暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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グラディエーター ~My Collection~

b0046687_16191959.jpg昨年から一時期静かなブームとなった「スペクタル史劇」の火付け役となった作品である。筆者の評価も大変高い作品なのだが、果たしてちゃんとレビューを書けるか余り自信が無い。

そこで、この映画の素晴らしい点を幾つか上げる。まず、「ローマ」であること。"すべての道はローマに続く"様に、やはり歴史映画の原点はローマである。「クレオパトラ」、「スパルタカス」、「ベン・ハー」と過去の歴史大作と言われるものはローマを描いたものが多い。そして、ローマ帝国を、権力の側からでなく、民の側から見た。これは、ある意味でベン・ハーもスパルタカスも一緒であるが、この作品は一人の男の復讐に終始した。勿論、前2作も「復讐劇」であるが、この作品の様に、のっけから愛するものは「家族と土地」を印象づけるシーンが出てくる作品も珍しい。要するに、舞台はローマ時代においているが、本質は時代に係わり無く人間の執着と欲望は尽きない点を、どの階層の人間も同一であるという視点を持って描いている。つまり、ここに出演する人物はエキストラも含めて、「物事に執着する」、「尽きない欲望」を表現している。それは王冠であったり、権力であったり、決闘であったり、自由であったり、愛であったり、様々である。

「ローマ」、「民衆」、「執着と欲望」とあって、もうひとつの決め手が「戦い」である。この作品は数々の色々な「戦いのシーン」がある。戦場での戦い、コロシアムでの見世物としての戦い、そして、プライドを賭けた一対一の戦い。勿論、目に見え、拳や刀を振り上げる戦いもそうであるが、そうでない自己との「形の無い」戦いは全編に繰り広げられている。そして、誰もが言うのが「真のローマの姿に・・・」である。そう、彼等はすべて「皆のためのローマ」のために色々な戦いをしているのである。そして、それをもっとも表現し易かったマキシマス(ラッセル・クロウ)という人物を軸にして、様々なローマの人間の苦悩を描いたのである。この土台の構築は見事に的中したと言える。

ここで、世界史について少し触れておくと、ここに登場するコモデゥスという皇帝(ホアキン・フェニックス)は、所謂、マキシマスの敵役でもあるが、彼の父は、マルクス・アウレリウス(リチャード・ハリス)であり、要するに五賢帝の最後の皇帝である。史実では、五賢帝は代々実子を後継に選ばなかったが、彼だけは「不肖の実子」を後継に選んだことで後々、現代においてまで可也非難をされている。要するに本作品では、コモデゥスが父を暗殺することによって、この後継選びは偉大なるアウレリウスの本意と違うことを暗に示しているが、筆者はこれには異論がある。コモデゥスは、父帝の在職時期から「共治帝」といういわば後継としての役職についており、この映画のストーリーの様に、父を暗殺する必要もなかったし、マキシマスにコロシアムで倒されることもなかった。しかし、彼を皇帝という「ローマの象徴」という描き方をしたかったがために、すべての「ローマの功罪」を彼に被せたというのが、前述したマキシマスを軸にしたローマ人の苦悩とリンクした作品の主題であろう。

余談だが、この作品で興味深いのは、コモデゥスの姉ルッシラの扱いで、史実では182年のコモデゥス帝暗殺未遂で疑いをかけられ、追放、処刑されているが、作品は全く逆の立場を取り、彼女の息子ルキウス(アウレリウスが最初に共治帝に任命し、後に病欠した父と同じ名前)が即位したと言っている。要するに、この作品では前述のように、ローマの民が、ローマに最も相応しい皇帝を、ローマの民意を結集(コロシアムという場所で)して選出したというひとつの柱に拘った。アウレリウスが犯した「歴史の間違い」をこの作品で「ローマ人が」正したというのであろうと解釈する。筆者はローマの末裔でないから、史実を云々言う積りは毛頭無いが、このストーリーは筆者のこのレビュー文章と違い、大変ローマを理解しやすいと思う。

リドリー・スコット監督について、彼の代表作というと、人によって「エイリアン」だったり、「ブレード・ランナー」、「テルマ&ルイーズ」だったり様々であるが、それは彼の多才な面の表れであると思う。ただ、この作品がオスカーで作品賞を取りながら監督賞を取れなかったことには憤りを感じる。(しかも、受賞したのがソダーバーグの「トラフィック」なので・・・)筆者にとっては、リドリー・スコット監督がどうこうでなく、この「グラディエーター」という作品を生み出したコンセプトとその表現力、表現手法が素晴らしいと思うからである。

撮影技術も美術も素晴らしい。勿論、ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス(彼もまた、助演男優賞を取れなかった。「トラフィック」のデルトロだけに理解し難い)の演技もであるが、それは、到底筆者が文章で表現できることではないから、是非作品を観て欲しい。実は、筆者も是非、スクリーンで再演して欲しいと、密かに幾つかの名画座にリクエストしているのである。

最後にこのDVDのジャケットのラッセル・クロウは頂けない。折角良い作品なのに、このジャケのせいでショップで手にとっても全くそう思えないので・・・。


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by turtoone | 2005-07-25 18:20 | 映画(か行)