プルーフ・オブ・マイ・ライフ
2006年 01月 15日
最初にグウィネスが27歳の役をやっているところが驚いた。確か、「シェイクスピア」に出演したときがその年齢くらいであった筈だ。序ながらグウィネスの演技について書くことから始めたいが、この作品での演技は、彼女が一流の女優として成長した証になった。このストーリー同様、彼女も父との死別があり、また、母となり、一段と人間としての深みを感じることが出来た。特に、監督・脚本・プロデュースをこなす、父、ブルース・パルトローはグウィネスがこの世界に入ったきっかけにもなった人物で、尊敬して止まない父親以上の存在であったという。当作品のヒロイン・キャサリンと全く境遇が全くダブルのである。その父親役にアンソニー・ホプキンスと、更に「アトランティスのこころ」で共演したホープ・ディヴィスが今回は父娘役(グウィネスの姉役)で出演しているところも中々興味深いキャスティングである。今回のグウィネスの役どころは大変難しい内容であった。父を尊敬し、父と同じ才能を秘めながら、父としてでなく天才数学者への羨望と嫉妬を併せ持つ。しかし、その父は最早、老いと病から娘の介抱がなくては生きててかれない。それだけなら良いが、その父を崇拝して止まない数学者の卵(ジェイク・ギレン・ホール)が、悪気は全くないもののこの父娘の中に執拗に割り込んでくる。父の病を知っているグウィネスにとっては、だからこそ自分も同じ病いにかかると自己暗示に係り、同時に自分を見失っていく。というこれだけの要素の多い役を僅か100分少しの作品で表現するのだから、大変な役だったが、無難というよりも寧ろ、グウィネスの新境地を出しながら見事に演じきれていた。正直、ヴァイオラ&トマス・ケントの様なビューティーアンドセクシーな俳優・演技ではなかったが、今の彼女には、どんな人間もみんな悩んでいるが、悩んでいるから解決策も見つかるのだし、明日への希望もそこから生まれてくるという世界中への強いメッセージを贈れる演技が出来る様になったといっても過言ではない。そういう意味では、7年前の主演女優賞よりも、演技の質は数段高いところに上がったと言い切れる。
数学という学問の深さについての筆者の見解は、「ビューティフル・マインド」のレビューで書いたのでここでは割愛する。しかし、この父娘もそうであるように、天才とは悩み多きもので、また、天才にしか理解できない(嫌、天才にも理解できない)のがこの社会の運命だったり、親子関係だったりするのであり、これは数式で表すことが出来ないからである。但し、この作品では、その天才というものの理解を、「ビーティフル~」が二人称であつたのと違って、一人称で解決・表現しようとした点は、この企画の試みに拍手を贈りたい。
しかし、途中でホプキンス演じる父が証明した「数式」って、本当に凄い内容なのだろうか? 数学という理念・概念を数式でなく言語でした表現できない筆者にとってはチンプンカンプンだったので、もし、何方か数学に精通されている方がいらしたら、是非、お教え頂きたい。
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by turtoone
| 2006-01-15 00:11
| 映画(は行)