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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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フォレスト・ガンプ ~My Collection~

フォレスト・ガンプ ~My Collection~_b0046687_17104020.jpgこの作品に関しては改めて何も紹介する必要が無い。ならレビューなんて書くなと思われるだろうが、逆の言い方をすれば、この作品に対する感想というのは、色々な人がいろいろな視点をもって述べても、全て正解だと思う。勿論、映画というのは文芸作品であると同時に大衆娯楽であるから、どの作品に関してもそれは同じである。但し、何故、敢えてこの作品の鑑賞記事でそのことを言いたかったというと、この作品自体がそういう視点で製作されているということと、この作品は「アメリカ」そのものだからであるということである。

まず人生に「普遍はない」ということ。これは決して悪いという意味ではない。冒頭に「チョコレートの函」で例えているように、変化があるから人間の一生涯というのは貴重なものであり、一人一人の存在に何にも替えがたいものなのであるということを全編に亘って強調している。フォレストは、20世紀後半の重要な部分に全て絡んで登場するが、これは別にフォレストだからでなく、時代を創出して来たのは合衆国という、他に世界の何処にも例の無い「特別な国家」といういわば「民俗史」を代弁している。それを一人の人生に凝縮させたことより、その特別な国家の道のりを合衆国民の共通項としたのである。この手法は大変支持された。

次にフォレストに代表される様に、この時代にアメリカは「走って」来た。但し、日本の高度成長期とは違い、皆が皆走っていた訳では無い。走っていたのは僅か一部の人間であり、その一部がアメリカを揺ぎ無い世界一の大国に成長させて来た。勿論、主人公であるフォレストの「居場所」いうのは、その「走って、牽引して来た人間」の居場所とは対照的にあるところが大変興味深い。だから、その両対極にある人間が、SFXを介して「出会う」のが、この作品のスパイスになっている。勿論、この部分の編集、効果その他の技術に関しては最新であるかどうかよりも、演出と相俟った完成度の高さは、まさに映画が「総合芸術」という言葉に相応しい。

もうひとつはその主人公フォレストの「位置」に注目したい。筆者は、フォレストの設定で「知能指数が低い」ことより、「南部出身者で且つフォレストという命名」に興味を持った。これはこの物語自体への導入であり、言わば骨格をここに置いたということは大変価値があったと感じる。それを示すように、フォレストは自分の名前を必ず2回呼ぶ。フォレストをミドルネームにも持ち、その命名の由来を自分自身に言い聞かせ、同時に社会に表現しているということである。合衆国の歴史は南部から始まったという誇りを失わないという設定が、如何にも映画らしい。

これらのことから、この作品はまさに「アメリカ合衆国」そのものであると言えよう。そして、作品の完成度を上げるべく演技や脚本も満点に近いが詳細に関してはここでは割愛する。音楽も単にヒットパレードではなくアメリカ音楽史を知る上で言うことがないし、この選曲には、20世紀の後半で音楽の舞台は完全にヨーロッパからアメリカに移ったことを主張している。個人的には、フォレストが3年以上走る箇所のBGM(ジャクソンブラウンだったり、ボブ・シガーだったり)が一番好きである。(勿論、レーナードも)。作品の完成度が高いが、残念なのは物語の設定や問題提起が良かったのに比べると、ストーリー性に欠けてしまった点が全体的に少し弱かったので、特A作品にはならなかったが。

最後に一番気になるのが、「平和集会」の場面。スピーカーコードを抜かれてしまったところでフォレストは何を語ったのか、筆者は原作を読んでないから(書いてあるのかどうかも・・・)分らないが、前後の流れから、「ババ」の事だと思うのだが・・・?


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by turtoone | 2006-09-21 23:11 | 映画(は行)