暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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花よりもなほ ~My Collection~

b0046687_2223383.jpg本作品の着眼点の良さは、「赤穂浪士」と「花見の仇討ち」という、方や芝居や講談という本流のものと、もう片方は落語という日本の文芸の両極端に位置するものを合致させ、且つ、相対的に皮肉っているところである。しかも何を皮肉っているのかというのが、出演人物のひとりひとりに於いて様々である点が、この作品を「何度でも観たくさせる」所以である。当然のことながら、こういう作品に関しての筆者の評価は、どこの国の映画であろうが高い。

映画が総合芸術である限り、邦画というのは、日本の文芸ルーツが組み込まれているのは当然のことであるが、この国の映画作りはどちらかというと、イタリア映画に感覚が近く、社会風刺というものを全面に出した方がインテリジェンスが高いのではないかと長いこと勘違いをされて来た。しかし、最近、特に東西が合併してから以降のドイツ映画作品を観るとわかるように、あの国の作品でとえ、多分それまでには「糞の」役にも立たない「ユーモア」なんてものを少しずつ取り入れるようになって来た。特にドイツの場合は、終戦60年を経て、国全体が大きく変わろう、新しい方向性を持とうとしている中で、この映画という人々に程近い大衆芸能がその役割を機能させようというしている。素晴らしいことだ。

「赤穂浪士」という講談と、「花見の仇討ち」という落語は相容れられるものでは無い。講談というのが「四十七士」という成功者を称える一方で、落語という文化は、その四十七人に入れなかった人たちを描くものであるからだ。人間の業を描いている、それが落語であるからだ。そして、普通の人間はみな、はっつぁん、くまさんみたいもので、四十七人になるような人は特別な人だと、その逃げる環境になる人間の業を肯定しているからである。だから落語は面白いのである。この映画作品は、直結しないまでも、それを同軸で扱った。その試みには大きな賞賛を送りたいし、これぞ「邦画」でないと為しえない文化の極致であるとも言える。決して褒めすぎではない。勿論、時代考証の無理はある。「花見の仇討ち」は、「赤穂浪士」よりももう少し後の時代(飛鳥山に花見に行くようになってからの時代)であるが、その辺りはそんなに細かい指摘は必要ない。ただ、時代考証のことをいえば、江戸時代という括りが大き過ぎて、たとえば長屋の場所とか、武家屋敷の子供たちの衣装にはかなり時代錯誤があったが、まぁその辺りも、歴史教材を作っている訳ではないから良いことにしたい。(これがハリウッド作品だと、もっと突っ込みますけれど、予算が違いますから・・・)

また、岡田准一、宮沢りえを筆頭に、配役が素晴らしかった。特に岡田クンは、このブログがまだ映画専用でなかった頃にも国営放送の歴史物で褒め称えたが、どんな歴史上の人物もできる、特に、ちょん髷の似合う俳優だ。飛鳥時代から江戸時代まで、すべての時代の主役をなんの違和感もなくこなせる俳優はそんなにたくさんいないと思う。そして、宮沢りえは更にすごくて、これは彼女の天性のものなのだろうが、彼女は相手役に相当する年齢にいつでも代わってしまえることだ。「たそがれ清兵衛」では、真田と同じ年代に、「阿修羅城」では染五郎の年代に、そして、今回は相手役である岡田クンに合った年に変わってしまう。これは彼女がヒロインとし天から授かった資質であろう。作品を選ぶのも慎重な俳優さんらしいが、もっとたくさんの作品に出て欲しい。安心して観ていられる女優のひとりになって来たと思う。

皆がはまり役であったがひとりだけ、加瀬亮の演じたそで吉だけは、オダギリ・ジョーをキャスティングして欲しかった。加瀬が物足りないとは言わないが、まだ、この役、特に、おりょうとの絡みの台詞では存在感を残せなかったし、特に香川には完全に食われてしまった。桃色の着物といい、やはりこの役はオダギリが良かったと思う。是枝監督だから、「カクト」や「誰も知らない」からの付き合いなのかもしれないし、それにここにオダギリを使ったら「ゆれる」 と変わらなくなってしまうのかもしれないのか、監督も色々大変なんだなと納得している。

ただ、この作品は久々に観たが、やはり本当に評価か高い。そして、時代考証の整理とオダギリを使っていればA作品になれたのにと残念がっている。


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by turtoone | 2007-09-27 23:48 | 映画(は行)