パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
2007年 05月 28日
正直、ジョニ・デのコスチュームやキャラに圧倒された第1作。テーマパークのアトラクションの様に次々と展開し、しかも笑いの取れた第2作と、それぞれがシリーズ物には違いないが、一方でそれぞれのテーマと方向性を煮詰めた製作された期待の最新作は、前2作とも違う、「海賊とその世界」に只管拘った製作コンセプトを持っていた。しかも、流石にディズニーだと思うのは、それを娯楽大作としてこなしてしまうところであろう。特に、映画ファンになら誰もが思い出してしまう他の作品との意味のない連繋、沢山出てくる幻影のジャック・スパロウとウンパ・ルンパ、海賊の親分の集合はジェダイの会議(残念ながらヨーダがいないが)の様だし、一番ディズニーっぽかったのは、カリプソの変身。あれはどうみたって実写版「リトル・マーメード」であり、「真実の愛など無い」なんて叫ぶのかと思った。そして蟹になってしまった時、やっと、ああそうか、死の世界で舟を動かしたのは誰だったのかが分るし、ターナー父の台詞で、結末は見えてしまうんだが、妙に冒頭のコインを落とした少年が引っ掛かって、この連繋は何なのだろうと悩んでいる内に、次のシーンへと。2作目のエンドロールの後のシーンも引っ掛かっていたら、一番いいときに出てきましたなあのわんこは。それと、今回安心して観られた要素はなんといっても、バルボッサでしょう。筆者がジェフリー・ラッシュ好き(勿論ジョニデも)というのもあるけれど、なんと、味方としてこれだけ心強い男っていない。又、ディヴィ・シ゜ョーンズがなんとも前作と違って可哀想に思えたのは筆者だけか。(いや、実は前作も気持ち悪いと思っただけで憎らしいとは思えなかった。) そう、怪物が退治されるシーンはなかったけれど、前述したカリプソのシーンで思い出した「リトル・マーメード」のアースラーの様に退治されたんだなぁと、同じ蛸だか烏賊だか分らない化け物だけに妙に後から納得したり。実に良く出来ている作品である。
そして、少しだけだが、資本主義へ移行する世界の動向を皮肉っている。東インド会社は世界で最初の株式会社であることは世界史を習った人間なら誰でも知っている。当時の流通業として海運が経済と国家の存亡に大きなキャスティングボードを握っていたこともしかりである。銃や刀や武器だけの戦争は既に終わっていて、紀元前に領土を拡大するために侵略が行われた方法がそろばんに変わっただけで、人間の欲というのは相変わらず変わらないものである。そんな欧米民族の限が無い征服欲から比べると、海賊なんていう存在はとても可愛くて、ずっと人間的で、また愛らしい。「掟」があり「掟」から外れないことがどれだけ大事なことか。海賊から学び、現代の資本主義社会、文明社会を反省ことは多い。しかし、それを前面に押し出しているのでなく、あくまでも「大衆娯楽作品」として、風刺しているところがこの作品の価値なのである。
サブタイトルによるとこれが最終作品なのだろうか。冒頭に書いたが、筆者にもっと創造力があれば、これだけのドル箱作品をみすみす終わりにしてはならないので企画提案したいのだが・・・。キース・リチャード(いや~泣けましたね。ジョニ・デが最初に役作りの時、彼をイメージしたというが、まさか本当に出てくるとは・・・ギターも爪弾いてしました、感激です)も出てきたことだし、ジャック・スパロウの父の時代の海賊モノって絶対アリだと思うんだが。
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by turtoone
| 2007-05-28 01:27
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