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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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RENT/レント ~新作DVD~

RENT/レント ~新作DVD~_b0046687_1431950.jpgいつも思うのだが、ミュージカル映画というのは鑑賞中に見所を失い勝ちで大変難しい。理由は過去にもこのブログで書いたが、大体の作品は元々が「舞台作品」であるから、広い舞台空間の中で、登場人物のひとりひとりに色々な思いを馳せることができる。それがまた、鑑賞者の喜びでもあり、だからこそ、同じ作品なのに、何度も観にいったりするのである。しかし、映画というのはスクリーンというある一定の大きさの幅に押しこめられてしまうから、その鑑賞者の注目を一点に特定させることとなる。そこで大事なことというのは、その「特定」してしまった方が良い「作品」と、「そうでない作品」があり、これが実は、映画作品としてのミュージカルの出来を大きく左右するのではないか。至って、個人的評価で申し上げると、前者、つまり、特定されたことによって良い作品になった例は「サウンド・オブ・ミュージック」、「コーラス・ライン」、「ムーラン・ルージュ」であり、後者としては、「ウェスタンサイド・ストーリー」、「オペラ座の怪人」などである。

表題作の「RENT/レント」は、残念ながら明らかに後者に入る。この作品は伝説的なブロードウェイミュージカル作品ということらしい。筆者も作品名と、ベースにしたのが、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」(こっちは何度か観たことがある)であり、又、作者が公演直前に謎の死を遂げてしまったということくらいしか知らない。当時は結構、話題になったのも記憶しているが、その後、ダウンタウンで上映されて人気になり、一気にブロードウェイまで駆け上がって来たらしい。筆者がこの作品を「明らかに後者に入る」と言う理由は、この内容をシネマという土壌に持ってきたときに「ミュージカル」という選択肢しか無かったのかが大変不思議だったのである。これは「安易」であること以外何者でも無いと思う。批判するわけではないし、舞台版を観たことがないから比較論も言えないが、失敗ミュージカル作にありがちな、「突然の歌」というのが多い。又、「歌」のためにわざわざ作られた「場面」というのが多い。更に言えば、この作品全体の根底に流れる「エイズ」という問題に関して、(多分、舞台版では真正面から取り組んでいるのであろうが)、映画版は真正面から受け止めようという姿勢が感じられない。

この物語は、冒頭、舞台上に主要人物が横一列に並んで歌い出すところから始まる。この冒頭は斬新さは無いが良い。筆者などは、この設定は「コーラスライン」を彷彿させるから、印象は良い。しかし、すぐ、舞台が切り替わり、タイトルでもある「レント(家賃)」の舞台へと引きずられる。そう、この辺りとその後15分くらいの展開は、まさに鑑賞者を勝手に作品内の礎になる部分を一通り閲覧させ、引きずっているという印象なのである。それだけでなく、例えば、急にタンゴの場面になったりとか、つまりは、映画作品で一番大事にエモーショナル・ラインが保てなくなってしまうのである。正直、この作品はこの連続である。そして、折角、冒頭でのシーンがあるにも係わらず、作品内では、この人物達がお互いに自己紹介をし合ったりしている。やはり、舞台をそのまま映画に持ってきた安易さは歪めない。(映画としての)脚本の失敗である。

しかし、一方でここに出演している主要人物俳優のそれぞれがロザリオ・ド―ソンを除いて6人が皆、オリジナル版の舞台役から引き継いでいるということから、この誰もがの演技が大変力強い。勿論、ロザリオも彼等に負けていない。歌の部分では充分説得力があっただけに、何度も言うようであるが映画の舞台設定はもっと何とかならなかったのかと思うと残念でならない。前述した、冒頭の場面を一つの枠にした(ありふれた演出かも知れないが)、例えば「五線譜のラブレター」みたいな見せ方、演出法もあったのではないかと思う。

とはいえ、ミュージカルは好きであるが余り詳しくは無い筆者がいつも言うことは同じで、もっと「実験的」なミュージカル作品が欲しいのである。


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by turtoone | 2006-10-21 23:11 | 映画(ら行)