容疑者χの献身
2008年 10月 05日
今年度の期待度ランキングには出なかったが、実は密かに今年一番期待していた作品かもしれない。そもそも昨年のテレビ放映中から映画化を前提としていたコンセプトに感銘していたので、気合いの入れ具合にこちらも久々に民放のドラマとしては全部見た。フジでは「踊る大捜査線」などもテレビ、及び映画で大ヒットしたが、最初から映画化は明言していなかったからそれを考えると斬新なコンセプトと同時に(映画の側から見れば)もの凄く金をかけたプロモーションであり、テレビを利用しているということは、そのプロモーション費用の殆どは自腹ではなくスポンサードされているということ。取り組み自体が斬新だし、フジ報道機関としては有能な論説も少なく一流ではないが、こういうメディアという面では柔軟性も高く賢い。そして福山。何か他人の気がしないと言ったら、本人並びにファンの方々に怒られる(既に家族に顰蹙をかっている)が、彼のことはデビュー当時から良く知っている。カラオケでも良く熱唱させて頂いている。この辺りを総合すると実は陰の期待度ナンバー1だったりしている。
ところでこの作品は、現代版「罪と罰」である。また、意外でもあり、そして感心したのは、テレビと違い「映画版」。というか映画の作りに徹していたところである。単なる小細工でなく、スクリーンを細かく観ていると湯川博士で無くても鑑賞者にも謎が解ける展開と見せ方、つまりはテレビのようなあっと驚く科学現象を使って解くのではなく、然程仕掛けの規模も大掛かりにせず、2時間という時間を上手く使って人間ドラマを作り上げた。この感覚もとても斬新であった。特に湯川と石神の人間性を前面に出しつつ、かといってそれを対比させるのでなく、二人の人生観を丁寧に描いたところは好感が持てた。特に、筆者においては前述したように、テレビ版が結構毎回派手で度肝も抜くようなトリックを巧みに操っていたことから、それをそのまま銀幕にスケールもアップして持ってくるのかと勝手に想像していたので、それが良い意味で裏切られたことは嬉しい。同時にテレビ版では、事件そのものの謎を解くのではなく、あくまでね湯川には事件の背景は誰がやったかではなく、そのトリックを科学的に証明することに徹していたが、終盤になってトリックだけでなく、事件の背景やその人間関係にも多少興味を持ち始めた湯川が現れて来ていたが、今回は、その湯川自身が「天才」と認める数学者が相手で、後半は、寧ろそのトリックよりも、以前の同級生で天才数学者石神という人間に興味を持ち、結果的にそれが、この完全犯罪を覆すヒントになったという構成が、テレビ版とも上手く連携しつつ、且つ、映画らしい作品を作り、同時にこの作品はこれだけで完結させたことは大変大きい。
また、そのためのキャスティングもよく、特に松雪の存在は大きかったし、レギュラーメンバーである、柴崎、北村のキャラはテレビよりも際立って見えた。そして今回作品の中心のふたり、福山と堤は前述したように言うまでもない。
筆者もそうであるが、確かに凄く大きなスケールのガリレオを期待していたが、そこを思いっきり裏切ってくれて、新しい人間ドラマに仕立ててくれたことは大きい。そして、願わくば、映画のシリーズとしてガリレオは定期的にこの路線で続けてくれると良いと思うのだが・・・。
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| 2008-10-05 23:57
| 映画(や行)