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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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リトル・イタリーの恋 ~Hotel Theater~

毎度、思いつきで変なミニ特集を考えてしまうが、この新春ホテルシアター企画もこの三作で終わりである。この鑑賞の目的として、勝手ながら、日本映画の将来に何か提言(←実際はイチャモンレベルになっているが・・・反省)出来るのではないかとアジェンダを掲げたが、自分なりにはリトル・イタリーの恋 ~Hotel Theater~_b0046687_10544318.jpg色々と見えてきているのは事実。だが、文章表現力の弱さで中々伝えられないのは残念。ところで、このブログにも良く書くが、相変わらずこの邦題には関心する(それは、このミニ特集の三作品すべてに共通する)。特に表題作は、原題を全く無視したに近いタイトル。「リトルイタリー」というと、有名なのはやはりマンハッタン。だが、実際はオーストラリアの話であるが、でも、リトルイタリーという言葉に触手された方の恐らく4分の3以上の人はマンハッタンをイメージすると勝手に思う。これは結構中身と関係なく、強い「掴み」である。邦題には賛否両論色々あって良いが、少なくとも、日本の興行界においては力強い、気合の入った仕事だと賞賛したい。

さて、作品に関してであるが、まず103分の中に内容が凝縮された、見事な作品。偶然であるがこの三作品はすべてが100分程度であるが、筆者が以前から述べているが一作品の上映適正時間は100分であると思う(チャン・イーモウ監督は90分だと言っているが・・・)。講義も90分が普通で、以前友人の教授に聞いたところ、講師も学生も45~50分を過ぎてやって乗ってくるという。だから序盤に少し学生のうたたねタイムを作ってあげると、自分も山場に大事なポイントを話せて良いらしいという、大学教授と映画監督は一緒なんだなぁという事を知ったが、やはり人間が集中していられる時間には限りがある。まずは日本映画も、こういう傾向で作ったら良いと思う。暴言かもしれないが「100分を超えないこと・・・」確かに名画と言われている物には長い作品が多いが、名画と大作と一括りにしている誤解もある。

この作品は確か予告編では本当の愛を気がつく云々の事を言っていたが、違う。作品の構成要素は色々と深いが、軸になるのは男二人兄弟の間にある、絆とか、距離感とか、境遇であり、それらを軸に考えると、この作品の中で語られている様々な問題が明解になって行くのであって、恋の方に軸をおいてしまっては、主題や様々な問題提起を見過ごしてしまう。特にラストへの流れに関しては、恋に軸を置いてしまうと、二者択一でどっちへ転んでも、思慮深く考えれば最悪の未来になるし、安易に受け止めると「やっぱ、容姿かよ」って短絡的な感想になってしまう。しかしながら、兄弟を軸にすれば、結果がどちらになっても展望が見えてくる不思議な作品だ。ここでひとつ言いたいのは、前述した邦題は気合が入っているのに、予告編には騙される。良い意味で騙されたこともあるが、大概は悪い騙され方をしている。この作品の予告編も、勝手に「本当の愛」に軸を移してしまって、勿論、それは「きみに読む物語」のジャン・サルディ絡みということを強調したいという事は分るが、結果的にそれに期待して裏切られた映画ファンは沢山いる筈で、一応、映画作品広報のプロフェッショナルなのだから、作品のラインだけは逸脱しないで欲しいと願う。

特筆すべきは、ヒロインを、アメリア・ワーナーとても綺麗に撮っていた。彼女は直近では「イーオン・フラックス」でシャー子の妹役で出演していたり、そう、コリン・ファレルの元妻である。筆者の場合、女優を綺麗に撮影できるか否かは、映画鑑賞にとって不可欠要素であるが、知る限リトル・イタリーの恋 ~Hotel Theater~_b0046687_10545969.jpgり、この女優をこんなに綺麗に撮られた事は無い。翻って、例えば日本映画も往年の原節子や高峰三枝子が「銀幕」の名に相応しいほど美しく描かれたり、或いは最近では、故五社英雄監督が「陽暉楼」の池上季実子、「陽炎」の樋口可奈子(その他勿論、岩下志麻、夏目雅子、名取裕子、最後の最後で高島礼子)、又、故伊丹十三監督が夫人の宮本信子を綺麗に撮ったりと、フランス映画に匹敵するほど女優を美しく撮る技術を持っていた。是非、この点に関しては栄光の日本映画伝統として継承し、更に超えて欲しい。

男兄弟を描いて作品としては、筆者的にはやはり、「レインマン」が最高であるが、あの作品は、それ以外にもたくさんの関連テーマを持っているので、一概に男兄弟だけの作品という訳ではない。だが、共通しているのは、兄はやはり兄であり、弟はやはり弟であるという事。我が国では、「嫡子」という意味で長男を重視してきたが、今やそういう時代ではない。そういう観点から時代錯誤と日本の風習を加味した兄弟モノは面白いかも。とせこかの国のように政策をひいていないのに「少子化」なのだから。

ということで、結局殆ど提言にならなかったが、結構面白い作品を観られ、考えさせられた新春の映画体験だった。


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by turtoone | 2007-01-07 11:06 | 映画(ら行)