暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

バベル

b0046687_22332253.jpg

作品タイトルが「バベル」とあって、勿論これはバベルの塔のことを指す以外に何物でもなく、その旧約聖書にある「バベルの塔」の話の内容は、アダムとイヴのエデンの園と同じくらい聖書を知らない人でも知っている話である。この作品はタイトルが「バベル」であった分、相当得をしたと思う。当たり前のことであるが映画の作品名は大事だと思う反面、昨年のオスカー作品賞「クラッシュ」と色々な意味で比べながらの鑑賞になってしまった。逆の言い方をすると前述は嫌らしい褒め言葉であり、もしタイトルが「バベル」でなかったら、一体、この作品って最終的に何が言いたかったのかという部分も消化不良で終わっていたに違いない。そう、タイトルに助けられた作品なのである。

この作品のレビューというのをネタバレしないで書くのは大変難しい。だから以後はひとりよがりな文章(いつもそうか・・・)になってしまうと思う。この作品で関心したことが幾つかあって、まずは時系列の整理である。この手の作品では多いのが、時系列の順不同である。しかし、この作品は可也前後はするものの非常に上手く纏まっていた。そのひとつの理由はまず、ひとつひとつのシーンの時間配分になるのかもしれない。ひとつひとつを然程引っ張らなかったが、逆の言い方をすると、ひとつひとつのシーンに余り重要なメッセージを残さなかったともいえる。それから、本来なら必要以上に引っ張りたくなる部分(例えば、ケイト・ブランシェットの手術のシーン)で、次のシーンに切り替えたり編集も上手だった。次にロケハンが良かった。特に、東京の街のロケハンは最高に良かった。ただ、決して偏見でなく、聾唖の人たちがああいうことを求めているのかは日本人の自分の日常としては考えられなく、一高校生の行動としても、菊地の取っている行動は理解できる範疇ではない。ロケハンの話に戻れば、モロッコやメキシコは分らないが、やはりきっとこちらも良い場所を見つけたのだと思う。同時にカメラワークも良かった。特に、射撃されたバスの中での撮影は、良くあんな狭いところで撮れたし、そうでないところで撮ったとしたら、余計にその臨場感を伝えるところは見事だった。これは、昨年の「ユナイテッド93」にも通じる。そして、もうひとつが音楽。この作品の見所として、4箇所の同時撮影というのが売り物だったが、ロケハンが良かったものの、物語としてそれを感じられるものは少なく、一番その違いを感じることができたのは音楽だ。但し、ひとつ残念なのは、東京のシーンで、日本を感じさせられる音楽ってのはないのかなぁと、ディスコティックでも古いミュージックしかかからないとは残念だ。ゲーセンのシーンでは倖田來未かなんかがかかっていても良かったのではないかと。

良かった点もあった一方で、理解できない点が多かったのも事実。特に、東京が選ばれた理由。そして、その設定も分らないし、それを無理やり結ぼうとしたことも良く理解できない。筆者の立場として、ひとつだけ接点を作って考察するとしたら、それは父親としてである。父としてそれぞれの事件を考えると、例えば猟銃を子供に持たせなければならないという境遇。年頃の娘を分ろうと努力して、しかし仕事などで実行できない現実。妻の心を癒すための旅行へ来たものの一方でふたりの子供たちをベイビーシッターに預けているのがごく普通な白人社会。それに、直接父親とは関係ないが、そのベイビーシッターが最愛の息子の結婚式出席のために仕方なく預かった子供を連れ出し国境を越えなければならない不法入国者の母。このどれもがそれぞれ今世界のあらゆる地域で起こっていて、何も、誰も疑問を持たず、日々運行している事柄である。しかし、一旦、何か事が起こってわかるように、これらは本来人間としての営みとして果たして良いことなのだろうかという疑問だ。猟銃事件もコヨーテを撃つための猟銃が人を撃ってしまうように、それは猟銃に違いはないのである。ふたりの白人の子供のベイビーシッターがしたことが本当に悪いことであろうか。その辺りの問題定義は良かったのであるが、やはり、それらを連繋させる「何か」が足りなかったために、やはりこれも、NHKスペシャル世界同時ドキュメントになってしまったのである。昨年の「クラッシュ」も、それぞれの問題定義の観点が良かったのに、これらを繋ぐ要素が希薄だった。この作品は、多分、家族がそのキーワードだったのであるが、繋ぎ方を間違えたのである。冒頭に書いた作品タイトルが、唯一、このそれぞれの物語を繋ぎとめることの出来たキーワードであり、結果的手段になってしまったのは残念だ。

「バベル」は、言語が同じだと人間は悪いことをするからと神が言語をバラバラにして分らなくしてしまい、人間は地球上のあらゆるところへ分布してしまったが、それ以降の長い年月の間で、人間は言葉だけでなく、お互いに心を合わせるということまで失ってしまった。最小単位の家族という中でさえも。と、ここまで言いたかったにしては、物語の構築が甘かった部分は顕かである。この物語の唯一の救いは、ヘリコプターのシーンでブラビが別れ際に世話になった男とのやりとりがあり、モロッコの男の態度とブラピの表情に、人間としての希望を感じるのは筆者だけでないことを願いたい。


公式サイト


allcinema ONLINEの作品ページ
goo映画の作品ページ


よろしかったら、こちらにご協力を。映画のブログも検索できます。
人気blogランキング


ついでながら姉妹ブログへもどうぞ
「情報過多で悩むあなたに」
「東京の原景を探して」
[PR]
by turtoone | 2007-04-30 22:42 | 映画(は行)