ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女
2006年 03月 06日
そう、流石にディズニーという、その持てる力を惜しみなく発した作品である。
全編を通して、まず、撮影技術や美術が大変細部にまでわたり凝っていて、更に最新の技術と、何よりも技術者の拘りがある。しかし、だからといってそれをひけらかしている訳では無い。変な言い方かも知れないが、ディズニーは今まで、アニメーションで様々な手法や表現を試みてきた。そしてそれらは、アニメという土壌でしか出来ない表現でもあった。しかし、この作品には、今までアニメーションでしかできないと思われてきたことを殆ど可能にしてしまった。この点に関しては、今まであった沢山のファンタジー作品のどれよりも優れている。つまりは、新技術なのに全く不自然でない描写表現を、違和感の無い構成の中に纏め上げている。実に見事である。
また、子役の遣い方が上手い。これもディズニーならでは経験値蓄積の賜物である。これもアニメーション作成の際にはキャラクター考案から始めるのであるから、役者選びに関してもそのノウハウが如何なく発揮されたのであろう。特にルーシーのキャスティングといい、彼女への演技指導といい、更には、ジョージ・ヘンリーという子役俳優をこれだけ魅力的で、幼いヒロインとしてスクリーンに登場させたことは残念ながら世界の中で、このディズニーという名のチームでしか出来ない離れ業なのである。勿論、ペベンシー兄弟は4人ともみな魅力的である。そして、この兄弟には、これまでディズニーが培って来た「魅力的な役作り」の全てが投入されている。いつしか、このディズニーマジックに観客は填まってしまう。
そして、何といっても「感動の連続」である。そう、過去にこれほど「泣いた」ファンタジー作品があっただろうか? 過去にあった色々なファンタジー作品とは全く違うコンセプト。つまりは、自分達の理論とノウハウというディズニー方程式に当てはめただけでなく、それで新しい解を導き出してしまったのである。
ベタ褒めをしてしまっているが、本当に最初から最後まで、ディズニーの底力を感じた。そして、ラストに残るものも、単に物語の終焉でなく、それを完結させるのは、この作品を鑑賞したひとりひとりに委ねているという、「ディズニーらしさ」なのである。ここまでディズニーらしさに徹してくれたとき、この物語は第一章の時点では「遥かに原作を超えた」もしくは「原作とは全く違う作品」を作り上げたのである。映画という試みが「総合芸術」だと、こういう作品を鑑賞するとつくづく実感し、さらに満足するのである。
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by turtoone
| 2006-03-06 23:05
| 映画(な行)