暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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クローバーフィールド/HAKAISHA

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公開前から情報が限られていたこともあったのか、筆者の予想とは違い、意外に信頼できるブロガーの方々の評価も思ったほど悪くなく、中には絶賛をしている友人もいたので、ならばということで少し公開から遅れたが鑑賞した。結論としては、この作品を筆者は「映画作品」として論ずることはできない(別にそんなに偉そうに言っている訳ではない。ただ、筆者は映画評論家でなく一映画ファンであるから・・・)。これは映画ではない。映画としての採点は不可能である。しかし、金を取って物を 見せるという、所謂、興行としての感想・評価を述べたいと思う。無論、以下、映画的表現を使わざるを得ないボキャブラリーの貧困さにはご勘弁頂きたい。

この手持ちビデオによる85分の映像を見て「この程度なら自分でも撮れる」って言っている輩が鑑賞後に沢山いたが、勘違いするなよ。このアングルといい撮影といい、とくに照明との兼ね合いは絶妙である。プロが使えば、家電に毛の生えたホームビデオカメラでも芸術作品が作れるっていう証である。これは兎に角脱帽。この撮影機材は知らないが、本当に、我々が子供の成長記録に使っているようなカメラだとしたら、スゴ過ぎである。重複するが照明は更に素晴らしい。映像とか画像って、やはり最大の難関は採光・遮光なんだということを教えてくれた85分間である。しかし、残念な点としてはカメラがうますぎた。例えば、左から右へのスパンのときの静止がうますぎた。ビデオカメラの撮影を経験したことのある人ならお分かりだろうが、右目はファインダー越しに、左目は(初心者は殆ど瞑ってしまうが・・・)直接被写体を見ているから、素人映像っていうのは、左へスパンする場合は被写体の位置を把握しているからぴたりと静止できるが、逆は被写体を確認するのがスパンするのと同時になる。勿論、今は、液晶ファインダーで確認ができるが、そうすると被写体を探すのに今度は多少カメラが上下してしまうのである。これを防ぐ方法はひとつだけ。そう、三脚(一脚だとブレの原因になる)を立て、ファインダーで確認しなくても予めスパンと同時進行で被写体を確認するしかない。しかし、このストーリーでは三脚を立てた形跡はない。つまり、ハッドは冒頭でカメラの使い方を分からない節の台詞を言っているから却ってこれは余計だった。任せとけ、オレはこう見えてもカメラだけには自信があるんだぜとでも言ってくれたら、前述した「残念」にならなかった。また、凝っているのかどうか、最後にこのカメラがオートフォーカスだった余分な映像があったが、これも最後に逆効果になった。実は筆者は最初からこのカメラの焦点照準の速さには驚いていた。勿論、これは皮肉で、素人があれだけスパンを繰り返していたら、子供の運動会の大玉ころがし映像と同じでピントはしょっちゅうズレル。だからある程度動きのあるものは、固定でとるのが素人でも定石である。しかし、この作品はずっとオートで撮影していたらしい。前出のハッドはカメラの初心者だから勿論ピントとズーミングを同時にできる技術などない。もうひとつ、余計なことをいうと、室内も、夜の外も、店の灯りも、、そして早朝もすべて同じホワイトバランスで撮っていたのであろうか。この辺になると余計な突っ込みなのかもしれないが、この素人映像という閃きがあったのだからここまで凝って欲しかった。途中で入った夜の電気屋(?)でも蛍光灯による映像の乱れがなかったし、全編を家庭用ビデオで撮影しなかったというところも暴露してしまった。まず、これが映像に関しての感想である。

しかし、この作品に託されたメッセージというのは色々あって興味深い。まず、映像というものの信頼性に関する警告である。この作品は現在進行の映像と撮影者のコメント、さらに回りの人間の言葉によって出来上がっているが、しばしば、映像と言葉か合わないところがある。勿論、脚本的にわざと併せていないのであるが、要するに、カメラり持つ範囲と人間の目の範囲は視野が違うということと、撮影者とそうてない人の視野も違うということである。我々は眼に見えるものは信じるが、それはあくまでも実際にその現場を見たものだけであって、カメラを通したものは既に違う、極端に言えばマスコミやメディアのフィルターがかかったものは既に真実ではないという警告である。今に始まったことではないが、それを、同時進行している「人間の言葉」とシンクロさせて批判したという試みは始めてだと思う。この手法には拍手したい。もうひとつ、これは既に「ユナイテッド93」で使われていたが、同時進行しているものに関しての人間の記憶のいい加減さであり、十人十色な解釈である。今更理科の時間でもあるまいが、人間というのは、眼でみえたものを脳で解析する。つまりは脳には「瞬間」を捕らえる能力と「記憶」を再生する能力があるが、時としてこのバランスが悪くなることがある。脳神経の疾患や症状というのは医学が解明されてここ数年で飛躍的に進歩しているが、同じものを見ている複数の人間が次の瞬間違うものだと判断し、記憶する。これは現代社会の情報供給量の膨大さを皮肉っていると同時に、情報分析力に欠ける人間の絶望を語っている。筆者には今回出てきたモンスターは情報社会って奴が形を変えてきたのだ(だから格好も陳腐だし、かなり行動も間抜けな野郎だった)と思っている。このあたりのテーマに関しては正直、受け止めるものがたくさんあった。もうひとつ、情報ソースが全くなくなったときの人間の行動の愚かさと結末も説いているが、ここになると全部ネタバレすることになるし、かなりな長い文章になってしまうのでここでやめたい。

奇しくも(まさかこの作品が公開されるまで長引いているとは誰もが思わなかったが・・・)、民主党の大統領候補者選びが終着していない中、オパマ氏が指示される中に「サウンドバイト」が影響力を失いつつあることを証明しているが、この作品もそういう意味でのメディア批判のてんこ盛りであるということを筆者的には評価した。但し、映画作品としてではなく、である。巷には続編があるという噂だが冗談じゃない。もし、続編があるのなら、この出来事をちゃんと「ゴジラ」みたいに撮って欲しいと思うだけだ。無論、筆者はあのモンスターじゃ観にいかないが・・・。


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by turtoone | 2008-04-26 22:42 | 映画(か行)