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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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エネミー・オブ・アメリカ ~My Collection~

エネミー・オブ・アメリカ  ~My Collection~_b0046687_21104056.jpgジェリー・ブラッカイマー製作の作品というのは中々どれを取っても観点が面白い物が多い。特に、筆者は、この「エネミー・オブ・アメリカ」、「ザ・ロック」、「コン・エアー」は(勿論それ以外の作品も甲乙付けがたいが、この3作品は特に・・・)最初見たときのインパクトを、何度見ても、新たに感じることができる。それは、ストーリーもさることながら、トータル的に映画作品を作るのが上手なのだと思う。その中には色々な要素があるが、ジェリー・ブラッカイマーの製作作品が秀でているのは、「仕掛け」と「キャスティング」である。

この作品は、まずその「仕掛け」の部分が突飛である。国家安全局の行政官が暗殺の隠蔽工作をはかるというのだから、これはもう「無敵」に近い設定なのだが、それが、一弁護士の正義感ならぬ、「濡れ衣」の証明をするために、主人公がどんどん深みに填まっていくのが面白い。そして、ひとつひとつのシーンに緊張感を持たせるのが、時折出てくる人工衛星と、真上から対象を追い続けるカメラワークである。それも、モノクロ画像や、電波障害によるコントラストの乱れを効果として用いているのが大変細かい。これは「プラスバシーの侵害」なのだが、ついつい実際、自分がこのように日常を監視されているのではないかという「恐怖心」よりも、こういう細かいカットの挿入や効果の使い方で、観客の興味は、寧ろ主役を「監視」する側に回っていくのが面白い。この辺りの手法が、この作品のブラッカイマーらしい「仕掛け」である。

もうひとつは「キャスティング」である。主人公の弁護士にウィル・スミス。弁護士を助ける元諜報員にジーン・ハックマン。そして事件の首謀者である行政官にジョン・ヴォイドと、これは完璧な布陣であるし、これだけ見事に、この3人の役柄が填まった作品も珍しいと思う。ブラッカイマー本人もびっくりしたんじゃないか? 特に、ウィルとハックマンが二人で行動するようになってからは、テンポもどんどん早くなり(というか、別に最初のテンポは遅くない、寧ろこのタイプの作品では説明調も少なく、早い方である。)一気にラストまで持っていくところは圧巻だ。こういう作品は、往々にして、ハックマン演ずるところの「元諜報員」という役柄の過去を何らかの形で掘り返すものが多い。掘り返した内容を、やたらと国家の方針とか、時代の風潮とか、特に冷戦時代の産物的な扱いをするものが多く、妙にそこに「主題」を持ってくるものが多いが、この作品に限っては、そういう「休憩」も「理屈」も無い。逆に、全能の監視・追跡システムを相手に、機械を越えた知恵と策略(時には体力と運動量)で対抗するところがこの作品の見所である。

ウィル・スミス、ジーン・ハックマン、ジョン・ヴォイド、何れも素晴らしい俳優だ。この3人に関しては、今後も俳優評を書く機会が沢山あると思うので、今回は遠慮しておく。この俳優を活かすのも、この作品の「仕掛け」が絶妙だからである。


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by turtoone | 2005-02-14 21:59 | 映画(あ行)