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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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シービスケット ~My Collection~

シービスケット ~My Collection~_b0046687_18403835.jpg邦画というものを、せいぜい年に1~2本しか、シアターでもDVDでも滅多にみない筆者であるが、随分前に、宮本輝氏原作の「優駿」が映画化された時は流石に劇場に足を運んだが、これはその前のやはり氏の原作である「泥の河」が良かったからで、「優駿」はなんてことは無かった。この「シービスケット」も、昨年のオスカー作品賞候補にノミネートされたが、筆者は勝手に同じ様なものだと思っていた。というのも、競走馬、特にサラブレッドというのは現代で言えば、走る芸術品とか、奇跡の血統等と総称され、発祥の地イギリスでは”King of Sports”とも言われている。当然、一頭の競走馬にはそれぞれ、それに関わる人間ドラマが、その馬の数だけあるということで、その程度の作品だと思っていた。

しかし、大筋では「その程度」のストーリーが骨格であるが、この作品はそれ以上に色々な技法を取り入れている。まず、脚色的にいうと、名馬の血統ながら成績の上がらない荒馬シービスケット、自動車の販売でアメリカンドリームを実現した一方で最愛の息子を亡くした実業家馬主、元カウボーイでどんな荒馬も手なずけこよなく馬を愛する一匹狼の調教師、そして、口減らしで厩舎に預けられた過去のコンプレックスを引きずり、喧嘩っ早い馬でいえば荒馬の天才騎手が、普通の作品だと「出会うべくして出会う」という臭さを払拭出来ないのだが、その辺りは淡々と描いている。この脚本は良いのだが、脚色的に、妙な「サイレント」や構成として「カットバック」を多様しているところが逆に、どんな意味を持って区分けしているのかが余計に気になり、かえって逆効果だ。無論、その「脚色の謎」が後で解かれる部分(騎手の眼について等)があることはあるのだが、ストーリーの分かり易さと差し引きするとリスキーな箇所が多過ぎるのは事実である。ただ、これは、どちらが先か分からないが、そういう手法を取るが故に「世界恐慌」前後のアメリカ史を分かり易く纏めた歴史資料になったということでは、違う意味で評価できる点である。

但し、やはり全体的に技法の拘りが多過ぎて、実は物語的には大変感動的な内容である一方、何故かラストにも物足りなさを感じるし、エンドロールの時に残る虚しさは払拭できない。この作品、筆者もDVDが発売された時にはこのプログを既に立ち上げていたのに、レビューを書いていない。要するに、忘れていて見ていなかったのだろうと思うが、その程度の印象しか残っていないというのが筆者にとっては紛れも無い事実なのである。

俳優に少し触れると、実業家馬主役のジェフ・ブリッジスは、妙にこの役が填まっていると作品の初めからそう思っていたら、実はコッポラ作品の「タッカー」でも、自動車開発の夢を実現化させた実在の人物、プレストン・タッカーを演じている。どうりで、填まり役な筈である。タッカーの時よりもご自身に体型と演技に貫禄が出て、馬主という役柄が可也あっていた。

もう少し叙情的な演出をしても良かったのではないかと思う作品である。


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by turtoone | 2005-03-09 19:09 | 映画(さ行)