父親たちの星条旗

「硫黄島からの手紙」が今週公開されるとあって、いやいやのんびり構えていたのだが、急いでこちらを鑑賞しに言ったのだが、冒頭に述べた感動は、実は殆ど期待していなかった。というか、タイトルから察して(この「察する」という行為が筆者の一番悪いところ)あの太平洋戦争を象徴し、ワシントンにも銅像の建つ有名な写真の「真実の逸話」であることは大概の映画ファンであれば察しが着く。ましてや「父親」というのだから、戦後60年を経て、その子息が事実を究明するんだろうなんて展開まで容易に推測できてしまう。だからその程度であると勘ぐっていたのも事実。しかし、「とんでもない・・・!!」。筆者が、この映画で一番感情移入してしまったのは、アイラ・ヘイズ役のアダム・ビーチである。作品の流れからいけば、ライアン・フィリップに感情移入して良いのだが、敢えて、このキャストの設定に興味があり、この人物を中心に観た事によって、監督の主張がより良くわかったのも事実である。しかし、これには筆者的に伏線があつたのは、筆者がインディアンが好きだということと、アメリカの歴史の中で、唯一その本土が舞台となった南北戦争というのがもやたらと頭にこびりついていたからなのである。第二次世界大戦関連作品を観るときには、どうしても切り離せない観点が、本土決戦が無かったからこそ、アメリカはその後の世界で台頭できたという「国力」を失わずにすんだ点である。しかし、一方でこりアイラの先祖は、誇り高き、尊厳のあるネイティブアメリカンである。彼等は本質的に争いは好まない。ましてや自分たちからは仕掛けない。しかし、アイラは志願してこの大戦に参加した。このことは同時に、ネイティブの誇りを捨てたことでもある。そして、彼に取っては不運である、「旗立て」に参加してしまったのである。その後の「英雄」としての国内活動の中で、彼は本当の人間の「尊厳」とは何かと葛藤し続けるのである。そして、残念ながら、彼はそれを見つけることが出来なかった。この奥深いテーマを根底にしたところに、スビルバーグが持っていた作品権を譲って貰ってまでイーストウッドが言いたかったことは、「ミリオン~」に共通する。アダム・ビーチに関しては「ウインド・ストーカー」以来、またまた印象的な役をやってくれたと思う。
ライアン・フィリップも良い味を出していた。彼は、筆者が前述した「人間の尊厳」というテーマに関して直接関与している訳ではない。しかし、衛生兵として、決して仲間を見捨てない、一縷の望みがある限り自分の戦禍に於ける任務を全うしようとしている。そしてそれは、戦場でもそうであるが、英雄キャンペーンでもその任務に最も忠実に行った。しかし、そのキャンペーン中から、彼の中に徐々に芽生えてくるのが、戦場で共にした「本当の英雄たち」であり、しかし、戦場で英雄になってやろうなんて思っている人間は誰も存在しないということを、殉死した戦友たちが雑踏の中で叫んでいることに気づいていく。この難しい役を見事にこなしたと言える。
イーストウッドが監督として非凡な点は、これだけのテーマを「重く」圧し掛からせないところにある。何か淡々と語っている。しかしその意志は強い。「硫黄島~」は解らないが、この路線で来るのであれば、日本人に取っても、今までにない最も「人間の尊厳」を深く考えさせられる作品になっているのだろうか?
公式サイト
allcinema ONLINEの作品ページ
goo映画の作品ページ
よろしかったら、こちらにご協力を。映画のブログも検索できます。
人気blogランキング
ついでながら姉妹ブログへもどうぞ
「情報過多で悩むあなたに」
「東京の原景を探して」
by turtoone | 2006-12-09 19:48 | 映画(た行)
















































































































