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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ホテル・ルワンダ ~新作DVD~

ホテル・ルワンダ ~新作DVD~_b0046687_1710187.jpgこの作品で描かれているルワンダのツチ族とフツ族の紛争に関して、筆者が当時一番最初に知り得たのは、週刊雑誌「News week日本版」である。他のどのメディアよりも早くそして詳しく記事が掲載されており、特に、見開き4ページか何かの特集の時には、このふたつの部族の成り立ちやなぜ、彼等が争っているかという歴史的背景がこと細かく執筆されていた。映画の中にも一部、フツ族、ツチ族の事に触れられているが、この台詞だけでこの紛争を理解するには、知識の無い人には不十分だと思った。但し、筆者が知ることが出来たのは、その記事、及び前出の週刊雑誌のその後の報道のみで、最終的に1000万人が惨殺されたとか、両民族が逃げ場を求めてアフリカの大地をさまよっているという結果論だけだった。欧米や日本るメディアはこの大事件に関しての報道に関しては至って消極的(というよりも殆ど無視に近い)だったと言わざるを得ない。アフリカを扱った作品(映画に限らず)に触れるたびに、この大陸を16世紀以降、勝手に線引きをしてきた欧州の国々の大罪を糾弾したく思う。今、我々が習っていたり、旅行の際に見ることのあるアフリカ地図は、そこに住んでいる人の主張の欠片はひとつもなく、ただ、欧州の傲慢や輩によって分捕り合戦の末作成された地図であることを、我々は再認識しなくてはならないと思う。そして、初めてこの事件を知ってから10年以上が経ってしまったが、今も改めてこの映画作品により、当時の事実関係が世界に初めて紹介されたということと、自身にとっても当時の断片的な報道記事だけでなく、当事者の声の発信を受け止めることが出来たことがこの作品鑑賞の目的でもあり、意義でもある。筆者的には長い時間が係ったか、作品のみならず、自己の時間的背景に関しても感動せざるを得ない。それくらい、我々は同じ地球上の民族であるこの大陸で起こっていることに無関心なのである。作品の日本公開は映画ファンの署名運動によって実現した。冒頭に偉そうなことを書いたが、筆者はこの署名にも参加できなかった。

特に、この映画作品では、当時この両族の争いがある程度収束された段階から始まっている。筆者が記事で始めてこの紛争を知った内容よりも、もう少し後のことである。記事では国連軍が介入しこの一件も収束しそうであるが、この両族に改めて刻まれた遺恨は大きく、筆者と同じく、これは欧州諸国の大罪だと纏めている。イラク戦争もそうであるが最前線で何が行われているか、或いは援軍が退去してしまってから本当の悲劇が始まるということが、実は一番大きな問題である。国際問題というのは、所詮「地域問題」として捉えきれない部分であり、イスラエルしかり、ボスニアしかりである。ここいいながら、今現在のルワンダやコンゴの問題も本質を知りえる訳ではない。しかし、結局「地域問題」というのは、その地域で解決しなくては何も生まれないというのも事実。であるからこそ、この作品の主人公である。ホール・ルセサバギナという人が、自らの手で同じ民族を守ろうとした行動は、凡人の自分には賞賛を表す言葉すら見つからない。よく「アフリカのシンドラー」などと言われるが、何々の何者でなく、彼自身の行動は何かと比喩・比較できるものではない。

又、この作品は必要以上に特別な効果を強調していなかった。例えば、音楽で言えば、勿論全編にアフロミュージックが流れているが、そこには日常を感じるだけで、例えばこの紛争の危機を音楽で表現しようとしたりということはなかった。子供たちが普通に音楽にのって踊っているシーンが幾つかあるが、この紛争の最中なのに、子供たちはそれを知らない。逆にそのことが「効果」となり余計、罪もない小さい子供たちがなぜ犠牲者になるのかという悲惨さを強調することにも繋がっている。また、ホテルでの滞在に関しては、勿論部屋数に対して絶対的に人数が多いのだが、その滞在の悲惨な様子も描いていない。多分、この一流ホテルにいることは安心と当時に、普段の生活よりもきっと良いのだから、そういう不満や悲惨は表れない。ポールが懸命に食料を調達している場面くらいに抑えているのは、この滞在が当時のルワンダの環境からしてみればという部分に、逆に悲惨さを受け取ってしまう(これは文明国にいる人間の奢りかもしれない)。この妙に物事を強調しなくてもその内容がしっかりと伝わってくる処に、この民族紛争の悲劇と、脚本の出来の良さと映像との連繋、カット割の良さがなせるところだと思う。これら映画の基本である。

ハリウッドスターをルセサバキナ夫妻役の配してどうかと思ったが、二人ともしっかりとこの歴史的事実を伝えるのに充分な演技力を持っていたと思う。


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by turtoone | 2006-10-29 17:16 | 映画(は行)