暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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恋におちたシェイクスピア ~My Collection~

b0046687_0452768.jpg素晴らしい映画作品というのは、言葉でどのように表現して良いものか本当に困るものであるが、この「恋におちたシェイクスピア」という作品もそのひとつである。この作品は最後の最後まで、作者の意図が掴めない。いや、訂正し、正しく表現すると、原作者の意図は最初から見えているのであるが、落としどころを何処に持っていくのかというのが映画の冒頭からずっと興味を引いてしまう。最初に感じたことを124分間を通して最後まで観客に維持させられるという点では、貴重な作品である。逆に言うとそれもそのはずで、主人公はかの有名な「ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)」だからである。筆者も実は、シェイクスピアに関しては相当なファンであるが、この作品はシェイクスピア好きだけでなく、色々な人が自らのレベルとペースで、この作品の謎解きが出来る。そして、それが物語の進行を全く妨げるところのない不思議な構成になっているところがまずもっては脚本の勝利である。筆者もそうであったが、シェイクスピア・フリークであれば、最初にグウィネス・パルトロウが観劇している芝居「ヴェローナのニ紳士」のところで、彼女の役名が「ヴァイオラ」というところですぐに「十二夜」が想像できる。しかし、この時点で作品の落とし処はまったく想定できない。なぜなら、その後、シェイクスピアに関わる役名や、作品のオマージュがてんこ盛りだからである。一例を挙げれば役名のフィービーや、ロザライン。また、死んだはずのシェイクスピアを亡霊だと叫ぶところは「マクベス」だったり・・・、また、ヴァイオラの"It is a new world"は「テンペスト」の台詞であることは言うまでも無い。男装変装はご存知の通り「ヴェニスの商人」である。勿論、「ロミオとジュリエット」を知っているだけでも充分楽しめる作品である。悲劇の「ロミジュリ」が当初、喜劇(もっともこの時代は喜劇しかないから悲劇は新しい提言)であったというところからの流れだけでも時代と文豪を風刺していて面白い。因みに、筆者が好きなシェイクスピアの戯曲は、月並みながら「夏の夜の夢」と、変わったところで「ジュリアス・シーザー」の2作である。

脚本だけではなく、美術は目を見張るし、音楽は思わず聞き込んでしまう。特に、舞踏会のシーンは撮影・美術・音楽の全てにおいて、最高のクオリティを演出している。特に衣装の色遣いは16~17世紀当時の物とはかなり異なっているものの、そこには映画という総合芸術の解釈として、現代の色感覚で再現した17世紀当時の宮廷舞踏の時代考証が見事に確立されている。ある意味で歴史考現学の成果である。さらに、ここにクロスフェードしてくるのが、何を隠そう、偉大なる文芸家、シェイクスピア本人作品の美しく情緒ある「詩」の数々である。勿論、脚本的に言えば、はじめにシェイクスピアの作品ありきの台詞と展開なのであるが、そのことを全く意識せず、作品にのめりこむ事ができるのがこの作品の構成完成度の高さである。そう、鑑賞者はいつのまに自分で自分に暗示を賭けているのである。

そして、それは役者に拠る所も大きい。まずは、グゥイネス・パルトロウの男女2役である。ヴァイオラ役が美しいのは元より、トマス・ケント役はなんともセクシーである。ジョセフ・ファインズが男役の方に思わず接吻してしまうが、このストーリーの流れとは別に、それくらい(髭をはやしていても)セクシーである。更に言えば、脇はもっとすごい俳優が固めている。まずはなんといってもジュディ・デンチ。オスカー史上、最も短い出演時間で助演女優賞を獲得したが、彼女だけではなく、ジェフリー・ラッシュ、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン、サイモン・キャロン、イメルダ・スタウントン、それに筆者は彼の出演作の中ではこの演技が一番良いと思っているベン・アフレックと、これだけの演技巧者な俳優が次々と出ていると、まさに見所があり過ぎて大変なところである。しかしながら、それをもってしても、この作品はそれでいて疲れたりすることなく、トータルバランスの良さが抜群である。そう、極めつけは編集が見事なのである。余計なカットが全く無い。これらが全て相俟って、冒頭の興味を最後まで引っ張ることができる、それでいて、感動で涙を誘うというラストではなく、最後には少しコメディの要素を余韻として残すことで、この作品が実在した偉大なる文豪を扱っていながら、エクスキューズとして「実在の人物とは一切関わりがありません」というテロップの代わりにしている。

筆者の基準でいう「特A」作品である。上記の感動はDVDでも充分堪能できるので、是非、機会があったら鑑賞して欲しい。

ところで、この週末にはこの作品以来「7年ぶりのオスカー狙い」を宣伝で銘打った作品が二つ、「ブルーフ・オブ・マイライフ」と「プライドと偏見」(それぞれの公式サイトはこちらからどうぞ)あるが、この2作品がどれたけこの作品に迫れるか期待したい。


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by turtoone | 2006-01-08 22:47 | 映画(か行)