暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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つぐない

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タイトル(邦題「つぐない」、原題atonement「償い・贖罪」)からして、どうなるか結末が見えてしまうのは上映以前に残念ではあるが、妹なりの始末の仕方には感動。このラストのために考えられたタイトルであるのなら可也凝っていると賞賛するし、同時に本作品は全編を通しての起伏も良く、秀逸な作品だった。

このブログには良く書くが(いや、何度も書いて恐縮だが・・・)日本と英国の時代が、いよいよこの頃には既に同軸で動いている。片や資本主義の発祥で20世紀初頭までは世界一の国であるのと比べ、つい、160年前までは鎖国をしていた日本という可也開きが大きかった二国間は、20世紀の初頭には日英同盟を締結している。物語の設定である1935年はヒトラーがヴェルサイユ条約を破棄し、ナチス・ドイツの再軍備を宣言した年。当然ながら欧州第一国のイギリスには極度な緊張が走る。日本はというと、この年は目だって大きな事件がなかったが(大きいといえば、「天皇機関説」が正式に批判され、自由主義が後退、ファッショに向かう国内情勢は翌年、226事件で最悪の方向に・・・)、欧州の動向と呼応するように、アジアの中での孤立化へと向かっていく時代であった。つまりは英国がこの年代の時代背景の中でこの原作を作った文化的土壌と比べると、日本は大きく後退しているという言い方が正しい。なぜなら、この時代の日本でこの作品のようなを舞台を設定することはできないからである。同じ島国でも、第一次大戦と第二次大戦間のわが国は言い方を変えれば「暗黒の時代」である。

さて、本作品に関してだが、オスカーその他の評価が高かったが、同じコンビの前作「プライドと偏見」が良くなったので、それこそ偏見を持っていたためと、ミニシアター系上映だったために鑑賞も遅れた。しかし、ブロガー各位の評価が高く、これが躊躇していた背中を強く押してくれた。そしてそれはとても大正解であった。いつもながらブロガー各位に感謝、色々と見るべきものがたくさんあった作品だった。幾つか代表的なものを羅列すると、まず、脚本の手法としての小刻みはフラッシュバックは効果的だった。人が何かを認識する際に最も伝わり易いのは結論を先に示す事である一方で、確かに言葉等を媒介にする場合には時間の短縮になるが、語彙の理解度が著しく異なる関係に於いてはそこから連想されるものの差異は大きく、結局は最上の方法ではなく、そこから生む誤解は大きい。考えてみれば人間世界の争いの殆どは結論を急いたことによる物だと言って良い。そしてそのことはこの映画の中でも、ブライオニーの事件の認識と、更に彼女の証言という部分に取り上げられている。手法そのものを物語にもリンクさせているところは大変興味深い。そして、その為にこの作品の構成のにくいところは、結論としての映像手法を幾つか先に見せておいて、一番肝心な場面は言葉で言い切った。だから余計に迫力があったし、劇中の人たちだけでなく、鑑賞者に対しての説得力を上げた。この構成、及び脚本・演出は見事である。

又、これは誰しも高評価を下したと思うのが、計算されつくしていた効果音である。軸にはタイプライター音を使い、ボールの壁当て、棒を持った襲撃等、それらがすべて主人公の心臓の鼓動に同機すると同時に観客にも同期する。蜂の音もそうだ。ブライオニーの鋭い視線を遮るためには全く異質の素材を持ってくる必要がある。それを蜂にすることにより、彼女を誘導すると共b0046687_21291127.jpgに鑑賞者にも彼女のエモーショナルラインを引き継ぎつつ、大事な庭の場面へと導く。まぁこれはほんの一部なのであるが、実にひとつひとつのシーンが丁寧に作られ、効果だけでなく、美術も特にブライオニーの部屋の中など、細かいものに沢山の拘りとその後への布石を作っている。兎に角「プラ偏」では序盤良くて、後はトントンと進んで退屈だったが、本作品はすべてのシーンに見ごたえがあった。その後の戦闘シーンもしかり、ブライオニーの告白もしかり。物語の構築には何の不満もなく、期待以上の作品だった。銀幕で観られて良かったと思う。

キーラは余り好きな女優ではないが、相手役を見事に演じたのがなんとタムナスさん。また、3人のブライオニーは、大女優ヴァネッサ・レッドグレーヴを差し置いて、シアーシャ・ローナンが圧倒的に良かった。この人はまだ13歳だが公表されている写真をみると素顔は本役よりもずっとオトナっぽくて凄い存在感のある女優。俳優的にも今後が楽しみな作品だった。


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by turtoone | 2008-06-07 23:54 | 映画(た行)