暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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パンズ・ラビリンス ~新作DVD~

b0046687_20474557.jpg公開以前からオスカーを賑し話題になっていた作品であるが、日本公開後も一段と世間の話題をさらったという印象がある。第79回(2006年)アカデミー賞では、メキシコ/スペイン/アメリカ合作ながら、撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞。この勢いで外国語映画賞も獲得するのかと思われたが、これは「善き人のためのソナタ」が受賞した。オスカーに何からの形で絡んだ作品の中では、作品賞をとった「ディパーテッド」よりも、賛美両論を浴びたのではないかと思うほどである。公開中にレビューを書けなかったので、新作(といっても、もう1ヶ月以上たってしまったが)DVDの発売で再度鑑賞したので、この機会に書き残しておきたい。

この作品を称しては色々な言い方をされているが、「大人のファンタジー」と等というよりも、別に大人だとか子供だとかではなく、ダークでグロテスクな世界観という言い方があっていると思うが、これはPG-12作品で公開時には確か吹替もなく、ファンタジー作品としては、子供が観ることが殆どできなかったから言われたのであろう。しかしながらこのダークでグロテスクな世界観というのは、はっきりいって子供向きではないことは事実である。むしろ、登場人物やキャラクターも含めて、ともすると子供が観てしまいそうな設定であり、そうなると結構殺戮のシーンなどがのリアリティの高い部分があるので、大人同伴という「警告」のための指定ではないかと思われる。

また、この作品に関しては、VFXの使い方も中々細かくて、大仕掛けがあるわけではないが、VFXの効果を十二分に生かした使い方をしている。特に、蟷螂が妖精になるあたりは、中々巧みであり、この作品におけるVFXの意義を象徴している使い方である。この監督の「作り物」に関する姿勢が一番現れている。そして、勿論、筆者もそうであるが、この細かい部分での美術とか撮影という部分には大変高い評価をくだしているし、一般的にもこの作品はこういう部分の評価が高く話題にされ勝ちであるが、実はこの作品は根底にあるテーマに関してが筆者にはそれら以上に興味をひいた。

この作品のテーマは「自立」である。主人公の少女オフェリアに「早く大人になって」といいつつも、実は一人で生きられない母。前後をわきまえず短絡的な判断で事を為す大尉。自らも言っているように「長年の勘」だけが頼りで行動も結果も信念がない軍人である。反政府ゲリラも多くの内通者の協力なしには成り立たず、結束も、また、ひとりひとりの意思も弱い。そして、その結果、様々な顛末はすべて自分にふりかかってくる。天に唾を吐けば自分に降りかかるという奴だ。しかし、その中で唯一純粋に振る舞うオフェリアであるが、面白いのは、他のファンタジー作品にある程度保障されている、主人公故の安心感はこの作品には微塵も無い。その一方で彼女だけが自立というものに背負わされてその試練を乗り越えていく。勿論、そこには、少女らしい可愛らしさが蠢いている。ドレスをグチャグチャにしてしまったり、食べ物を口にしてしまったりと、その辺りのオフェリアの愛くるしい一連の行動が作品の中で唯一の救いであり、また、全体的に暗くなりがちなストーリー展開に光明を残していてくれる。だから、普通の人でも最後まで鑑賞に絶えられる作品なのである。

冒頭のシーンが結末に繋がるという部分は、作品の途中で分かってしまう脚本であるから、意外に安堵してご覧になっていた方は多いと思われ、ラストの心の準備は出来ているが、結局あれしか終わり方がなかったのかと思うと寂しい気がする。筆者がこの作品をA評価にしなかったのは、このエンディングにある。エンディングで作品の評価を格下げしてしまうというのは極めて珍しいがここ数年はそういう作品が増えてきたのではないかと思う。

オフェリアの洋服の色や、蟷螂、森といい、「緑色」がとても大事に表現されていた。ご存知の通り緑とは「平和」「平穏」「癒し」「安らぎ」を現す色。この要素の多い作品を最後まで困惑せずに鑑賞できたのは、もしかしたらこの「緑色」のお陰かもしれない。


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by turtoone | 2008-05-03 23:39 | 映画(は行)