暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

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オスカー作品賞に輝いた 「ノー・カントリー」と同年代が舞台の作品である。9.11以降のアメリカから揺るぎい自信が失われたのか、特にメディア系はやたらと過去に遡ろうとする。アフガンという地域との関係を考えると、それはこの時代1979年に始まっているからであろうが、不思議とアメリカという国は歴史に学ぼうとすればするほど、その歴史の真実を掘り下げるのでなく、その歴史にある汚点を消去し、都合良く書き直そうとはしていないか。歴史で消去できないものは現在、そして未来そま元凶を断ち切るための消去を画策していないか。「ノー・カントリー」同様、この作品を鑑賞してただ一人の議員が何かをしたというより、この国家としての基盤が脆弱な国が長いこと世界を引っ張ってきたという現実と、今後もそれを継続しようとする恐怖に苛まれたのは筆者だけであろうか?(筆者だけなら良いのだが・・・)

憶測であるが、ご存知のようにこの作品はトム・ハンクス自らが放映権を買ったが、実は、もっと「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のようなコメディとしての作品化を考えたのだと思う。しかし、実際に本年75歳になる通称チャーリー・ウィルソン(本名チャールズ・ウィルソン)本人にあって、多分、随分映画のコンセプトを変更したのではないか。そう思うのは、まず、説明調の台詞が多すぎる。周知の事実として、1979年にソビエト連邦がアフガニスタンに侵攻した際、当時大統領のカーターは十分にこの侵攻に対応できず、「弱いアメリカ」を全世界的に植えつけてしまった。結果、同年の大統領選でカーターの再選はなく、レーガンが大統領になり、名実共に完璧な操り人形としての役者大統領を前面に出した、米国民にとっては悲劇といえる長い共和党支配が始まる。筆者もチャーリーという人はこの作品化の話まで全く知らなかったが、対ソビエトに対する軍事費が10億ドルという話は、如何に委員会があるとはいえ、民主党政権では考えられるものではない。事実、彼は議員になる前は海軍士官であり、しかも民主党のテキサス選出議員。よくよく考えると条件がかなり揃っているのである。またジュリア・ロバーツ演じる大富豪、反共の愛人が彼のパトロンであることも、なるほど、小説より良くできた話ではないか。だから、軍事に金を出しても、その後の学校建設などには「強いアメリカ」には全く興味がなく、予算が出るはずがない。要するに、政治家の正義感が何処に働くかって奴で、例えばよくある族議員が環境を訴える人たちに共鳴し、委員会で反対を下して英雄になるっていう美談と同じパターンであり、たまたま、「強いアメリカ」を表現するために、レーガン政権はアフガニスタンからソビエトを蹴散らし、モスクワ五輪もボイコットした(勿論日本も・・・)という「オモテの歴史」を裏で支えていた一人である。しかし、例えば、その後学校を作れなかったとか、「いずれわかる」なんていう部分は物語的にも可也不自然で、2003年時(9.11より後なので・・・)の小説発表時に付け加えられたものではないかと推測できる。更に、その後の異常なブッシュ政権による当地域への対策が更にこのストーリーを脚色する手伝いをし、仕上がった物語ではないか。残念ながら、筆者としてはノンフィクションとしての面白さより、どこをどう後付してこの実話(的)を構築したのかの方に気をとられた鑑賞になった。

要はこういう内容ならああいう予告編はないだろうという典型的な作品で(筆者は良く予告編に騙される)勝手な先入観を持って鑑賞してしまったので、随分ヘンテコなレビューになったが、何か「ホワイトハウス狂想曲」みたいなお気楽議員と思いきや全然な違い、出身や選挙区の事情、票のバックボーンも色々ある部分なのだから、予告編はもう少し本編に近いところで作って欲しかったなと思う。

個人的に、トム・ハンクスはコメディが良いから。また、ジュリア・ロバーツは久々でこのブログでも勝手ながら随分長いこと心配しているが、今作品については処置無しってところ。化粧シーンが、なるほどオモテの顔はこうやって作るのかというのが良かったかなという程度。このふたりの共演は初めてなのになぜか期待もなく、鑑賞中も殆ど演技的な発見がなかったのは残念。それよりも、フィリップとエイミー、それにチャーリーズ・エンジェルが美女だけでは無いってところが良かった。それと、エンドロールで監督がマイク・ニコルズって遅まきながら気がついたが、確かこの監督はもう喜寿くらいだよね。未だに彼の名前を聞くと真っ先に「バージニア~」と「卒業」が出てくるのってダメかなぁ。本作品は彼の得意分野でもある風刺が利いていなかった。最早、何をいっても今のアメリカに風刺なんて効き目がないのかもしれない。

それと予告編には流れていたドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」は本編に使われていなかったような。1972年のヒット曲だから仕方ないかも。


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by turtoone | 2008-05-18 15:37 | 映画(た行)