暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ジョー・ブラックをよろしく ~My Collection~

b0046687_23524699.jpg映画作品も色々あるが、この作品ほど兎に角テンポが遅いのも珍しい。この作品は180分という長い上映時間であるが普通に製作したら多分100分くらいで収まってしまうだろう。誤解の無い様に申し上げておくが「遅い」というのは別に悪い意味では無い。別の言い方をすれば時の流れがゆっくりと感じる。実は、これはこの映画の中で一番大切な部分である。ストーリーに少し触れると、一代で巨万の富と絶大な権力を得た人生の成功者ビル(アンソニー・ホプキンス)に、死神(ブラッド・ピッド)が、ビルに延命と引き換えに人間世界の案内役を強要するという内容である。ジョー・ブラックと呼ばれるようになったその青年は、ビルの屋敷に住み、次女のスーザン(クレア・フォラーニ)とお互いに惹かれあってしまう。物語としては特別に新しい物は無い。発想としてはこれも筆者の好きな作品、ウォーレン・ベイティ主演の「天国から来たチャンピオン」に似ている。但し、「天国~」はテンポの早い、半ばコメディである内容に対して、表題作は最初に青年とスーザンの出会いの部分だけはテンポが良いが、それ以外はぐっと遅くなる。

しかし、暫くするとこのテンポに慣れてしまうのである。それは、このビルの余命が後僅かということに対して、彼自身が死に対する恐れや不安という物を全く断ち切った事を示している。つまり、一世一代の成功者になるまでの生涯をまさに駆け足で上り詰めてきた65年分の休暇を数日で送り人生を取り戻すという、見方によってはとても悲しい人生に鑑賞者が同調してしまうからである。この辺りのエモーショナル・ラインをきっちり繋いでいるところがアンソニー・ホプキンスの演技巧者なところである。「羊たちの沈黙」の様に戦慄を覚えるほどの切れ味の良い「演技」ではないが、寧ろ、静の演技としてこれだけ見事に演じきれる俳優というのも、そんなに沢山ハリウッドに居るわけではない。彼の出演作の中でも(決して目立たないが)上手さという点からいえばこの作品は1.2を争う。そして、それに負けていないのがブラッド・ピッドである。彼は同世代の男優と比較すると例えば、トム・クルーズやジョニー・ディップが演技の上手い云々を取り上げられるのに比べて、寧ろ、ルックスの良さばかりが取り上げられて来た。しかし、丁度この作品の前後というのは、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」、「デビル」等しっかりと演技が出来るという作品自体にも恵まれた。筆者はブラピの演技でどれが一番上手いか(彼の場合イコールどの作品が好きかにも繋がるのだが)と尋ねられたら、迷わずこの作品か「セブン・イヤーズ~」を上げる。特に素晴らしいのが「死神」のベッド・シーンである。これはブラピの・・・ということだけでなく、所謂「初体験」の表情をこれだけアップで撮影されたにも係わらず名演技として残る物は他に例が無い。このシーン(だけではないが)は本当にお薦め、必見である。この死神の不安な表情と、一方でそれまで何も人間界に思い残すことが無かった大富豪ビルが、唯一、娘の行く末(何しろ相手は死神なので)を案じ不安に陥る。その二人の異なる不安の対比が又絶妙で中盤から後半を繋ぐので、最後のビルの英断は実に爽快である。本当にこのラインの繋がりが実に巧みな作品である。同時にこの作品は、鑑賞者にとっては実にこの二人の人間の交互に感情移入することが可能である大変珍しい作品である。これも、物語をゆっくりと描きながら、前述の二人に加え出演の役者さんの全てがこの作品の意図をきちんと理解してしっかりと重厚な演技をしているからである。役者の演技をじっくりと見ることができる。

監督はマーティン・ブレスト。彼の作品経歴は面白く、方々から大批判を食った挙句ラジー賞と日本公開なしとなった「ジーリ」があると思えば、大ヒット・刑事コメディの「ビバリーヒルズ・コップ」がある。比較的、演技をしっかり見せるという内容の物では、名優アル・パチーノにオスカーを齎した「セント・オブ・ウーマン」であろうか。しかし、静かながら理屈っぽい「セント~」に比べると、やはり本作品の方が良い出来上がりである。何よりも筆者が最も映画を高く評価する要因である「女優を綺麗に撮る」ことを実践している。事実、クレア・フォラーニの美しい映像にはブラピでなくても、死神でなくても惚れ込んでしまうのでは無いか。序ながら、美術と撮影が良い。美術は現代物としては豪華絢爛であるが、ストーリーがゆっくりなのと同じ様に、その撮影もじっくりと豪華絢爛な美術映像を表現している。これも必見である。

筆者はブラピがピーナツバターを着けたスプーンを舐める仕草が大好きである。この仕草で高慢で誇り高いが悪い奴ではない「死神」に殆どの鑑賞者は安心するのではないかと思う。これもA作品である。


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by turtoone | 2005-08-30 23:58 | 映画(さ行)