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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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のだめカンタービレ 最終楽章<前編>

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音楽のブログでは稀に触れることがあるが、この「のだめカンタービレ」の原作者というのは、本当に良くクラシック音楽を知っているといつもながら敬服する。しかも単にクラシック音楽を知っているだけというのなら、筆者も含めてマニアックのパーセンテージは、もしかしたらジャズマニアと同じくらい存在するかも知れないが、更に言えばこの作者は楽器にも楽典にも、そして音楽家という人種を大変欲理解しているし、更に言えばそれらを含めて、それでは何故、この日本という国ではクラシック音楽が流行らないのかということも知っている。そう、日本人は残念ながら本質的にクラシック音楽がどんなものだということを理解していないが、それは文化・芸術の違いだから仕方がない。しかし、仕方がないというだけてなく、この原作者はそれでもまだクラシック音楽を楽しめる余地を残していることを実に良く知っている。だからこの作品がコミックから映像に土壌を変えたときに、初めて「音楽」がこの物語を脚色する一要素として加わったときに、大きくこの物語は再生し、そしてクラシックも随分浸透した。

例えば、ラヴェルのボレロのくだりで抱腹絶倒できた人。貴方はすでに立派なクラシックファンである。あの面白さというのは究極である。同時に楽団のオーディション風景。ファゴットのエピソードがその後に関しても極めつけで実に拘りがある。そういうコメディ要素をふんだんに盛り込みつつも、再編成した楽団の演奏曲、特にバッハのコンチェルトの弾き振りと、チャイコの悲創にのだめの心境がシンクロしているところなどは、新しい音楽の姿を描きつつ、さらに主人公である野田恵がこの物語の中心であることを見事に描写している。ただ、同時にクラシックファンとしては残念な疑問も残る。ドラマの特別編でのヴァイオリンコンチェルトから矢鱈とチャイコの曲が多いが、ヨーロッパでチャイコはあんなに絶賛されないし、大序曲1812(パリのオケだからこの曲が認められるのは分かるのだが…)を、まず1曲めには持って来ないところが少し残念だが…。こんなに最初から盛り上げてしまうと次の曲が続かないから余りこういう構成は多くない。ただ一方でこれがパリの市民に対してだという皮肉まで込められているとした(この原作者のスタンスとしてそれは無いと思う。彼女は常に調和とか尊敬というキーワードを持っている。それは音楽家同志でもあり、また客席に対してもそうだから)音楽界の現状、フランスへの風刺も訴えていて面白いのだが。また、今まではテレビで、如何に46型の大きな画面で、ホームシアターで聴いていても、やはり映画館の音響はずっと迫力があったので、この作品は映画して正解であった。

私は原作を知らないので後編への期待は大きいが、予告編を見る限り、後編はなんとのだめがミルフィと共演、しかもそれがショパンの1番、これはメモリアルイヤーを意識してもあるだろうが、ピアニストとしては最高の勲章。それと同時にショパンで与えられた幼い頃のトラウマをショパンで克服しようとするのか。そして更に時間の無いというミルフィはやはり耳が聴こえなくなってしまうのか。興味は尽きないが、クラシックにはまだまだ名曲が沢山ある。個人的には千秋真一のマーラーが聴きたい(まだまだ新鋭指揮者だからマーラーを振るには青臭いかもしれないが、ショパンが200年なら、マーラーも150年のメモリアルだから)など、後編で終わられてしまうのは大変勿体無いほど、コンセプトのしっかりした作品であることは間違いないのである。


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by turtoone | 2010-02-11 18:13 | 映画(な行)