暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28

ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛

b0046687_091015.jpg


前作の「第1章:ライオンと魔女」 では、映像化が不可能と言われた原作の世界観をディズニーティストに纏め上げ、今までにないファンタジー大作を創り上げた記念樹を映画界の歴史に残したが、今回は物語は単調であるものの、第1章との繋がりや前作で創出したナルニア国の世界観をどのように維持するか。また、勧善懲悪の内容と違い、様々な要因が交錯する表のストーリーとは違った裏にあるものをどれだけ上手く表現できるか等、注目に値する問題が山積しているこの作品であったが、鑑賞後の感想は、流石にディズニーの一言に尽きるのである。

全部で7章からなる「ナルニア国物語」はそれぞれは短い物語であるものの、この第1章と第2章にその後の物語のテイストがすべて詰め込まれているので少々この繋がりをこの時点で総括するのは小説の上では難しい。特に、作品でも処理が難しかったのがラストの部分と、同時に前作から1303年後のパラレルワールドとぺペンシー兄弟のロンドンでの実生活との連繋である。因みにこの太陽暦(という比較でよいのかは別として)とナルニア暦が1:3であることは、次回作の第3章「朝びらき丸 東の海へ」が本作より、英国で1年後、ナルニアで3年後という単純比較で初めて明らかになるが、パラレルワールドを行き来できる、キテレツの航時機みたいな感覚での時間移動だとすれば、その年代差が正しいかどうかは分からない。しかし、ディズニーの上手さというのは、暗に作品や台詞の中に未来を予測させるヒントを沢山残しているところである。特に本作では、前作でVFXの素晴らしさはすべて見せてしまったから、その技術を必要以上にひけらかすことをしていない。勿論、圧倒的に戦闘シーンが多いからひけらかしはしなくてもその恩恵には十二分に授かっている。しかし、更に一歩踏み込んだ部分が、例えば森の中のネズミが活躍するところだったり、木の根っこが巨大投石台を倒すところだったり、或いは、ナルニア族の戦法にも、ただ単にVFXの技術の駆使だけでなく、その可能性を引き出した仕掛けとその表現法のマッチングのひとつひとつに大いなる感動を与えてくれる。そうか、こういう風に使うのかって、最早、これは教科書である。

原作を大きく変えた効果も沢山あった。なんといっても、カスピアン王子の年齢設定である。原作では13歳であるが、映画では思い切って23歳にした。王位継承者が成人していて叔父が摂政というのも少し無理があるが、そんなことを考えさせない冒頭の展開と、もうひとつは一際光るベン・バーンズ効果である。映画ナルニアが前章から恐らく多くの鑑賞者に、前回、そして今回も与えていた不安は、この4兄弟で国が統治できるのかという部分ではないか。LOTRの強力なチームワークや、統治より精神世界を重視しているSWと違い、この物語はナルニアという国の歴史とぺペンシー4兄弟の歴史である。しかし、この23歳の凛々しいカスピアン王子への期待が、冒頭の疑問と不安を払拭した。だが、一方で4兄弟のナルニア入りも角笛リンクであるものの、この見方同士の出会いというのがぎこちなく、当然ながらナルニア第一帝であるピーターと、この時代では敵であるテルマール王子にとっては伝説が甦ったという現実の受け入れへの葛藤が描ききれず、結果、スーザンを媒介としてラストは結局そこに落ち着くのかという予測がこの時点で立ってしまうので、ディズニーお得意の13歳少年の未来観をもってきた方が良かったのかもしれない。しかし、それはひとつの意見であってこの王子の設定は見事である。

但し、作品の裏の部分では気になることも多く、特に基督教をベースとした宗教観は原作者C.Sルイスという人を考えれば当然で、アスランの存在が第2章で更に大きくなったこと、ネズミ一族のバグパイプ効果によるイギリスの歴史観、及び、ルーシーを女王陛下と称したナルニア族とこの国の未来観には、原作者の確固たる宗教観(信仰心)と当時英国への風刺が十二分に組み込まれている。この辺りは今後の作品化で最も危惧しなければならない要因で、果たしてディズニーティストで如何に覆いつくすのかという部分には今から興味津々である。そしてエドマンドである。第1章でも白い魔女との最初の接触が彼だったように、この物語はエドマンドを中心に見ると、この国や国の住人たち、及び現在についても、またぺペンシー4兄弟についても一番良く分かるのであるが、今回、目立たなくとも最も主張させていたのがエドマンドという役柄である。最初から次回作への伏線であり、且つ、役柄だけでなく俳優に対する思い入れもディズニーは上手い。なにしろ、アニメにおいては役柄も俳優も同じだから、そのオマージュの連鎖はなかなか他のプロジェクトチームでは実現できない部分なのである。

すべての面で前作を上回っていた。2作続けて尻切れトンボにしないラストを考えると、構成面でもLOTRを越えている。2010年公開予定の次回作にも期待大。


公式サイト


allcinema ONLINEの作品ページ
goo映画の作品ページ


よろしかったら、こちらにご協力を。映画のブログも検索できます。
人気blogランキング


ついでながら姉妹ブログへもどうぞ
「情報過多で悩むあなたに」
「東京の原景を探して」
「turtoone主義」
[PR]
by turtoone | 2008-05-25 23:57 | 映画(な行)