暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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シンドラーのリスト ~My Collection~

b0046687_2334416.jpg最初に申し上げておくが(というか、以前に「見たい映画をつなぐタスキ」で書かせて頂いたが)、この作品は筆者の鑑賞した映画の中で最高評価である。多分、後々にも筆者に取ってこれ以上の作品は出てこない。と、どうしてそんなところ迄も言いきってしまうかというと、要するに筆者という一人間そのものが変わらないからである。決して大袈裟でなく筆者はこの作品と出会う為に映画を観てきたのだと思うし、又、この作品は今後も最低年一回は観ようと思う。

何がそんなに惹き付けるのか?まず題材である。第二次大戦下、戦争の象徴でもある非業な人種差別であるナチとユダヤが題材である。有史以来、人間の歴史とは民族の興亡であるが、その興になるも、亡になるも必ず争いはつきまとう。言い替えれば、人間の歴史とは戦争の歴史である。その中で、最も多くの国と地域と人民を巻き込んだのが、この世界大戦である。これだけ大きな戦争はこれから後、スターウォーズ迄ないであろう。その大戦の中でも最も悲惨な出来事なのが、アウシュビッツである。(失礼ながら悲惨に最もなどと言う言い方はいけない。ヒロシマだって、南京だって悲惨かつ非業である。)しかし、このユダヤ人に対しては戦争の悲惨さに加え、民族差別と迫害の象徴である。そしてヒトラーはこの優秀な民族を最も警戒し、かつ侮蔑しつつ、戦略のみせしめとして、ユダヤ人を世界中の晒し物に仕立てることを計略した。それだけヒトラーにとってユダヤとは最大の脅威だったに相違ない。

そんな絶望と恐怖の最中に、一筋の光明と希望を描いたのがこの作品だ。にも関わらず、この物語は少しも理屈っぽいところがなく、物語も複雑化していなく難解でない。そういう説明を要するに箇所は台詞やナレーションという説明調を極力避け、殆ど映像で処理をしている。しかも、モノクロ作品である。唯一のカラーは赤い外套の幼女と蝋燭のともしびだけ。これは、スピルバーグが尊敬してやまない黒沢作品に通じる。一方でモノクロは難しい。写真もそうだがモノクロは「物を言わない」。というか「発信しない」。しかし、その中で、美術や視覚効果はきちんと表現されている。別の言い方をすれば、モノクロの持つ「物事を特定しない」効果を十二分に活用した作品とも言えよう。

勿論、演技も絶品だ。モノクロの世界はある種俳優を綺麗に見せることはあるが、代わりに、演技の起伏を隠してしまう難点がある。この作品はその典型的な一例で、とどのつまりは、この物語をすべて表現出来得る俳優陣も同時に必要だった。物申さないモノクロというハンデの渦中で、色鮮やかなる演技を披露し、正直なところ作品が開始して僅かの間にモノクロである事を忘れる。そして何と言ってもラストの歌が感動的で、二度目以降の鑑賞ではこの歌曲のために200分の作品を観ても良いと思う。また、脚本がしっかりしていて、脚本重視した製作であることが如実である。場面の展開も良い。作品自体は相当長いが無駄なカットが一つもなく、又、作品の長さはほとんど感じない。更に言えば、貴重な歴史的証言が多い一方で、記録映画になっていない。作品の中でその証言のひとつひとつを同化させ、しかもきちんと完結させている。そう、作品自体が貴重である。役者のひとりひとりが見事で、同じスピルバーグ作品「ミュンヘン」程ではないが、各国の俳優が出演している。戦争をモチーフにしている作品の中では最高作品である。それは、そうだろう。何ども繰り返すが、筆者の最高評価なのだから。

人間とは恐い側面があり、特に気を引き締めていないと平気で差別する。民族差別、宗教差別、性差別など限りない。戦昨今のいじめや家庭内暴力だって、突き詰めれば心の油断からはっする差別の類ではなかろうか? 戦争いとは国家や民族という集合体の争いであり、そこに個というのは全くもって無力極まりない。しかし、シンドラーはその中で、国家の理論とは全く違う戦い方をした。それは体制と戦うのでなく、体制には気が付かず、体制には為し得ない側面で戦った。そして後世、それは正義という戦時中には得られることの無い最高の勲章で賞讚されるに値する行動であった。勿論、その勲章の為に彼は戦ったのでは無い。彼が立派なのは、この行動が多少でも奢ったり、偏見や憐れみから発せられたのでは無いという事である。それが証拠に彼は、自分がもっと努力すれば、又、もっと早く自分の使命に気づいていれば、あと、ひとりでも、ふたりでも、もっともっと多くの人々を悲惨な目にあわすことなく救う事が出来たのだと、これだけの事を成し遂げたにも関わらず、自らをさげすんでいる。彼こそが英雄なのである。

現代でも体制を語る事の出来る人物は掃いて捨てる程いる。しかし、残念なのは体制の中で、本当に自分が何をできるかという事を実践できる人物は殆どいない。それどころか、模索すら出来ない。この作品は体制の中で、翻って、我々を取り巻く日常に刮目する事の大切さを教えてくれるのである。


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by turtoone | 2006-12-17 23:35 | 映画(さ行)