちが東の魔女みたいだと思う。余談だがりょうちゃんは雪女もできそうだが、雪女だったら「小雪」の方が適役かなぁと、余計なことを考える時間を与えてくれたほど、中盤は暇な作品だった。ただ、ゲンジの存在だけは場所は田舎とか自然に囲まれたかどうかしらないが、人間社会を描いている。そのゲンジに対して舞が最後まで受け入れられない部分はこの物語りで唯一よくわかるところであるが、問題はそれが年頃の娘に対してのゲンジが、ぶっきら棒な田舎の人間だからか、大人の男としてなのか、ただ、第一印象で嫌いなのかは彼女の内面でもわからないというのがこの年頃の娘であり、だからそれに対して結論を迫ったり、彼女の応対に必要以上に理を通そうとする魔女の対応も、どうも魔女らしさを感じないし、祖母らしさのかけらもない。説得力にも欠けている。一体、舞のバカンスの意味はなんだったのかというのが最後まで霧の中に包まれてしまったところが残念だった。だから最後の自動車のシーンで一気にまとめに入った舞の台詞は頂けない。

それから最後はあの花でなく、やはり野いちごを山一杯にしてくれなかったのかなぁ。魔女の最後の魔法でもなんでもいいからさって、ティム・バートンだったら原作を越えてやってくれたのに。


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by turtoone | 2008-07-05 17:57 | 映画(な行)