暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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カサノバ ~新作DVD~

b0046687_18494693.jpgジャコモ・カサノヴァという人物については、彼の自伝「我が生涯の物語」(邦題は「カサノバ回想録」)にあるように、生涯で1000人の女性とベッドを共にしたということ以外にそんなに詳しくない。それと、彼の生涯の舞台となっている18世紀のベネチアという都市には大変興味があり、この作品はやはりその二つの点が大きな見所であった。だが、銀幕の題材としてのカサノバは、過去に何度かあり、記憶に新しいのはフェリーニ監督作品である。今回は筆者も以前のミニ特集を組んだこともある、ラッセ・ハルストレム監督作品。どうも筆者の持つカサノバのイメージとは全く合わないのであるが、その辺りはこの監督の新境地なのだという多くの期待が公開時からあった。尤も、公開は昨年の6月くらいだったか、勿論、シアター鑑賞したのだがレビューを書くことをずっと怠ってしまっていた。多分、この作品は新宿のタカシマヤタイムズスクエアで観た記憶があり、この頃は「ウォーク・ザ・ライン」「リバティーン」も同シアターで鑑賞したと思うが、東京は結構広くて筆者の鑑賞したい作品をこの都市で鑑賞するには、新宿・渋谷・恵比寿・六本木・日比谷、そして銀座の各館を制していないとそれは不可能であり、逆な言い方をすると映画鑑賞には大変不便な都市であるとつくづく思う。

但し、この作品には、今までにない創作された「カサノバ」が登場する。そしてそれは単なる創作でなく、カサノバとその周りで起こった様々な出来事の集大成を作っている興味深い内容になっている。まずは、フランチェスカ。カサノバが心を寄せる女性役であるが、歴史上で同様の名前はカサノバの弟であり、有名な彼の肖像画を描いた人物としても有名だ。この辺りのオマージュというのが面白いと思っていたら、その後はそのオンパレードであった。例えば、女性をかけた決闘であったり、有名な「鉛の監獄」からの脱獄に成功したり、或いは、カサノバを継ぐ者としてジョバンニという本当の弟の名前を使っていたりと、実際の彼の生涯に本当に起こった出来事を時系列を修正して一本のストーリーに仕上げているところは大変興味深い。カサノバの恋愛遍歴が後世にも轟いているのは、彼自身の快楽と同時に、その交際する異性の側の快楽に常に注意を払っていたことにあると言われている。つまり誘惑者としてばかりでなく、誘惑されることにも喜びを見出していたり、多くの美女を同時に愛することによって、それら異性を人間として同等の存在として尊敬したという点が当時の18世紀の他の人間よりは一歩も二歩も先んじていたことにある。又、文献に寄れば、男性にも興味を持っていたり、異性装も関心があった。一般的にカサノバの生業を当時は「策術家」と呼んでいたが、彼が精通していたものは作家、或いは劇作家というだけでなく、ビジネスマン、外交官、スパイ、政治家、哲学者、魔術師等様々であった。しかし、自由人という訳でなく、寧ろこれらの職から禄を食んでいるというよりも、これらの才能を社交術として用いて、その場その時の演出ら長けており、その対価としての報酬で身を立てていた。つまりは、本物のプレーボーイだったという言い方も出来る。

18世紀のベネチアは、略、オスマン帝国の侵略下にあるという地理的にも複雑な環境であった。12世紀にはマルコポーロを輩出し、世界展望にたっていた同都市であるが、この当時は制海権をオスマンに支配されていた為に、イタリアの他の都市とは、また違った発展に繋がった。それはキリスト教的にもそうであり、その辺りをこの作品でもカサノバの「功罪」と併せて描写している、この辺りは大変物語の裏に隠されているものが深い。カサノバ以下、この作品の出演者がベネチアという都市を駆け巡るのであるが、そのひとひとつの描写・美術には満足させられる。同時期の音楽家として知られるヴィヴァルディの曲も作品内に挿入されていて、この構成のセンスは一際光っていると言える。

ラッセ監督のテイストが十二分に発揮された歴史人物モノだった。ヒース・レジャーも実にこの難しい役をこなしていたが、やはり、ジェレミー・アイアンズ、オミット・ジャリリ、オリヴァー・プラットという脇が見事であったことも上げられる。しかし、本当にこの監督は悪者を作らない。そして、幸福感あふれるラストは、この監督の新境地への成功と、新解釈版カサノバが受け入れられたことを示すものであったと思われる。


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by turtoone | 2007-03-11 18:48 | 映画(か行)