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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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約三十の嘘 ~Trap's Collection~

約三十の嘘 ~Trap\'s Collection~_b0046687_1224225.jpg中谷美紀というのは、本当にたくさんの映画作品に出ているという印象がある。最近でこそ、上野樹里や沢尻エリカが「良く銀幕に出てくる」度が高いかもしれないが、印象度では筆者においては中谷がダントツである。中谷の良さは、この作品でもそうなのだが、自分の回りに居そうで、実は、「ちょっと居ない女」なのである。その一見するとフツウっぽいのだが、実際は手の届かないところに居るという位置関係が、作品の中の役柄とはまた別に、鑑賞者とのベターな距離感を保ってくれるのである。筆者もそんなに彼女の出演作を観たことがあるわけではないが、「電車男」のエルメス役なんかももそんな効果なりだろう。

この作品は、また、中々面白いシテュエーションである。詐欺師チームが、列車の豪華個室で繰り広げる会話という名の駆け引きにこの物語は終始するのだが、別の見方をすると、豪華個室を大道具とした、一幕芝居でもある。筆者はこの作品を見ながらこれを舞台化するとしたら、さらにこんな演出が出来るなとか、ひとりひとりのプライベートストーリーを語る場面を多くして、ミュージカル仕立てにも出来るなぁなどと色々イマジネーションが湧いて来た。特に、出演人物は6人であり、以前から彼等はその時々によってチームを組む。しかし、苦い失敗経験があると思いきや、その苦い経験の張本人を再度チームに入れての「大興行」であるという流れ。兎角、筆者は芝居と映画を良く比較してしまうが、勿論、最初にこの「映画作品ありき」の話として、この作品は舞台化した方がもっと面白い物が出来る。なぜなら、舞台であれば同時進行している話を表現することが可能で、この作品は実は、時系列として同時進行している箇所が結構ある(それぞれの個室毎に起こっている事件の時系列)のにも係わらず、映画という1枚のスクリーン上では残念ながら、それが前後してしまう。同時にこれはこの監督の手腕だと思うのであるが、同時進行場面を前後させることによって鑑賞者に余計な負担を掛けさせない為に、ずいぶんカットしたと思われる痕跡がある。そういう意味で編集技術(及び編集のポリシー)は、邦画としてはピカイチであったと言えよう。但し、欲を言えば、「会話の面白さ」がもっと欲しかったが、これも好意的に解釈すれば会話を複雑にすることによって、前述の時系列が混同することを避けたのかもしれない。このシテュエーションはやはり舞台であろう。

同時に中谷を始め出演俳優の魅力もあり、それで助けられた観もあった。椎名、田辺という、以前はトレンディドラマの良いキャラだったところをキャスティングしている可笑しさも欠かせないし、八島は勿論のこと、伴なんかは、「ピカ☆ンチ」以来、その存在すら忘れてしまっていた。筆者的にはこの面子の中に、ジャニーズ系をひとり入れたかった気がする。入れるとしたらケンちゃんだと思うのだが、そうするとブッキーの変わりになってしまうだろう。というのは、ブッキーの役は、ブッキーが悪いという訳でなく、ブッキーを起用する必要があったのかどうか(そういう言い方をするとケンちゃんにも申し訳ないが、これはジャニーズというイメージの総称として言ったので誤解があったら失礼)疑問である。こんな超売れっ子を使わなくても新人でも良かった。(クレジットの役社名の後に「新人」と入れて・・・)。序ながら、ブッキーもたくさん映画に出ているという印象がある。

ひとつ嘘をつくと、その嘘を隠すために約三十の嘘をつかなくてはいけなくなると言うのが、この作品のタイトルであり、また、コンセプトでもあるが、日常にはその嘘が蔓延している。筆者は良く針小棒大だと指摘されるが、その辺りは職業的な部分からかも知れないしそういう指摘に批判はしない。そしてそれは嘘とは少し違うと分類しているし、逆を言えば対人関係の中で真実を語らない方が良い場合もある。勿論、良い嘘などは無いと思うが、思いやりから発する嘘というのを、良しとするかどうかに関して言えば筆者は良しとする。しかし、それが種となって悪い芽を育ててしまうこともあるということは予め覚悟しておかなくてはならない。そう考えると「沈黙は金」なのかなぁと、日常の筆者の喋りすぎ、多すぎる無駄口には反省する。そう、やはり雄弁にならなくてはいけない。

知らなかったが、この作品にある豪華個室のついた列車って本当にあるのか。北陸を走っていたが、オリエント急行までは行かないにしても、一度乗ってみたいと思った。邦画としては中々魅力的な作品だ。


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by turtoone | 2006-11-19 12:27 | 映画(や行)