暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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クラッシュ ~新作DVD~

b0046687_17562057.jpgアメリカ、というよりも、舞台はロスなので、アメリカ全部を象徴しているのかどうか分らないが、内容的には色々考えさせる作品であった。しかしながら一方で、この作品は2006年オスカーの作品賞である。多分、作品賞を獲得していなければ(ノミネートされているから認知はしているものの・・・)、然程、気になる俳優が出ている作品ではないだけに、積極的に鑑賞することはなかったであろう。そう考えると、この作品の根底にある問題提起というものがこういう形で一般に露見されたことは、結果論としては良かったのではないかと思う。但し、映画作品として満足のいくものであったかというと残念ながらNoである。

アメリカにおける「差別」という観点は、どうも9.11以降、可也、厄介な方向に動いているのではないかと考える。勿論、9.11そのものを論じているのではなく、あの事件によって、それまで色々と清濁・均衡を保って来た様々な要因が一気にバランスを欠いて露呈してきている。特に、中東に関する部分を筆頭に、アメリカという国が「自由」の名の下に、国内に国外と同じように培養してしまった数々の「人種問題」、「差別問題」というのは、その清濁・均衡が夫々の地域で、各々の対処をしていたがために、いざ、今回のように「国家」という軸を持った「一大事」に対する処方箋は持ち合わせていなかったに違いない。総力してのアメリカが強いと同時に、各論的には大変脆弱な合衆国を露呈してしまったに過ぎない。

作品についていえば、それぞれのストーリーに関しては分りやすい表現をしているから良く分かる一方で、だから、総力として、つまりは映画作品として何を言いたかったのか、全く焦点の呆けた作品になってしまった。前述した「個々の対応」と総論が一致しないような現代アメリカ社会と全く同じ現象起こした作品といえよう。CNNやABCのドキュメントなら良かった。「NHKスペシャル」のシリーズものならこれで良かったと思うが、だからこそ、この内容を映画として発表したかった「総括」は何だったのかを述べていないし、一番重要な部分を鑑賞者ひとりひとりに「後は考えろ」といっているスタンスも全く気に入らない。取り上げた内容や、ある程度のメッセージがあっただけに残念である。映画とテレビがゴチャゴチャになっている時代、敢えて、「映画」としてのプライドを持って撮って欲しかった残念な題材であった。

そんな中で、この作品の唯一の救いは「家族」である。どんなことがあっても最後に「心の救い」になるのは家族であるという部分を前面に掲げている。これは、この100年の間で、アメリカという国がとても進歩した部分である。例えば「ジャイアンツ」という映画があるが、あの時代には全く考えられなかった夫婦関係、市民生活、世論構築がある。どんなに富も名声もあっても、あの時代に人種差別を超えるものはなかった。現代は、こういう「心の問題」(どこかで聞いたことのあるフレーズだが・・・)は随分進歩したのであると。勿論、この原動力は、市民である。つまりは、これが「テレビ・ドキュメント」っぽく終わらせないためには、もっと家族を描けば良かった。勿論、その部分の終始するテーマでないことは承知だが、ひとつの帰着点を作る事によって、作品内容が安定させられるからなのである。「妖精のマント」であり、「赤い弾薬」が、恐らく最もこの作品をより感動的なものにし、同時に差別という「お化け問題」を少しでも身近なものへと導いてくれるきっかけであったのではなかろうか。

今年のオスカー作品賞は、すべてが「差別」を扱った作品だったから、どの作品を選ぶのも難しかったかもしれない。総花的な同作品内容は一番「当たり障り」がなかったのかもしれないが、残念ながら、筆者は題材は認めるものの、表現手法としてこの内容で映画を選んだことを間違いだと思う。


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by turtoone | 2006-08-14 22:07 | 映画(か行)