暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ヒトラーの贋札

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今までその名称くらいしか存知得なかった「ベルンハント作戦」だが、謀略工作の専門家アルフレート・ナウヨックス親衛隊少佐が発案し、書類偽造課長ベルンハルト・クリューガー親衛隊少佐が指揮・実行した。その名前をとってこの作戦名が付いたということも全く知らなかった。この映画作品にあるように、のはザクセン・ハウゼン強制収容所に集められたユダヤ人技術者たちが実際に贋造した。1944年までに贋造された額はポンド札で1億3200万ポンドという驚きべき数字に上り、その量は当時の全流通量の約10%に相当したという。約50%がスパイへの報酬、秘密工作資金、武器調達用などの海外の秘密工作に使用されたという記録が残っている。この作品はドイツとオーストリアの合作であり、2007年オスカーの外国語映画賞にもノミネートされているが、正直なところ、戦後60年以降、ドイツは先の大戦における反省を色々な側面から検証している点は素晴らしい試みであるし、この作戦をテーマに据えたのもそうした一環であるが、正直なところ、映画作品としては残念ながら筆者に好きな分野だっただけに、却って高い評価ができるものではなかった。

それはひとつに主人公に魅力がなかった点が大きい。サロモン・ソロヴィッチ、通称サリーと呼ばれるユダヤ人技巧者が主役であるが、例えば、この人物が名画「シンドラーのリスト」のオスカー・シンドラーの様に清濁併せ呑むような人物であれば、それだけで人物への魅力が先行し物語にも起伏が出てくるのであるが、こちらは単に、ユダヤ人がその職務に当てられたことと同時に、他のユダヤ人仲間は迫害を受けているという当人間のジレンマというものを前面に押し出したかったのだろうが、結果それだけになってしまい、何だかまた、いつものこの手のパターンの作品を100分くらい観たという感じであった。こういう作品は「戦場のピアニスト」で最後にして欲しいと言ったはずだ。また、この贋札製造は、キケロ事件とも大きな関係があったり、それ以外にも有名なのは、幽閉されたイタリアのムッソリーニの救出資金にも使われたといわれているから、作品の中にも、つまらないフィクションを散りばめるのでなく、歴史的事実を追求して欲しかった。ただ、ドル札の部分に関しては、事実と違うかどうか分からないが、ラストに繋がる持って行き方は決して悪くはないと思うが、やはり映画作品としてのメリハリがなく、NHKスペシャル(Nスペの方がもっと突っ込むと思うが)みたいになってしまったと思う。確かにこういう映画作品作りは難しいのは分かるが。ただ、題材が面白いだけに、ハリウッドが作ったら、撮影や美術がもっと細かかっただろうかと思うと、とても残念である。また、主人公に関しても(この人の著作が原本にはなっているそうだが)その任務と苦悩の間にある心理描写をクローズアップすることにより、この主人公をきっともっと魅力的に演出できたと思う。

しかし、結局のところこの主人公サリーは、自分がドイツの下でして来たことを自身として正当化しているのか、それとも仕方が無いけれど忌まわしい過去だったのかということのどちらにも取れるようなモンテカルロのシーンになってしまったのは残念。彼自身の自伝が映画の原本になっただけに、そのどちらか一方へのケジメはつけて欲しかった。勿論、それ以外の部分に関しては興味のある内容であったし、改めてヒトラーの指導力と一丸となったナチス首脳部の戦略にはただただ驚かされるばかりである。

また、ハリウッド作品を全面的に肯定するわけだはないが、カット割とかカメラワークにはもっと独創性を持って欲しいと思う。その辺りの技術が進歩してくれるとオーストラリア映画作品というのももっと期待ができるのであるが。


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by turtoone | 2008-02-16 23:56 | 映画(は行)