ANA国内線【PR】

美しき運命の傷痕 ~Hotel Theater~

実は、筆者は年末から正月三が日を箱根で過ごすのが通例になっていて、言わば一家の年中行事のひとつみたいなものである。何故、箱根かという理由は簡単で、関東大学駅伝を父が大好きだからである。但し、本年は筆者が正月2日にイベントの仕事が入っているのと、長女が受験の関係で2日から塾が始まるということもあって、例年より短く、2日に両親家族を置いて先に帰京となった、少し慌しい正月だった。つまり、この何日かは例年映画とは無縁であったにも係わらず、何と今年はいつも常宿にしているホテルの各客室に「Room Theater」なるものが完備されていて、1日1000円でラインアップされている映画作品が「観放題」なのであった。そんな訳で、例年の様に沿道の選手達を応援することは出来なかったものの、箱根神社に初詣に参拝する以外は、殆どこのシアターに釘付けになっていた。新年最初のレビューは、ここで鑑賞した(何れも以前に何かで観ているが)作品記事を書く。

実は、ここで観た作品に関して共通しているのは、ミニシアター系であったことと、どちらかというと良い邦画を製作するのに大変参考になるのではと筆者が勝手に思っている内容である。この表題作は、三姉妹の作品である。まず、この作品で特筆すべてことは二つあり、シーン毎の構成が実に見事であること。例えば、女性が男性を追うシーンを、カメラが追いながら位置を上昇させ最後は真上からのアングルになるが、その女性の立っている下には綺麗な文様がある。実に芸術的なカット割であり、同時にひとつひとつを見事に完結させている。最近はテレビと同じ様な映画作品が多くてとても残念なのであるが、映画はこの「ぶつ切り」が良いのであって、だからひとつひとつのカット、シーンをもっと大切にするべきなのである。昨今は、各家庭のテレビの画面も益々大きくなっているから、ちょっと見ではテレビか映画か分らない作品も多く、又、日本映画が安易なのは、ヒット番組があると、すぐに映画化してしまう。これでは本来映画作品の持つ芸術性というのは益々薄れていってしまうばかりである。そんな状況に一石を投じられる、中々、玄人(←別に筆者が玄人であるということではない・・・)好みの構成である。もうひとつは女優が綺麗。筆者は絶対このことには拘る。そしてこれはフランス映画の伝統と誇りであり、それをきちんと継承している。特に、キャロル役のエマニュエル・ベラールは最高である。彼女はありきたりだが「ミッション・インポッシブル」のクレア役が大変良かった。ただ、役柄的には「ブッシュ・ド・ノエル」に近い。正直、彼女のことを良く覚えているのはこの2作である。でも、本作品は絶対に忘れない。なぜなら、「美しく撮られている」からである。彼女だけでなく、二人の妹役である、カリン・ヴィアールとマリー・ジランも美しかったが、驚いたのは母親役のキャロル・ブーケの役作りっぷりで、この人、そんなに筆者と年齢が変わらない(←彼女の方が上であるが)、というか、アネット・ベニングやアンディ・マクドーウェル、シャロン・ストーン(ちょっとこの人は特別かもしれないが・・・)なんかと同年代の筈なのに、なんだこの婆ァ、失礼、老婦人ぶりはと驚いてしまった、さすがにこの辺りがフランスの女優だなぁと関心する。例えは良くないが、「寺内貫太郎一家」の樹木希林(この頃はまだ悠木千帆だった)みたいなものだろうか。(すみません、この作品はコメディではありません・・・)そういう意味ではどちらも素晴らしい。

作品構成の良さは、この三姉妹を並列で描いていること。大体、姉妹を横並びかつ同時系列で描けるのは、せいぜい二人迄。しかし、この作品はこの並列にチャレンジしておきながら、同時にこの三人を同軸で描こうとしていない。その辺りが冒頭の半ば残酷なシーンと相俟って、中々面白い構成に繋がっている。しかし、残念だったのは、この姉妹のそれぞれは描写できたものの、姉妹同士の絆や、母親との関わりについては説明不足だった。ただ、この説明に徹してしまうと多分上映時間が2時間を越えてしまうだろうから、時間を優先すれば、これでも良かったが、例えば冒頭シーンと連携した比喩表現のカットを入れる事で説明出来たと思う。筆者の鑑賞が甘いのか、姉妹の関係に関しては、正直確たるところが分からなかったし、それはこの作品をここまで作りこんでおいた一方で、とても残念な事である。

邦画でも、カット割に拘る監督は多い。こう考えると、良い作品というのは、やはりカットと女優。この基本的な映画たるべきものという本質は変わっていないと言ったら言い過ぎだろうか?


公式サイト


allcinema ONLINEの作品ページ
goo映画の作品ページ

よろしかったら、こちらにご協力を。映画のブログも検索できます。
人気blogランキング


ついでながら姉妹ブログへもどうぞ
「情報過多で悩むあなたに」
「東京の原景を探して」

by turtoone | 2007-01-03 17:48 | 映画(あ行) 

<< 僕と未来とブエノスアイレス ~... 2007年 期待度ランキング >>