暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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レンブラントの夜警

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映画が総合芸術だと思うのは、例えば、美術と音楽と文芸と舞台を1枚のスクリーンの中で表現してしまうことである。言い換えれば映画という芸術そのものが既に色々な芸術のコラボレーションになっているのである。筆者は特に歴史物、人物物というのは好きで少し得意としている範疇であるが、しかし一方で完成され、発表されたこれらの作品に関しては見方が厳しいのかもしれない。だが、やはり筆者が高評価する作品の殆どは、この類いなのであるから、好き故になのである。

この作品は冒頭とラストのシーンが印象的だった。レンブラントが「色」を求める。「色って何か」を問いかける。確かに色ってなんだろうと思う。色がわから無い場合、それを何にたとえるのか。これってなかなか面白い(物語の意図とは違うが)試みだ。例えば、色を人に説明するときどんな表現が必要か。「血」や「とまと」だったら赤とか、具体的にその色を持っている物体名をあげないでその色を表現するということは面白い。そして、更に絵画ってなんだ、ひいては芸術ってなんだ。と、この作品はその根本、本質にオランダの偉大なる画家を題材にして迫りメスを入れるているのである。

レンブラント・ハルメンス・ファン・レインといえば、ルーベンス、フェルメールと並ぶ、17世紀バロック美術のオランダ3大画家である。バロック美術の発祥はイタリアであり、強烈なコントラスト、躍動感あふれる構図を特徴とする。特にイタリアではカラヴァッジオの絵画が代表的で、ルネサンス期には理想的な姿で描かれた聖人画が、生活感あふれる庶民の姿で描かれたことも特徴的である。オランダと共に、ディエゴ・ベラスケスはスペイン絵画の黄金時代を形成した。「夜警」は1642年の作品で、この年彼は、最初の妻を亡くし、愛人から結婚不履行で訴えられた。やがて多額の借金を作り、最終的にはこれだけ生きている内に画家として大成していた人が共同墓地に埋葬されている。物語は丁度この辺りを全く新しい仮説をもって描いている。当時のオランダは、まだオランダという国ではなく、独立戦争の最中であった。ネーデルランド連邦共和国が独立した一方で、いち早く海上とアジア進出に目をつけたこの国は東インド会社を設立した。オランダとは連合東インド会社の総称としてつけられた言葉で、略してオランダと称されたのである。レンブラントの時代は芸術もそうであるが世相が中世から大きく変わろうという時代であり、特に民衆の考えがそれまでになかったことを求めようとしていた。簡単に言えば、多分それは群から個の時代だったのだと筆者は仮説する。この絵画も「夜警」とついているが、レンブラントは群とか集を意図した作品背景にもかかわらずモデルになった人たちには既に個が占有していたという論法にたった脚本になったようだ。

しかし作品としての物語は退屈だった。というか筆者は退屈でなかったが朝一番の回だったのに方々から寝息が聞こえたのも事実。前述したが、人物作品というのは難しく、ましてやレンブラントというのは、美術史的にも位置づけが分かりにくいところにある。印象派がお好みの日本人にも馴染みが薄いし、名前はご存知でも、作品だってまさにこの「夜警」くらいしかご存知ないだろうと思う。その辺り、ルーベンスやフェルメールの方が一般的に有名な作品が多い。そして、この作品の構成だが、題材がレンブラントだけに撮影の試みとして、銀幕をキャンパスにみたてた手法を取ったようだが、それが成功せず、鑑賞者に伝わらなかったのは、幾つかの前提をはっきりさせなかった事にある。

ひとつはオランダと言う国である。この国の風土と国民性を序盤で定義づけられなかった点は大きい。終盤の裁き、つまりは絵が出来てからの評価になって、漸くそれまでは、登場人物各々の身分や個性だと思わせたところに、一気ににオランダ人の国民性をてんこ盛りに盛ってごちゃまぜに出された。それまでも結構理屈っぽい内容だったが、ここで更に今まで繋いで来た作品への感情を断ち切られてしまった。

もうひとつは天才レンブラント自身のこの物語における「位置」である。「夜警」を主体にしたいかったのか、それともレンブラントにスポットをあてたいのか、はたまた、彼を取り巻く人物と時代だったのかがはつきりしなかった。従って映画というより、絵画の中の人々が会話しているという様な印象を与えるこの構図の取り方は、一件面白いが長続きしなく、また、舞台と違って、誰の台詞なんだか、俳優の声質を見極められない序盤は大変見づらかったのも事実。焦点を前述のどこかに絞りきった方が良かったのだと思う。

ピーター・グリーナウェイ監督だから「コックと泥棒、その妻と愛人」でも見られたように構図的には凝っているのだが、やはりオランダの巨匠レンブラントをこの作品に完全にコラボさせるのは少し無理があったのかもしれない。残念だ。

そういえばレンブラントは色盲だったと言われている。序盤の色へのこだわりと物語りの結末には、彼のそんな苦悩と、「夜警」と名づけられたが、実は昼間の光景だというこの絵にまつわる様々なミステリーを通して、現代の世相に芸術者として問いかけいる彼の姿を彷彿する。


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by turtoone | 2008-02-02 22:24 | 映画(ら行)