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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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蒼き狼 地果て海尽きるまで

蒼き狼 地果て海尽きるまで_b0046687_21561782.jpg

この上映鑑賞に関しては、邦画ではあるが色々な期待が交錯していた。その昔(って表現で良いのだろうね・・・)一世を風靡したカドカワ作品であること。さらに制作費も邦画では破格であったり、エキストラも相当数を使っているなどという数字のバックボーン、そして筆者的に背中を押したのが「墨攻」の高評価であった。同じように中国の作品で、日本が製作に係わっていることの興味が一番であったのは間違いない。但し、その期待は台詞の第一声でものの見事に弾け飛んでしまったが。

ところで、世界史の中でも余りにも有名且つ偉大な人物であるチンギス・ハーンの映画化を、中国は無理だとしても、何故、いま、ハリウッドが作らないか甚だ疑問だが、最近わかったことは、多分、良く知らないのだと思う。だからヒットもしないであろう。というのも、アメリカでなく、比較的中国に近隣の東南アジアや西アジアからの留学生にチンギスの事を尋ねたら、知っていたのは、トルコの留学生だけであり、彼女も元帝国の創始者という程度であり、それは彼女が研究していた項目に間接的に元の事を調べる必要があったという程度で、何というか、積極的に知ろうとした訳でもなく、同じに、知ろうとしないと入ってこない環境にある訳である。(余談だが、寧ろ彼らには徳川家康の方が認知度が高い) わが国はその辺りの事情が随分違う。チンギス・ハーン本人については、九郎判官義経の悲劇とリンクしている。又、元寇というキーワードでも、フビライ・ハーンはチンギスの孫に当る。更に、この表題作でもある「蒼き狼」という文言はチンギス・ハーンの別名であるが如く馴染みが深い。コミックもしかり、ゲームソフトもしかりと、その人気と認知度はわが国民には「三国志」と同じレベルの高さである。しかし、良く考えると、かくいう筆者も、中国を代表する歴史上の5人に彼は入らない。(以前にも書いたが5人だと「太公望」、「始皇帝」、「孔子」、「諸葛亮」、「孫文」)10人だとしでも、「管仲」、「司馬遷」、「項羽」、「劉邦」、「毛沢東」というところで、中国史が好きな筆者でもまだこの段階では入ってこないようだ。だか、それは一方でチンギスというと、中国史というよりモンゴルという印象が強いのかも知れない。現在の中国教育からは、絶対にチンギス・ハーンの映画化なんてあり得ないから、やはりこの偉大なる人物のことは日本で製作せざるを得ない現実がのしかかるのであろう。残念だ。

しかし、冒頭でも書いたが、残念なことに、第一声の「日本語」台詞にがっかりしてしまった。モンゴル語の必要はないが、やはり日本の事でないのに日本語というのは大変興ざめする。「ラスト・サムライ」で英語台詞を語る渡辺謙と同じくらいの、もの凄い違和感がある。そして、全編にわたり、当たり前のことであるが、とても日本映画らしい作りであった。それから破格の制作費を使ったらしいが、とてもそんな風に見えなかったのが残念。エキストラも1シーンだけ、ハリウッド作品並みの「大勢」な場面はあったが、ハリウッド作品レベルの壮大さを感じることは出来なかった。残念である。また、「墨攻」のようなコンセプトの勝利もなかった。結局はお金を掛けたらしいが、何も、作品として現れなかったのは本当に残念である。

ただ、中々普段は分らない日本人俳優の良い演技、新しい側面を見られたのは収穫だった。具体的には、袴田吉彦、平山祐介、保坂尚希、そしてAraといったところであろうか。角川春樹といえば、古くは、「犬神家の一族」であり、「人間の証明」、「蘇る金狼」などは、本当に力の入った作品であった。邦画における新しい可能性を引き出しのもこの頃であった。但し、確かに、ハリウッドにある大作指向が強かったのも事実。当時と比べて、ハリウッドは制作費もスケールも10倍以上に膨れ上がったのに比べ、邦画は全く土壌が変わっていない。

今後、カドカワに期待したいのは、当時持っていたハリウッド的大作指向でなく、もうひとつの部分、つまり映画人としての斬新なアイデアと貪欲な向上心である。


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by turtoone | 2007-04-14 22:50 | 映画(あ行)