暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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グッドナイト&グッドラック ~新作DVD~

b0046687_17362233.jpg1950年代の赤狩りがテーマである。アメリカでは、当時共和党上院議員、ジョセフ・マッカーシーの名前をとって「マッカーシズム」と呼ばれた。マッカーシーは、共産主義者とその同調者として糾弾されたのはアメリカの政府関係者やアメリカ陸軍関係者だけでなく、ハリウッドの芸能関係者や映画監督、作家。さらにはカナダ人やイギリス人などの外国人にまでに及んだ。しかしこの強引な手法がマスコミ・民主党から大きな反感を買うことになる。マスコミをはじめ政府、軍部内にマッカーシーに対する批判が広がる中、1954年3月9日には、ジャーナリストのエドワード・R・マローにより、マローがホストを勤めるCBSのドキュメンタリー番組「See it Now」の特別番組内で、違法な手法で赤狩りを進めるマッカーシーに対する批判キャンペーンを行ったことを皮切りに、国民の間にも広くマッカーシーに対する批判が広がった。この作品はその事実に基づいた物語である。

この作品はモノクロ映像であるが、冒頭辺りでは、何故この作品をモノクロ撮影したのかの意味と理由が良く理解できなかったが、テレビ番組のシーンになって漸くその効果が分かってきた。このモノクロは1950年代当時を表現描写、特にテレビ界とその周辺を表現するのには大変効果的であった。また、それだけでなく細かいところへの拘りも良かった。煙草を吸いながらテレビ画面で堂々とコメントするなんて現在では到底考えられないが、このシーンひとつとっても、もし、このシーンをカラーで映像化していたら多分時代背景を考えても、凄い違和感を感じたであろう。テレビ局のブースに関してもそうであり、今も昔もブースは殺風景なものではあるが、機材のひとつひとつも、カラー映像であったら現代見たら、まったくそぐわいものばかりであるから、ここにもモノクロ映像が大変生きた。つまり、時代考証を明確に鑑賞者に伝えるということでモノクロ映像を選択したところに高い評価をすることができる作品だ。

この時代の「赤狩り事件」は結果的に現代アメリカに蔓延る巨大メディアの創出に繋がった。そして一方で、ジャーナリズムに対しては言論の自由に対して、国家が規制をするのでなく、メディアの中での自主規制という方向の方程式を導き出すことに成功した。報道の自由を主張していながらこの結果というのも、何ともお粗末な話である。「赤狩り」は、主に政治関係者は然ることながら、言論や文化を対象に行われた様に描きつつも、同時に、政治的圧力を掛けることによってある意味で異分子や異端児を搾り出す効果にもなった。この辺りは、近年、アメリカメディアの報道特集等でも検証され、自社の過去を省みる局もある。マローもこの作品にも描かれている様に、民主主義国家とは、国民の自由を守ることだと言っているし、それは正しいことである一方で、如何にテレビ局が無力だったかを露呈しているに過ぎない。そしてこの時代からゴールデンタイムに、報道は不必要だとされた。メディアの限界は国民を笑わせる事は出来ても、国民を奮い立たせることは出来ないという結論である。しかし、マローの様な骨太なジャーナリズムは現在でいえば全く無いに等しく、特にわが国に至っては、朝から晩まで報道番組があるにも関わらずプライムタイムも含めて、しっかりとジャーナリズムの原点に立ち返った報道をしている番組もキャスターも皆無である。言論の自由の傘に隠れた偏向な報道、キャスター自体の無知無教養の露呈、国民の代弁に名を借りた言い放しの意見、更に、知る権利を主張したプライバシーの侵害を日々繰り返しているだけてある。その点から考えれば、是非マローの気骨のある報道姿勢に習い、反省して欲しい。

この作品はオスカー候補でありながら、作品賞を取れなかったことが大変残念であった。作品賞候補の中で個人的に一番評価を高くしたのは「ミュンヘン」ではあるが、作品賞ということでの社会性や問題提起を考えると、この作品が作品賞に最も適していたと思う。候補作の中では脚本が抜群に良く、作品の内容からどちらかというとストーリーを追いかけるだけに終始しそうなところもうまく纏めあげ、しかも90分程度に収めたという点が上げられる。

ジョージ・クルーニーという人は役者としては特にこれまで魅力を感じなかったが、この作品に見られるように監督としては、感性といい着眼点といい、今後も大きな期待の出来る人である。当然ながら筆者の評価も高い作品である。


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by turtoone | 2006-12-10 17:47 | 映画(か行)