暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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<   2008年 07月 ( 6 )   > この月の画像一覧

b0046687_14334422.jpg劇場公開中にレビューを書けなかった作品のDVDが出たので買ってきた(尤も当作品DVDは次女が購入した。ふたりの娘共に親に似たのか、小遣いの殆どは音楽・映画のソフト代に消えている。もっと本を読め、パパは音楽もやっていたが、実は文学少年だったんだぞ~)。実は、このレビューが遅れた理由のひとつにディズニーが何を目指して、何処へ行こうかという趣旨が作品から読みとれず、実はそういうことを沢山含んでいた作品だったと思ったからである。筆者とディズニーの長い付き合いの中で、一見、単なるパロディ作品であるが故に、では、何故この作品を制作したのか、誇り高く、且つ、綿密なディズニーは思いつきで作品を作ったりしない。そこをもう一度確認したあとでレビューを残したかったのである。その前に、以前にもこのブログの何処かに、筆者の「ディズニー三大ヒロイン」というのを記したと思う。要は出てくるお姫様で誰が好きかってことで、筆者の場合、音楽のアリエル(リトル・マーメード)、歴史のムーラン、インディアンのポカホンタスであり、これはイコール、筆者自身が人生の中で多くを学び取った(なんていうと格好いいが、ただ好きなだけ??)要素と呼応していることも以前に書いた。今作品のヒロインはジゼルであるが、ディズニー作品においてのヒロインは自分の好きなヒロインと対比させてみるととても面白い。いや、陳謝。このことは、これから書くこととは何も関係ないので、余計な一節だった。

そもそも「白雪姫」を最初に試写した際の観客というのは皆おとなであった。映画「ネバーランド」 みたいに、客席に子供を散りばませたりしなかったのは凄い自信の表れで、いい大人がハンカチを取り出したとき、ウォルト・ディズニーは成功を確信、「重要なことは皆子供の時代があったことだ」というけだし名言を残した。つまりはディズニーの製作理念というのはここにある。そう考えると、この作品に出てくるディズニー過去作品のパロディはすべて単にパロディとして扱っているのではないという部分が見出せる。特に、冒頭の飛び出す絵本からジゼルの登場と、囀って森の仲間に掃除をさせてしまうのは、観客が「シンデレラ」を知っているという前提の下に作成されている。しかし、ではシンデレラを知らなかったらつまらないかというと、恐らく、この作品を観ようと思った人の10%程度だとは思うが、シンデレラを知らない人でも楽しめるようにニューヨークの実写版でも同じことをやってみせる。つまりは、よく考えるとはじめにシンデレラありきではないのである。次はスノーホワイトのパロディとして鏡が出てくる。また、オーロラ姫のパロディとしての王子継承問題と、既にこの時点で3つの作品が互換して出来上がっているヒロインがジゼルである。(顔はアリエルが一番近い?)。しかも王子様と出会えればそれですべて夢のような薔薇色の世界が約束されるという前提は、最初から過去に製作・発表してきた名作を全否定しているのであるから驚きだ。それから、お家芸でもある撮影特殊効果に関しては、ナルニア物語等でその集大成を見せているように完成度は大変高い。しかし、これも白雪姫の時代には、実際に人が踊ったり、演じたりしてみせたのをアニメーションに書き起こしたように、今回も軸は人であり、それは俳優である部分がなんとも感慨深い。特にジゼルが窓から動物を呼ぶシーンは、半世紀前に同じようにシンデレラの原画を書くときに当時のモデルが同じようなことをしたと思うと、時を越えても一貫して「人」に焦点をあてている姿勢は一ファンとして嬉しい。鳩やコックローチはともかく、鼠がたくさん出てくるのは仕方ない。ディズニーは鼠で儲けた企業なのだから、最初に鼠ありきは当然のお約束である。コックローチだって、ニューヨークなんだから、キリギリスにするわけにはいかないだろう。また、徹底しているところでは、ロンドンではないからピーター直接をパロっていなかったりするが、ジゼルに妖精(この場合の妖精はティンクでなく、眠れる森の妖精に近い)という言葉を言わせたり、エンドロールのバックにティンクが出てきたりするところも抜かりない。

そしてストーリーも決して横柄でなく、Dreams come trueという創設以来の主題を掲げているのも納得する。面白かったのは「怒」に関してのジゼルの考え。確かに、これまでのヒロインは余り怒らなかったが、人生には「喜怒哀楽」がなくてはいけない。ニューヨークに来て最初に声をかけるのが「おこりんぼさん」という辺りにも伏線を引いている流れもとても良い。但し、頂けない部分が残されていた。魔女の巨大化である。どうも「リトル・マーメード」以降、このいままでの蓄積を一度破滅させようとするパターンは良く理解できないし、「あっ、またこれか?」って思ってしまうから、残念だ。マーメード同様「真実の愛」が呼応していねから、どうも魔女っていうのは「真実の愛」が嫌いなのか、それに裏切られてみな魔女になってしまうのか、そんな余計なことまで考えさせられる羽目になった。もし、この場面が大仕掛けだとしたら全く間違いであり、わざわざおとぎの国から主要キャラを全部呼んでおいてドラゴンがクライマックスじゃあ、ゲーム「キング・オブ・ハーツ」の方が余程面白いって、ここまでお膳立てを作っておいて最終的に斬新さは何もなかったと言いたい。冒頭に書いた部分の疑問はただの取り越し苦労であったのだろうか。結論は先送りしたい。

しかし、全体的にすべてディズニーらしいミュージカル構成で、特に「セントラルパーク」のシーンは、「アンダー・ザ・シー」に匹敵するミュージカル場面となった。おとぎの世界以外でこんなに魅力的なキャラが揃っているのもニューヨークのこの場所しかないというところも設定からして流石であり、全く違和感のない(現実として感じさせない)作りは一朝一夕の思いつきではなく、この発想の元こそディズニーの財産である。筆者としては同時に、なぜニューヨークにディズニーランドが不要なのか妙な納得もしてしまったが。ただ、「ベラ・ノッテ」はニューヨークにあったんだっけ? あの場面でアコーディオンで一曲欲しかったと思ったのは筆者だけ?


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by turtoone | 2008-07-21 14:34 | 映画(ま行)

JUNO/ジュノ

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オスカーの脚本賞というは筆者的にはとても興味深い物であるが、一時期は選出の基準に首を傾げる時期もあった。しかし、昨年の「リトル・ミス・サンシャイン」同様、この作品の脚本賞は大変頷ける。

この作品は、16歳の少女が妊娠したというところだけを追ってしまうと、数々のメッセージを見落としてしまう。しかし、その辺りは意外に本人が重大事にも関わらずあっけらかんと装うことと、椅子という小道具を上手く使っているところ等で淡々と描き、物語も進行するので、鑑賞者も余りその事実にとどまらずについて行ける。まずはこの辺りの脚本は上手いし、同時に演出も脚本を良く理解しているのと、音楽の効果が抜群だ。

そして、この物語の大事なところは三つのカップルの比較とジュノ自身がどのように関わっていくかである。ジュノを中心とした継母ブレンと、養子縁組の里親母ヴァネッサ、さらに継母の夫(つまり実父)マックと、養子縁組の里親父マーク、それに彼氏でお腹の子のパパであるポーリー。ジュノとのそれぞれの母繋がりを軸に男性陣を見るのと、直接男性陣を見るという二つの視点を、各々のシーンで楽しめるという不思議な作品だが、これが実に面白い。つまり物語の軸がここにあり、そこから妊娠とか養子縁組とかという問題を、当人やその家族や友人等のそれぞれの環境に派生させているので、一見すると単調な人間関係もきちんとサイトマップを書かないと真実は分からないという現代社会に於ける人間づきあいの難しさを表している訳である。勿論「子供求む」が、犬・猫は愚か爬虫類のペット募集の広告と同列で掲載されていることから揶揄されるアメリカの現状だったり、一方で養子縁組という現実が斬新だと思いきや、当人達は至って古きを好むという皮肉も実に愉快である。

同時にこの作品は米社会の理想と現実の狭間を実に軽妙に描写している。冒頭のドラッグストア主人とジュノの会話、中絶施設の受付女性とジュノのやり取り、継母と超音波技師の対話、そして、ジュノとヴァネッサとの会話の殆どの台詞には、その狭間から見た米社会への風刺が込められ、同時に現実に生きる人間の強さが語られている。理想と現実という事でいえば、理想派の男、現実派の女という、性的な違いも絶妙に表現しているが、特に妊娠・出産という、男女の違いが最も明確に分かれる側面に於いてのシテュエーションというのは、単純に思われ勝ちであるが、やはり題材にする価値があるほど深い。これらの細かい脚本の妙とその良さが漸く後半になって分かった。

ジュノ役の初々しさが良い一方で、容姿に似合わない悪たれをつくところのアンバランスがこの作品を常に先へ先へと引っ張るのもキャスティングの良さであり、又、どう考えても早く「大きく成りすぎるお腹」などは必要以上に鑑賞者の興味をひく、細かい演出も施されている。また、ジュノを取り巻く人たちのひとりひとりがとても丁寧に描かれているのも、昨年の「リトル・ミス・サンシャイン」に通じる部分がある。但し、同作品が現代アメリカ社会の病巣を1台のミニバンに詰め込んだ(筆者はそう評した)のに比べると、風刺は効いていたが、小さなジャブ程度で、カウンターパンチに繋がる問題提起に至らなかったのは残念だ。例えば、胎教にはほど遠いパンクやホラーが出てきて、苦笑を誘うがそれだけで終わってしまったり、前述した超音波技師との一幕も対話があっただけで結論づけてはいないから、ちょっと面白い言いあいか、継母でも愛する娘は守るぞという姿勢表明にだけに終わってしまっているから残念だ。

筆者が鑑賞した回は公開から既に1ヶ月以上達つのからか、ミドル層が多く、若くても30台のカップル(夫婦かな?)で、館内に10代の若い子の姿が皆無だったが、偶然だろうか。ジュノの同年代の男女に観て欲しいと思った。筆者も娘と一緒に観られなかったのが残念だが、家内は娘たち、特に長女はジュノと同年代だから単館に足を運んででも一緒に観て欲しいし、年頃のお嬢様がいらっしゃる母子には、是非一緒に観て欲しい作品だと男親としてはそう思うが、年頃のお嬢様のお母様のご意見や如何に?


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by turtoone | 2008-07-19 20:41 | 映画(さ行)
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先行上映も含めると、略1ヶ月遅れであったが、やっとインディを鑑賞することが出来た。実は家族揃っての予定であったのだが、直前になって次女が「あんなお爺ちゃんが活躍するアクションなんて嫌だ」と言い出して(彼女は先週花男観たばかりだからね。私の宝物である過去のDVDも観たことがないし・・・)、彼女たちは来週から長女がステイに行くカナダのお宅へのお土産買い物に出かけてしまい、一人の鑑賞になった。まぁ、SW同様、インディには特別な思いがあるからその方が良いのだが。

オープニングエピソードには驚いた、最初は「ボールズ・ボールズ」でケニー・ロギンスが歌いだすのかと思いきや、突然時代は1950年代へ。更に、時代の変遷から相手がナチスから旧ソビエトになっている(予告のケイトを見たときはスターリン万歳とは思わなかったので・・・)。勿論脱出、しかし脱出先からさらに核実験でまた脱出。このあたりは、「魔宮の伝説」で毒消しがなかなか取れないじれったさ(当時はアレが売り)と違った、「これでもかっ」っていうGSのしつこさには脱帽する。良くあの冷蔵庫があそこまで飛んだものだって、これは、SWで、R2と3POがダントゥーインへ飛ばされたのと同じじゃないかと妙に納得。以降も様々な作品のパロディが組み込まれていて、インディなのか「ホット・ショット」なのか途中で分からなくなったのも事実。

しかしながら、さすがに「ジュラシック・パーク」と同じく、常に新しい科学や研究の成果を前面に出しているのは事実。特に、19年前には解明されなかった、マヤ文明に、「アポカリプト」には遅れたものの、大きく一歩踏み込んだのは事実。世界四大文明(ちなみにこういう呼び方をしているのは日本の教科書だけ・・・、メソポタミヤ・エジプト・インダス・黄河に続くのが、アマゾンと揚子江)ならぬ、新しい文明発見の可能性を、デアゴスティーニの「歴史のミステリー」と同様の研究者も頷くような高いレベルで考察したことには拍手を送りたい。最初はこのためだけにこの映画を撮影したのかと思ったので、さて、解明しきれていない文明の帰着を何処に持っていくのかと思いきや・・・、なるほど、その手があったかと、これはGSだけができる特権だよねって、だったら、最後はいっそのこと空飛ぶ自転車で脱出してくれたら良かったのにと、ならば、最後までパロディになってしまっただろう。(尤も、それに遠くないが・・・) 贔屓かもしれないが、GSじゃなかったら絶対に許されない展開である。但し、ロズウェルは引っ張りすぎ。「インディペンデンス・ディ」ではあるまいし、この引っ張りを序盤だけならまだしも、あそこまでやられると、インディもただの大衆娯楽活劇だと言い切ってしまうぞと警告する。勿論、それに対するインディの回答は台詞にあるのだが、一番いいところであれはないだろっていうのは正直な感想。相変わらずVFXを使用せず、宮殿の仕掛けの手作り感は絶妙で、今回は過去3作よりもさらに精密になっている美術や効果、撮影技術も、前述した本作製作への発想はすべて素晴しいのに、肝心の物語はボロボロでしたというのが正直な感想である。

65歳のハリソンフォード、勿論、イコール主役のインディもそうなのてあるが、年相応のアクションやキャラを用いているところの発想は良かった。つまり、インディの最新作を製作する土壌はすべて整えつつも肝心のストーリーへの執着と詰めが甘かったのは、周りの期待に応えるべくの致し方ない対応だったのだと思う。何せ、本作製作準備は20世紀から始まっていたし、ケビンコスナーが、兄役で出るという話題もとんだほど。映画関係雑誌の年頭特集にもここ数年は毎年、「インディ公開の予定は何時」という記事が掲載されていた。本作品は期待に応えただけでも鑑賞の価値があると思う。但し、正直、マーカスがいないのがこれほど寂しいのは(予想はしていたが)、やはり大いに物足りなかった。イギリスが誇る名優、デンホルム・エリオットは1992年にエイズにより他界している。このブログでは触れたことがなかったので、この場を借りてご冥福をお祈りする。

そういえば、父、ヘンリージョーンズも他界したことになっていたが、彼はインディ同様「最後の聖戦」で聖水を飲まなかったけ? これから復習しなくては・・・。


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by turtoone | 2008-07-13 15:37 | 映画(あ行)

告発のとき

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映画における戦争をテーマにしたものは名作の確率が高い。筆者のビデオ・DVDライブラリーをみても、20%近くを占めているから、もしかしたらジャンル別に分けたら最もパーセンテージが高いかもしれない。しかし、一方で沈痛・悲痛な物、後味が悪いものも多い。勿論、戦争なんて良いものの訳はないが、例えば、同じ戦争でも中世とか、もっと前の時代が題材の作品に同様な後味が残るかというと、それは少し異質である。但し、それは現実感の問題なのではないかと今までは思っていた。平和呆けのこの国においても、第二次世界大戦の悲惨さは、祖父母や両親から伝えられ、語り継がれてきているし、ベトナム戦争時代に戦地に赴いているわけではないが、反戦運動や、わが国にも関連した学生運動が起こっていた事実に多少なりとも接触をしているからか、自分というものを軸に考えて、悪事だという判断と悲惨さの共感は心のどこかに潜んでいて、それが唯一、戦争に対する自身の良心だと思っていた。だが、この作品で分かったことは残念ながらそれは大いなる勘違いであるということだ。

ベトナム戦争を経て、アメリカの戦争に関する考え方も大きく変わった。これは核というものの存在かどうかは別として、戦いというのは、すべてにおいて強いものが勝つという構図を変えてしまったのが現代の戦争である。イラク戦争において、アメリカは勝った訳ではない。それは既にベトナムから始まっていた。世界の国々がこぞって「アメリカ」になりたがったら地球はどうなってしまう。そんな疑問も今はない、なぜなら、19世紀のイギリスを目指したアメリカと違って、今、世界は「アメリカ」なんか目指している国は、ちょっと勘違いをしている「中国」以外にはないからなのであろう。人間は100年かけて、少しだけその部分を学んだのかもしれない。そんなアメリカが21世紀になって、まだ、19世紀のイギリスを目指しているという部分の歪みがこの映画作品に出てくるイラク戦争兵士たちの世界に現れてしまうのである。そして、それは戦争につきものである「西武戦線異常なし」と同じ、大国の一部において、一兵卒の問題は何も「異常なし」という報告がなされるが如く、やはり全く変わっていない。同映画作品のエンディングが如何に本質を示し、変わることのない命題であり結論であることを、全ての戦争映画、及び、アメリカ兵の戦場の実際を物語っていることにも、改めて同作品は素晴らしいと思う。大いなる勘違いというのは、自身の戦争に関する体験云々でなく、人間社会が大きくなるが故に比例する国家と国民の非統一感とそれに対して何もすることができないという諦観な脱力感に他ならない。

トミー・リーとシャー子の共演は見事。この二人は本当に作品と共演者によって随分演技の質が変わってしまう俳優だ。しかし「依頼人」で対決したスーザン・サランドンと夫婦役だったが、スーザンの迫力があの作品ほど無かったのは残念だったが、役柄的に致し方なかったかもしれない。トミー・リー演じるハンクの元軍警察という役どころも一見すると単純に思えるが、物語が進むごとにそれが深くなりきめ細かな設定だということが分かってくる。アメリカの何かが崩壊していく、そんな、緊張感と虚脱感を十二分に髣髴させてくれる役柄である。また、シャー子演じる女刑事エミリーが、洞察力の鋭いハンクの言動・行動に刺激され、徐々に迫力が出てくるところも演出もさることながら全体の構成を踏まえた演技力には脱帽。「スタンド・アップ」に匹敵する彼女の名演を鑑賞できる。「クラッシュ」に関しては、テーマは良いものの映画作品としての構成が甘かったと評した筆者であるが、この作品は全く逆。テーマがこなし切れていない部分を全体の構成力で補っていて、それは、前述した役者の演技だけでなく、動画の効果だったり、写真や、兵士の台詞など細かい点にも現れている。宅配便の一件といい、米国旗の流れといい、そしてなんといっても、旧約聖書を引き合いに出した主題(何故、邦題は当初の予定通り「エラの谷」ではなかったのか? 勿論この邦題の「とき」という言葉に重きをおきたい気持ちはわかるが、この作品は直訳邦題で良かったので残念)に、母親としての女刑事が皮肉をいうオチまで、とにかく構成は素晴らしい。また構成が見事に完成されたが故に、初めて鑑賞者に理解される問題提起という部分では、最早映画作品の枠をも超えている。最近は物語や全体構成が伴わない中で、問題提起ばかりされる、ある種ドキュメントに近い作品が多い中、「事実に基づいた着想」というエクスキューズも生きた内容であった。

残念ながら、音楽や美術などの部分と、撮影や編集にもう少し斬新な点がひとつ欠けていたために最高ランクには到達しないが、この作品も戦争映画では極めて評価の高いランクになるA作品である。拡大系ではないが、是非、時間を作ってシアターで鑑賞して欲しい。


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by turtoone | 2008-07-12 22:22 | 映画(か行)

西の魔女が死んだ

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この原作が100万部を越えるベストセラーだということを、シネコンで見終わった後立ち寄った書店で知ったが、如何に原作に忠実だったのか、それとも原作を越えられたのかは別として、なんて色々な要素を詰め込みすぎた作品なんだろうかと思った。対比が都会の喧騒(というシーンは出てこないが)とか、登校拒否、ダブルインカムなどやたらと現代社会の病巣になりうる要素のてんこ盛りに、田舎のスロウライフ生活一本で通そうとしている部分にはそもそもの作品としての無理があり、速読が出来、文学青年だった過去と比べ、最近は特に日本の新刊は週に1冊程度しか読めないから原作の存在すら知らなかったが、批判している訳ではなくこういう類の小説が売れてしまうということに疑問を感じる。

同様にこの作品の構成に関しても可也疑問を感じた。所謂「魔女修業」というと「魔女の宅急便」くらいしか思い浮かばす、だが実祖母が魔女だというリアリティのなさは、その時点で残念ながらアニメの原作に負けている。勿論、箒に乗って宙を飛べとか鼻をクチュクチュさせて荷物を簡単に運べということでなく、本当に自分の祖母が魔女なのであればその誇りだけで十分実社会でやっていける筈だと思うのだが、前述したように、現代の病巣を全部詰め込んだような家庭を勝手に築き上げ、対してそこにやれ自然の営みやら、人間の尊厳や価値やら、非文明的な生活やらをぶつけた総称としての魔女を置いていることに、そうか、現代の人間社会ってそんなに酷いものなのかって疑問に思う。舞の家族って別に特別なものではないし、夫婦ともに仕事を持っているとはいえ両親共にしっかりしているし、作品で見る限りとてもわが子のことを気遣っている。今、子供のことに体当たりできない親が多い中で、立派な親だと思う。父親だってそうだ。魔女とは当然義理の母だからぎこちなさはあるが、義理の父を尊敬していることを娘になんの飾りもなくストレートに話す。久しぶりにあって多感な中学生の娘とこれだけ話ができるということは仕事もしっかりとしているということだ。つまり。そもそも作者が想定していた対比は残念ながらこの物語設定では生まれない。欲張りすぎなのである。明治から戦後直後の作家作品はもっと骨太でイデオロギーがあった。今はこれがベストセラーなのかと思うとも残念ながら空虚感が広がるだけだ。

サチ・パーカー(確か本名はサチコ・パーカーだったかと・・・)は、親日派父、スティーヴが大女優シャーリー・マクレーンと別居してから以降、しばらく日本で暮らしていたから日本語も流暢であり、魔女って感じ(筆者の大好きなシャーリーは魔女役をやったけどね。母は今でも魔女みたいな雰囲気がある)はしない。寧ろりょうちゃんの方が狐みたいで、こっちが東の魔女みたいだと思う。余談だがりょうちゃんは雪女もできそうだが、雪女だったら「小雪」の方が適役かなぁと、余計なことを考える時間を与えてくれたほど、中盤は暇な作品だった。ただ、ゲンジの存在だけは場所は田舎とか自然に囲まれたかどうかしらないが、人間社会を描いている。そのゲンジに対して舞が最後まで受け入れられない部分はこの物語りで唯一よくわかるところであるが、問題はそれが年頃の娘に対してのゲンジが、ぶっきら棒な田舎の人間だからか、大人の男としてなのか、ただ、第一印象で嫌いなのかは彼女の内面でもわからないというのがこの年頃の娘であり、だからそれに対して結論を迫ったり、彼女の応対に必要以上に理を通そうとする魔女の対応も、どうも魔女らしさを感じないし、祖母らしさのかけらもない。説得力にも欠けている。一体、舞のバカンスの意味はなんだったのかというのが最後まで霧の中に包まれてしまったところが残念だった。だから最後の自動車のシーンで一気にまとめに入った舞の台詞は頂けない。

それから最後はあの花でなく、やはり野いちごを山一杯にしてくれなかったのかなぁ。魔女の最後の魔法でもなんでもいいからさって、ティム・バートンだったら原作を越えてやってくれたのに。


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by turtoone | 2008-07-05 17:57 | 映画(な行)
昨年度の新作劇場鑑賞本数の著しい減少(98本)傾向に歯止めをかけるために、今年は随分ハイペースで劇場に通った。レイトショーも随分行ったし、週末まとめ鑑賞も行い、それでもやっとこさ観た本数は、71本。ペースとしては昨年・一昨年を上回っているが、なかなか週3本ペース(26週だから78本)には追いつかないものだ。上半期のランキングを発表しようと思ったのだが、今年度作品は少しDVDで観直したい作品も大変多いので、一応点数は出しているが、ランキングに関しては年末に纏めようと思った。

さて、下半期だが、年頭に発表した「2008年期待度ランキング」と随分様相が変わってきたようだ。たとえば第1位にした「ワルキューレ」は色々悲劇が重なりどうやら公開は来年2月になりそうだし、第2位のレッドクリフは2作品に分割される模様。三国志の大ファンなのに「赤壁の戦い」を2回に分けられるなんというのは屈辱以外なにものでもない。

なので、ランキングも少し変動がある。但し、上半期に比べると全体的に期待度は低い。後半は鑑賞本数が落ちるのかなぁ・・・。

1.レッド・クリフ
2.ブーリン家の姉妹
3.パコと魔法の絵本
4.この自由な世界で
5.コッポラの胡蝶の夢
6.敵こそ、わが友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~
7.わが教え子、ヒトラー
8.ティンカー・ベル
9.純喫茶磯辺
10.コレラの時代の愛
次点 帰らない日々、ダークナイト、ハンコック

b0046687_2318519.jpgやはりそうはいっても他に然程期待の大きい作品もなく、やはり「赤壁の戦い」が筆者の中では抜きん出ている。また邦画が2作入っている。期待度ランキングで邦画がトップ3入りしたのは「千と千尋の神隠し」以来である。その宮崎の新作は今回は期待度が低い。しかし、ミニシアター系が随分並んだのも、下半期は期待の寄せられる大作に乏しいという言い方もできる。とにかく「ワルキューレ」の延期はテーマがテーマだけに残念だ。

ともあれ、羅列した作品は、単館上映が多いから、下半期は東京中を飛び回ることになりそうだ。


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by turtoone | 2008-07-02 23:07 | 映画関連