暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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亡国のイージス

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今年は本当に良く邦画を鑑賞していると思う。逆に言うと、洋画に期待外れが多くなって来ているのかもしれない。かといって、邦画が然程「期待通り」であったという訳ではないが。ただ、出来、不出来という範疇から考えると、洋画の場合は、「字幕スーパー」という余計な視覚を使っている分だけ、外れた作品を観た後の疲れは洋画の方が大きい。おっと、こんな書き出しだと、まるでこの作品が期待外れだった様ではないか??? というか、原作を未読のまま鑑賞に入った筆者は、鑑賞後映画館から隣接している書店に直行したくらいである。

福井晴敏氏の作品は、今年3作も映画化されている。筆者が氏を存じ上げたのは、「終戦のローレライ」である。文体から感じたのはもっと年上の作家だと思ったこと。ファンには失礼であるが筆者の好みではない。そういう理由で今春封切られた「ローレライ」は映画鑑賞を見送っていた。本作鑑賞後に書店に駆け込んだのもそんな理由もある。しかし、驚いたのは原作の長いこと。更に言えば、どこからが映画の原作になったのかが分からないまま、諦めて本を閉じた。(しかし、相当読んだけど、映画よりずっと面白かった。余談であるが筆者の特技のひとつに速読がある。殆どは立ち読みできる)

そもそもこの作品は、期待ランキングも高かったが、それは原作というより主役級3人が筆者と同世代でもあり且つ、邦画界を背負って立つ3人の共演だからである。真田広之は殆どテレビに出ることはないが、佐藤浩市と中井貴一はNHK大河の常連でもあるのでスクリーン以外で観る事も多い。特にこのふたり、佐藤は昨年の芹沢鴨、中井は今年の源頼朝等の演技で分る通り、演技力では世代を問わず群を抜いている。そういう期待が先んじていたので、やはり鑑賞の中心はその部分になっていたが、にも係わらず(多分・・・)原作に対してのこの大幅な割愛は、映画が進むにつれて気になりだし、引いては全くスクリーンに没頭できなくなってしまう程、「げ、げ、原作はどうなのだろう・・・。この部分は原作にあるんじゃないか? この人って本当はあの人と関係があるんじゃないのか?」という謎・なぞ・ナゾのオンパレードになってしまった。そう、重要な部分の説明不足がとてつもなく多過ぎたのであった。

それと、国家論である。佐藤浩市の台詞に「国家とは?」という問いかけがあるが、これは大事な視点である。以前、米テレビドラマで大統領補佐官が「所詮、国民の大半は、暖かい寝床と、安いガソリン、それに良く当る天気予報があれば満足している連中だ。彼等に国家という意識はない」という台詞があったが、これは名台詞だと思うし、実際に国家という枠組みで物を考える一般市民など皆無に近い。そして、こういう台詞が出てくるシチュエーションというのは、「国家存亡の危機」という必要条件に対しであれば大変分りやすい表現である。国家の危機という状況は、19世紀以降、残念ながら「戦争」という状況下を前提にしないと考えられなくなった。逆の言い方をすれば国家というのは、戦争の果てに出来上がった欧米の勝手な「線引き」であるし、その中に住んでいる民族がその線引きで国家を考えろというのが所詮無理な理屈なのであろう。更に言えばその「線引き」にすら該当しない、わが島国に「国家論」などは初めから存在しないも同然なのである。佐藤浩市は前述の大河ドラマ芹沢鴨役でも、新撰組筆頭局長として、当時尊皇攘夷に揺れていた幕末の世相に対して「国家」という言葉は用いなかったが、同じ趣旨の台詞を吐いている。そう、この国が国家を意識するためには、この時代まで遡らないと不可能なのである。

戦後60年の今年、「平和呆け」が叫ばれて既に20年以上、最早この言葉すら死語である。そのタイミングにこの作品が公開されたのだとしたら、それは作品化の段階の何処かで大きな間違いが生じたに違いない。少なくとも、この密室会議に列席していない国民は、イージスの砲弾が首都に向いているかどうかでなく、その艦船の中に自分の家族が乗っているか否かで、対岸の火事という程度にしか思えない民族だからである。そう、国家とは、国の家族であるという本質を物心ついた時分から教育されていない国民に、必然的にその認識は生まれることは無い。つまりは、そこに主題を於いてしまった本作品の映像表現からは、危機感は愚か、その感動も伝わることはわかったのである。

第二次世界大戦後60年、ドイツは「ヒトラー 最後の12日間」で、戦争責任を改めて謝罪し主張した。この国も必要なのは悪戯な謝罪でなく、平和理念に基づいた世界への方向性だと思うのだが?


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by turtoone | 2005-08-04 21:17 | 映画(は行)