暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ツォツイ ~新作DVD~

b0046687_17592746.jpg昨年から今年にかけてアフリカの映画作品が多いが、この作品も南アフリカの現状をあらゆる角度から表現している。物語は不良少年が、赤子を拾い、人間的な感情を取り戻していくという(一部の映画雑誌には、「初めて人間の感情に目覚める」と書いてあるがこれは違う。)至って単純な映画作品であるが、その背景になるものは大変大きく、そして重い。筆者も劇場公開中だけでは、この背景になるもののとの関連が一度観ただけでは分からずに、DVDの発売を待っていた。

アフリカの民主化ということが世界的にも叫ばれているのだが、果たして、アフリカに「国境」という西洋の概念を持ち込んだことの責任というのは何処にあるのであろうか。要するに、15世紀以降、西洋の国家が勝手にこの国土のすべてを蝕んだてめに、20世紀以降、欧米を中心とした「世界標準」の定義にそぐわないものは、すべて民主化という判で押したような方針を勝手に決められ、それを各地域のカリスマ性のある一部の人間の後押しをすることで、二次的な遠隔操作権を獲得していこうというのが、その後の欧米の考えだ。簡単にいえば、金は資源としての金は掘りつくしたから、次は政権を操作し、民から金をせしめようと言う方向性である。ここ数年はこの醜い欧米の争いに、ロシア・中国・インドまでもが参加し始めている。わが国は少しスタンスが違うが、ODAという隠れ蓑で国家の給付をアフリカ経由で民間が吸い上げる、なんとも遠まわしな方法で潤っている。しかし、これも税法上を考えると、日本企業でありながら、税収が国家に入らないから、国民的には一部の企業を太らせているだけだと怒りを持っても良い行為だ。南アフリカはネルソン・マンデラがいたから、余計にこの構図は複雑だ。以前はアフリカの黒人りヒーローであったが、今、彼を崇拝する人間は恐らく何も知らない層だけであり、喜んでいるのは欧米の資本主義国家だけである。そのことに象徴されるように、アフリカで「利口」な人間はたった一握りである。

物語で言えば、やはり赤子を拾ったところからそこを中心に見てしまうが、それよりも、特に車椅子の老人との関係、品位を語る仲間との関係のふたつに、主人公デビッドの現在の境遇と、この国の問題点を集約している。但し、意図してかどうかわからないが、デビッドの真の中身というのは表現しきれていなかったのも事実。車椅子というのは自分の意思があってもそこにたどり着くのは大変な苦難であるという国家の現状、意思は国家だが車椅子の大きな擁護があり、しかもそれが時として意思を阻むことを表現している。またそういう境遇になったのは偶発的な事故だと皮肉っている。またデビッドとの仲間の関係の希薄さは、アフリカの同胞だけで生きることが不可能に近いことを表現している。時には仲間を殴り、殺し、しかし又、敬う。その繰り返しである。ただ。光明が見えたのは、ラストシーンで、デビッドは責任を全うしようとするところで、アフリカの国々の今後への提言を行っている。だから、DVDの特典についていたアナザーエンディングは、ストーリーとしては面白いが、撃たれたり、逃げたりでは、アフリカの今後は今と変わらない。このストーリーは、やはり劇場公開のエンディングで、アフリカの希望を象徴している。その点は、一見尻切れ蜻蛉のラストの様だが、公開中も「希望」だと思ったが、今観ても変わりがないことを確認できた。

しかし、前述したデビッドの意思と赤子関連が希薄だったのは残念。あの場面で何か「アフリカ」として伝えるものは、極端な貧富の差(そんなことは、何もこの映画で言わなくたって日々の報道で誰もが知っている)とDV以外の何もなく、ストーリーの骨格と為すところだったでけに、何か強いメッセージが欲しかった。結果、全体的に前評判の割には単調な作品に見えてしまったのも事実。この作品を鑑賞され、多くの人がアフリカについてその実態をもっと知って欲しいと思うのだが、そこまでには至らないだろうと思う。

細かい台詞やシーンとして、殴られた「品位」が数日で感染症をおこしたり、赤子の体に蟻がたかったりというシーンだけでも、この大陸が政治以前に本質的な「世界標準」(こんなものはアフリカに不要だが)にないところにもメッセージが隠されていた。


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by turtoone | 2007-10-20 17:50 | 映画(た行)