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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ボビー ~新作DVD~

ボビー ~新作DVD~_b0046687_12541044.jpgロバート・ケネディだけでなく、ケネディ一族を取り巻く憶測や因縁めいた部分は謎が多い。筆者は米国民ではないからその辺りのことは良く分からないが、恐らくジョン・F・ケネディというのは優秀且つ、大衆に正義なる人物に最終的には写ったのだと思う。今でも、アメリカの大統領というと、JFKはジョージ・ワシントンやリンカーンと並んで人気と知名度が高い。しかし、それは残念ながら、彼の最期がああいう形だったからだということも言える。

ロバート・ケネディは、1925年に第7子として誕生した。兄、JFKと比べると8歳年下である。ケネディ家はマサチューセッツ州ブルックラインで、アイルランド系移民の子孫。株取引(大恐慌の際、株の空売りで巨利)や禁酒法時代に密造酒の製造で大儲けをし、マフィアとの関係が深かった投資家のジョセフ・P・ケネディ・シニアが当主であり、この様な家柄から、ケネディ家は非常に富裕な家柄で華やかなイメージが強いが、一方で常にマフィアなどの犯罪組織との関係がついてまわり、それに伴いケネディに対しても陰のイメージが付き纏っていた。ロバートはハーバードから海軍入りしたが成績が今ひとつでロースクール入りはできず、ヴァージニア大学ロースクールから法学位を取得した。法律に対する倫理観は幼いころから強いものがあった。卒業後、すぐに兄ジョンの上院議員選のマネージャーになった。その後法廷弁護士を経て、1959年には兄の大統領出馬支援のため、すべての公職を退いた。

ケネディ大統領誕生後はすぐに司法長官に任ぜられ、ケネディ政権中は重要な役割を果たし、組織犯罪の撲滅に尽力、大労働組合などでの不正を徹底的に追求した。ケネディ兄弟が直面した重要問題の中には、1961年のキューバでのピッグズ湾事件、その18ヶ月後に発生したキューバ危機、ベトナム戦争における軍事行動の段階的拡大、公民権運動の拡大と報復的暴力が挙げられる。又、これもひとつ謎として扱われる、FBIがマーティン・ルーサー・キングを盗聴する許可を司法長官に要求したことは確実であるが、ロバートが直接、その許可を与えたかは定かでない。

さらにロバートは当時アメリカで大きな問題となりつつあった人種問題にも積極的に関与した。特に、1962年9月、黒人学生ジェームズ・メレディスがミシシッピ州立大学に人種を理由に入学拒否される、いわゆるメレディス事件が起きたとき、ロバートはミシシッピ州知事ロス・バーネットや大学当局者の説得に当たった。また、1963年にアラバマ州立大学への二人の黒人学生の入学をめぐる問題では、アラバマ州知事ジョージ・ウォレスに対し、二人の入学を妨害しないよう電話で説得した。このときのやり取りはテレビでも放送されたが、あくまでも黒人学生の入学を阻止しようとするウォレスに対し、「それでもあなたはアメリカの市民か!」と怒鳴りつけた。

こうして改めて彼の経歴を探ると、この兄弟が政治の中心にいた時代、アメリカは内外部から今までの歪みが一気に噴出した時代であった。逆に言えば、ケネディという個性の強い大統領とその弟が登場したから、この歪みが前面に露呈したという言い方も出来る。JFK暗殺後のジョンソン政権時代、決して仲が良くなかった彼の後押しを得て、ボビーは副大統領を諦め、ニューヨーク州の上院議員選に立ち、共和党候補を破った。1968年に3月に民主党の指名を獲得すると、4月4日のキング牧師暗殺の日にも、警察や周囲の反対を押し切って演説した。そして、運命の日、6月5日最大の州カリフォルニアの予備選を勝利した直後のアンバサダホテルが舞台となるところまでが、筆者の知っているホビーに対する知識のすべてであった。

この作品で特に印象が強かったのは、ボビー本人でなく、あの日あの場所に居合わせた人を追った構成が見事であるのだが、それは、同時に、アメリカは大統領でなくひとりひとりの国民で支えていくのだという強い主張を感じるのである。ホテルというのは様々な人間が、それぞれの欲求と思惑を満たす場である。ゲストもスタッフもそれは同じで、ゲストは、その瞬間の最上を満喫することにより喜びを感じる。スタッフは対価という以上に、サービスでゲストを喜ばせ、寛いでもらうことにその労働としての喜びを感じる。勿論、どちらも人間だし、たまたまその瞬間居合わせたことによって、ゲストとスタッフという立場であるが、人間社会、特に、アメリカという合衆国ならではの複雑な社会は、この立場が時によって移り行くということも、それぞれのエピソードで見事に表現している。

この作品にある通り、アメリカ国民のひとりひとりがもっと強い意志を持って欲しいと思うのだが、それはわが国も同じであるか・・・。


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by turtoone | 2007-10-06 23:54 | 映画(は行)