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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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レッドクリフ Part I

レッドクリフ Part I_b0046687_16282354.jpg

「ワルキューレ」の国内年内公開がなくなり、年頭の筆者の期待度ランキングでは結果的にトップなった作品がいよいよ公開された。というより、ここ数年「スペクタル史劇」の映画作品が大変多く、このブログでも、中国といえばなんといっても「三国志」であることを何度となく書いてきた。しかし、そのためにはハリウッドの巨大マネーが必要だが、同時にに三国志だけでなく、悠久なる中国4000年の歴史を踏まえている人間でないとこの作品化は大変難しいと思っていたが、ジョン・ウーという適役がいたことをすっかり忘れていた。この作品化が昨年の今頃明らかになったからなんと一年間。待望の鑑賞であり、まず、そのことに感謝である。「三国志」は日本でも人気が高く、筆者も自称フリークだと思う。そして、数ある名場面の中でやはり、スーパースターが揃う「赤壁の戦い」が題材にしやすいのは当然だと思う。しかしながら、後述するが、そのスーパースターを無理やり一堂に会しすぎてしまったのはどうかと思う。ジョン・ウー監督なればこそ、「三国志演義」に沿って欲しかったと思う。

そもそもの「三国志演義」という書物自体がかなりのフィクションであることは間違いない。実際、正史である「三国志」はつまらない。また、この当時には邪馬台国も出てくる「魏志」が文献として残っているが、これも少し後に書かれたものだから信憑性は低い。今回の作品はニ分割されてしまったが、最初から申し上げると、所謂一般的に言われる「赤壁の戦い」の場面は今回は出てこない。それよりも「長坂の戦い」が冒頭に出てきて(これは予告編での予想通り)まず、監督の作品に対する方向性が十二分に表現される。特に、趙雲が劉備の長子、阿斗を戦乱から救いだし、敵陣を突破して劉備の元に届けたときの劉備の名場面がカットされたのはこの作品が、単に「三国志演義」に捉われず、新しい解釈を加えた赤壁の戦いならぬ「レッドクリフ」を創作しようという意欲と意図が感じられるのであるが・・・。(劉備はこのとき、わが子を地に投げ捨てて「この子のせいで大切な将軍を死なせるところだった」と言ったという。自分の世継ぎより優秀な家来を大事にするという意味では劉備の人柄を感ずる一節だったので、カットされて残念であるが・・・)。つまり、4月の後編になるが、「10万本の矢を集める」、「孔明風を呼ぶ」などという、所謂「赤壁の戦い」における名場面はすべてカットする方向にあるのかもしれない。そういえば、周瑜と諸葛亮が戦法を手のひらに書いて見せ合うシーンもなかった。

また、前半のクライマックスに設定された「赤壁の戦い前哨戦」に関しては、三国志演義には出ておらず、「三国志」に「戦いがあり、連合軍が勝ったが、詳しいことは分かっていない」とかいてあるが、このとき曹操軍は僅かな手勢しか出陣させておらず、連合軍の手の内をみるために出陣させたという。周瑜がここで流れ矢に当たった設定になっているが、それは、赤壁の戦いの終盤の部分であるが、この辺りを上手く繋げたところはなるほどと頷ける部分でもある。しかし。決定的に違う点は、この戦いは「連合軍」になっているが、本当に連合したりは、水上戦になってからで、この時点で諸葛亮は半分人質のような形で呉軍と共に行動しているが、殆どが周瑜、程普、呂蒙が率いる呉が戦ったもので、この時点で劉備(まだ蜀という名前は名乗っていない)軍がこの呉の領内に居たということは全く考えられない。孫権の妹を娶るのも、赤壁の戦いが終わった1年後の「同盟」のためであり、この辺りは、初めてこの作品を見て「三国志」を知る人たちには誤解を与えてしまうと思う。特に、筆者的には、三国志で一番好きなのは周瑜と趙雲だから、彼等ふたりのツーショットシーンは涙が出るほど嬉しいから、ものすごく複雑である。しかし、この脚本が、所謂「三国志ファン」の心を捉えているところは見事。つまり、三国志の主要人物である、曹操、劉備、孫権、周瑜、関羽、張飛、趙雲、魯粛といったところのひとりひとりをとても丁寧に描いていることだ。だから有り得ない戦いや饗宴はこの際仕方ないと思う。それから関心したのが数々の戦法を見事に再現してくれた。このあたりは、孫子の兵法でしか読んだことがないので、実際にこの様に軍が動いてくれると、これらの陣形や戦法が如何に実戦的なものなのかを証明してくれた。ただ、残念なシーンも多く、特に、孫権が机を刀で叩き切ったのは真っ二つだったのに、端っこしか切れてないし、呉と劉備軍のひとりひとりを丁寧に描いていたにも関わらず、魏の人物、例えば張遼とか荀彧、程昱(それぞれ、それらしき人物は居たが)等をきちんと描いて欲しかったと思う。それと、小喬を演じた映画初出演のリン・チーリンは絶世の美女である。

いずれにしても色々斬新なところは高く評価できるが、これらは後編を観てから総合的に評価をしたいが、今作品だけでも期待通りの出来上がりで、高評価である。但し、願わくば、三国志を知らない方は、中途半端に関わるのであれば、全く関わらずこの「ジョン・ウー版三国志」で終わってほしいし、もし、しっかりと関わりたいのなら、「Part.2」までの間に、ゲームやダイジェスト本でなく、是非、吉川英治先生の「三国志」全8巻を読破して欲しい。その方がもっと、この映画版「レッド・クリフ」の狙いが良く理解できるから・・・。


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by turtoone | 2008-11-03 16:30 | 映画(ら行)