暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ブラザーズ・グリム

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この作品はコンセプトが見事だった。童話というのは所謂、ファンタジーである。しかし、この21世紀のエンタメ界で一大勢力を形成したファンタジー勢力分布派もはや留まるところを知らない。勿論始まりはスターウォーズであったが、その原作をも超え、幾重にも積み重ねた沢山の企画と構想と描写に対し、スペースファンタジーという領域では残念ながらこれを超える物は作れないと誰もが断念した。製作者は断念すれば良いが、しかしながら、一旦上げられた視聴者のレベルという物はそう簡単には下げられない。美味しいものを食べ続けてよく「舌が肥える」というが、この場合目が肥えるとでもいうのだろうか?いや、敢えて真面目に自問自答して言えることは「目」だけではない。五感のすべてが高いレベルに持ち上げられたと言ってよいだろう。さらに、その後のスペースファンタジー作品は常に、この作品と比較されるという生みの苦しみを背負わされた。そして残念ながらスターウォーズシリーズを超える評価を与えられた同類作品は皆無である。

しかし21世紀に入り、全く違うファンタジーの傾向が現われた。ハリポタとL.O.T.Rである。この2作品はそれまで大作制作を半ば諦め、大きなシートを覆い被されたこの領域に風穴を開け、続編を発表するごとにその穴が大きく広がった。そして短期間でファンタジーの新勢力を形成し、同時にあらゆる可能性があることを提示した。来春から公開される一大ファンタジーのナルニアもこのムーブメントから輩出されたことは言うまでも無い。

この表題作は前述したような超大作では無い。しかし、グリム兄弟を余りにも有名で、又誰もが知っている彼らの代表作品の名場面と連繋させ、一般的に他の童話作家が夢と希望を与えることに比べて、残酷で人間臭さを表現したという後世の人間の論評も区々な彼らを「実は詐欺師だった…」言い切ってしまったところが凄かった。これぞ、コンセプトの勝利である。何度も書くように筆者は今年の作品の中では「ネバーランド」の評価がやたらに高いが、あの作品も余りにも有名なピーターパンを作者のジェームスバリに視点を併せて、新しい物語を構築したコンセプトであり、その定義に当てはまるのは、やはりこれもやたらと筆者の評価が高い、「恋に落ちたシェイクスピア」(まだレビューを書いていない…近々書かなくては)である。こういう作品は鑑賞前から期待も大きく、従ってその分筆者の評価もハンディが着く。2005年秋冬期待度ランキングでも第2位だった。しかし、その期待度が裏目に出ると、「バッド・エデュケーション」の様な事になってしまうのである。

結論をいうと、この作品はコンセプトは良かったが、構成はこの手の作品の「お決まり」だった。はじめに、主役人物の背景を説明するショートストーリーが入り、次に本題への導入、そりゃないだろうという主人公の行動が故の失敗と、簡単などんでん返し。更に誰でも分かる安易な謎解きと、ピンチからの脱出が幾つか続いたのち、展開上絶対無理なこじつけと、作品のどこかに隠されていたキーワードをなんとか引っつけてエンディングへと滑り込む。そう、これは「娯楽作品」の鉄則、王道である。この作品、コンセプトが良かったのに、それだけであとは斬新な物は殆ど発見できなかった。ある意味「ヴァン・ヘルシング」と全く同じで向こうは娯楽大作に撤していたから評価を高くしたが、こちらは、そのための詐欺師という設定だとすると、作品前半に抱いていた期待と興味が中盤からすべて薄れてしまい、グリム童話との連繋から「エエー?まさかあの話を持ってくる~?」というオチ迄途中で分かってしまうという有様だった。

マット・デイモンとヒース・レジャーはそれぞれ持ち味を発揮してくれた。特にヒース・レジャーは期待通りの演技だったし、これも、余り「好き嫌い」では食べず嫌いに入る俳優マット・デイモンも少しテンションが高すぎたきらいもあるが、そこそこの出来で新境地、「ボーンアイデンティティー」とかではなく、こういう役柄が出来るのであれば、これからも少し注目したいと思わせた。しかし、この作品は正直なところ、ピーター・ストーメアとジョナサン・プライスという二人のベテラン演技巧者に救われた。彼等二人が居なかったら「娯楽作品」の楽しさをも感じることが出来ず、本当に企画倒れになってしまったところであった。

この作品がそうであるとは言わないが、最早、大作になりきれない中途半端なファンタジーは必要とされないのかも知れない。


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by turtoone | 2005-11-16 00:06 | 映画(は行)