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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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エディットピアフ 愛の讃歌 ~新作DVD~

エディットピアフ  愛の讃歌 ~新作DVD~_b0046687_22501844.jpg人一倍音楽には精通している積もりのある筆者であるが、苦手としているジャンルのひとつにシャンソンがある。というか、一般的にはシャンソンとはフランス語で歌われる曲であって、音楽的に特別な構成を持っている訳ではないから、ジャンルという言い方をするのはおかしい。語源だってカンツォーネと同じである。結構、素人さんでもシャンソンを習っている方が居て、たまにチケットを買わされて、3回に1回くらいは付き合いもあるから花束などを持っていくが、如何せん、立派な会場を貸しきっても4割未満の入りで、500人近くの義理立て来場者が居るが、良いと思ったことは一度もない。だから、正直、エディット・ピアフも、「愛の讃歌」もシャンソンというところとは別の次元で知っていたが、エディット・ピアフの「愛の讃歌」は、パチンコのCMで流れるまで知らなかった。そう、偉そうに言うわけではないが、シャンソンというのを音楽だと思っていないのかもしれない。前述したカンツォーネの方は名曲も多く、筆者も(自ら、お世辞にも上手いとはいえないが・・・)、新宿辺りのビアノの伴奏で歌っちゃったりする。尤もピアノ伴奏ってカンツォーネに合わないが・・・。

ところでこの作品の鑑賞は本当に疲れた。シアター公開の際もそう思ったし、今回のDVD鑑賞でも同じことを思った。しかし、マリオン・コティヤールの演技を見ているわけだから物語にそんなに拘ってもいない。音楽とは天賦の才が備わって初めてそれを外部に紹介することができる、ある意味で言えば「神の領域」に存在するものであると私は確信している。才がないものにはその「オト」を発見したり、それを再現することができないからだ。多くの人間は、メロディを簡単に口ずさむことができるが、それが、オリジナリティなものなのか、そうでないのかの判断というのを瞬間的に自分で下すことは難しい。案外、オリジナリティって多いものである一方、人間は記憶のできる動物だから、以前に聴いたフレーズを何十年ぶりかに再生することだって出来る。脳の持つ力は果てしない。しかし、そのフレーズを第三者に伝えることは難しい。その媒介として音楽理論が存在する。音階とかコードとかいう便利な共通記号である。しかしながら、その限られた才能を持っている人というのは、その才能を使いこなすことなく生涯を終わってしまうのである。ヴォルフガンクが一番良い例である。同時期に追従できる音楽家は一人もいなかったが、確かに600曲以上の沢山の曲を残したが、例えばルートヴッヒの9番や、ヨハネスのブラ1みたいな、桁はずれの曲は作っていない。敢えていえば、未完成のレクイエムである。そう、残念なのは、その才能に恵まれた人々がそれを生かしきれずに終わってしまうことだ。

エディット・ピアフも然りで、同じことを繰り返す。どうして酒や薬になるのか。彼女には理解者も大勢いたのに、と考えると、鑑賞以前に興醒めしてしまうものだ。そしてその連続がこの映画作品である。逆に言えば、そう思わせるほどのマリオンの演技が素晴らしいというしかないのかもしれない。「ロング・エンゲージメント」はもとより、「世界で一番不運で幸せな私」などは忘れられない演技である。だが、ここでもやはり疑問。素晴らしいけれど、まだ30歳前半の彼女が偉大なのかもしれないが、どうしてこんな酒と薬づけの婆さまの役をやるんだ? で、もって判で押したようなオスカー主演女優獲得って訳で。このあたりは、本当に解せない。以前、オスカーは精神異常者かアル中の役が一番取りやすいって言われたが、昨今はデブか爺さま婆さま、それにキモイ役だろうね。

作品も才能溢れる音楽人生でなく、破滅色が強かった。それでも歌うぞ「愛の讃歌」って、そんなに名曲なんだろうかと、フランス人の音楽性をとても疑う。確かに芸術家の輩出は多いが音楽家っていうと、ベルリオーズ、サン・サーンス、フォーレ、ラヴェル、サティってとこで、これって言うすごい人はいないようで・・・。

あっ思い出した。ドビュッシーがいたじゃないか。ロマン派から現代音楽への橋渡しの時代に印象主義を取り入れ、且つ音楽による「心象の喚起」を目指した偉大な音楽家が。そうそう、それに、ポール・モーリアとリチャード・クレイダーマンもそうだ。なるほど、結構紳士が多いので、逆にピアフが「物語」になったのだって、妙に納得した。


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by turtoone | 2008-05-21 23:57 | 映画(あ行)