暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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バーバー吉野 ~Trap's Collection~

b0046687_15282239.jpg「かもめ食堂」を貸してくれたTrapから一緒に借りた作品。レビューを上げてなかったのでここで書くことにした。その前にひとつお詫びがあり、「かもめ食堂」のことでやたらリアリティの欠如的なコメントを書いたが、あの作品は群よう子さんの作品らしい。また、監督である荻上直子さんも、若い頃からフィンランドでの生活体験があるらしい。その辺りはTrapに指摘された。その同じ、荻上作品として、最初観たときから実は結構色々印象に残っていて、「かもめ」もその辺りの流れで借りたのであった。

結論からいうと、筆者的には「かもめ」も良いが、この表題作の方が作品としては好きである。冒頭の無知から来るお詫びとして、どうせフィクションなら、原作の有無に係わらず、この辺りまでやってくれと思うからである。そして本作品で大きかったのは、伝統とかしきたりとかの大切さを再確認したこと。しかし、一方でそれが間違いの時もある。守るべきものとそうでないもの。継承出来るものと出来ないもの、これは概して一律でない。だからこそ進歩も成長もあるのが人間の営みなのである。そして社会では発展があり、文化が生まれる。つまり、文化とはただ継承していくだけでは新しいものは何も息吹かないと言っているのである。これは中々斬新な提案であり、且つ視点の角度を少し変えていて面白い。

特に、もたいを起用した事でその伝統の部分に強迫という要素が加味されたところも大きい。冷静に考えて髪型を統一、しかも時代錯誤な坊っちゃん刈りで、そのことが例えば転校生が現れたり、隣町へ行ったりという機会がなければ分からないという、なんとも馬鹿ばかしさが、前述した伝統とか文化の継承という側面においては、勘違いや取り違えの根源であることも同時に訴えている。実に愉快だ。だからではないが、もっと文化的勘違いな部分を強調しても良かった。つまりは、神道とキリスト教という妙な宗教混合行事にもこの髪型がリンクしている様に、全ては「吉野刈りありき」の時代錯誤でなく、吉野刈りは時代錯誤と文化継承の狭間で頑張っている「象徴」だとした方が良かったのではないか。もたいの持つ役者としての存在感を考えたら、どちらかというとこの土地の地元民が皆、この不条理な文化継承を良しとしているのでなく、数少ない伝統を守り反対されつつも、本当の意味で、継承されるもの、つまりは髪型という外見の修飾にのみこだわる現代少年とそれを制御しきれない荒廃した教育構造にまで問題視してくれた方が良かったと思う。

ただし、作品の動機と、最終的な着地点とのズレがあったのも事実。この作品を観た諸兄の動機は、もっと何か色々なものを修得できるので゜はないかと期待をした筈だ。そう、ただ単に「吉野刈り」だけで終わってしまうとは思わず、その辺りを考えると随分消化不良だったのではないか。筆者の年代だと、まだ幼少の頃は「坊ちゃん刈り」はある程度は市民権を持っていた。スポーツの部活をやるので坊主にしなくてはならないという事実と比較すると、まだ「坊ちゃん刈り」の方がましだと思われる節があったのも事実。そして物語も途中から少年たちの冒険小説?みたいな側面に入ってしまう。冒頭に述べたように、こりテーマにリアリティを追求していないにしても、だからこそもっと面白い展開や、少なくとも風刺のひとつやふたつは欲しかったと思う。

前述したように、文化に対する提言は良かったのだから、後はその表現手法である。「かもめ」も含めて、今後この監督作品には注目していきたいと思う。


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by turtoone | 2006-11-17 15:31 | 映画(は行)