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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ニュースの天才 ~新作DVD~

ニュースの天才 ~新作DVD~_b0046687_19401212.jpgジャケットにもあるように全米を震撼させた実話の映画化である。勿論、良識ある判断の持ち主であれば、マスコミの垂れ流すすべての報道・情報を100%信じている訳ではないのは、日本も同じである。テレビが視聴覚というマジックによって「真実の婉曲」を諮る手法を用いるようになった1970年代から(元はといえば佐藤栄作の無知な発言が拙かったのだが・・・)新聞の報道合戦も過熱した。日本でいえば、今は当時の勢いの欠片もないが、写真週刊誌5誌の熾烈な報道合戦は度々法廷沙汰にもなったが、日本人というのは肝要なのか「人の噂も75日」で、その時は飛びついても、事件の殆どが忘却の彼方に葬られている。その点、アメリカという国民性は、基本的に自己の存在と主義を守ることが必定であるから、こういう「不正」には厳しく、結果映画作品化も多い。

鑑賞前から興味深かった点は、トム・クルーズの製作総指揮と、その作品にヘイデン・クリステンセンが起用されていることである。筆者は兼ねてから、ハリウッドの若手男優の層の薄さを心配していて、このブログでも何度か指摘しているが、かつて、ロバート・レッドフォードが若い才能の発掘と育成に私財を注ぎ込んだ様に、トムは映画界の将来を真剣に模索している一人である。その彼が今回、この難しい役にヘイデンを選んだことに意味と興味を持った。序ながら、トムは"show me the money"という名台詞までヘイデンに伝授するという期待の高さを感じられる。

ひとつ作品の構成について書くと、物語の進行は主人公の事実の回顧と母校で客演講義をしている願望が同調しているが、筆者としては「クイズ・ショウ」の様に、完全にドラマ仕立てし終始してしまった方が内容が分かりやすかった。筆者は敢えて、そういう手法を取らなかった部分は作品の構成としては評価できないが、逆にいうと「クイズ・ショウ」は前述のレッド・フォード作品であり、寧ろ、テーマ性も含めて、同じジャンルに挑戦してきた(んじゃないかと勝手に・・・)トム・クルーズの意気込みを強く感じる。但し、この事件と「クイズ・ショウ」の事件を比較すれば、後者の方が国民の関心は現代でも高く、逆に直近の出来事である前者について、正確な日時まで入れて克明に描いたことには、製作者の記事捏造に関する強い憤りを感じる。巨大メディアで起こった事件と、大統領専用機で唯一読まれている伝統と由緒はあるが、一般的ではない雑誌の事件と、どちらも奢り高ぶったマスコミ権威主義の汚物であることに違いない主張を、この作品構成から汲み取れるのである。

もしかしたら、この全世界的に腐敗したマスコミに唯一意見を出来るのは、映画という芸術手段しか残っていないのかもしれない。勿論、前提として鑑賞者の良識を信じての話であるが・・・。


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by turtoone | 2005-07-16 22:48 | 映画(な行)