暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ヒトラー 最期の12日間

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待望の上映である。この作品で語られていることが事実だとしたら、20世紀はもしかしたら本当に人類滅亡の危機と背中合わせにあったと言えるし、実は、今こうしている内にもその危機は継続していると言えないか。大変「重い」映画鑑賞であったと同時に、これほど先の大戦を映画作品として踏み込んだ物は今までになかったというのが結論である。筆者の鑑賞記としては、正直、これ以上の言葉の羅列は無意味な気がしてならない。

作品の見所としては、大きく分けて2つあり、ひとつは、この作品の中で述べられている事実である。作品化にあたっては、第二次世界大戦後60年(日本では60年というのは還暦であるが、ドイツでは何かあるのかなぁ)という節目に向けて、政府としてこの事業を後援した。要するに、長い沈黙を破ったドイツのヒトラーに関する「公式見解」である。そして、そのヒトラーの事実とは、正直筆者が考えていた範疇には全く収まりきれない、人間の良心の欠片もない、人類の「敵」であったことが150分にわたり述べられている。(勿論、この辺りは作品の受け止め方にもよるのであるが、性善説の筆者としては全編に亘りショッキングであった)。そして、これはフィクションではなく、数々の貴重な歴史証言の集大成であることから、言い換えれば、真実というものがこれほど重く、これほど大きく圧し掛かって来るという経験を、筆者にとっては他の映画鑑賞からは得られなかった。敢えていえば、「シンドラーのリスト」以来であり、しかしその重さは比較にならないほど本作品の方が重い。

もうひとつの見所は、ブルーノ・ガンツをはじめとした、ドイツ映画界の俳優陣である。特にヒトラー役ブルーノの演技は背格好だけでなく、ヒトラーが生き返ったと同じ恐怖と戦慄を感じさせる。そしてヒトラー自身の中に巣作って居座る「悪魔」の存在をもののみごとに演じきった。彼をはじめ、ナチスという過去の祖国の過ちの映像化に勇気をもって望んだ俳優陣に大きな拍手を送りたい。勿論、それは製作陣も同じである。昨年「パッション」というやはり衝撃的な映画鑑賞があったが、あのときは人間の持つ尋常でない恐ろしい部分を嫌というほど見せられたが、今回は、その逆で、自己に対する非難だけでなく、何故この独裁者は考えを変えられないのか?同時に、周りに人間は何も出来ないのか? かくいう自分がこの場に居て、この独裁者に物が申せるのかという自問自答を鑑賞しながら続けていた。

翻って、日本は同じ敗戦国であるが、この作品を見る限り、国民を守ったという点に関して言えば、ドイツに比べてわが国の対応は間違いでなかったと言える。但し、戦後処理に関しては言えば、ドイツはこれだけの事実を知っていたからこそ、他の国、他の民族に対しての戦争責任を果たしてきたのだと痛感した。そして、それは長い年月、世界の中心であったヨーロッパという地域における、中世以降のドイツ地方のすべての歴史を背負ってたったという部分で考えれば、残念ながら極東の島国日本とは、その責任の重みも受け止めも格段の違いがあることに、この鑑賞で理解できた。冒頭でも述べたが、もしヒトラーが核を所持していたら、1945年で人類の歴史は停止してしまったのであるし、同時に独裁者という観点から考えると、その危機は21世紀も続いている。

この作品が、悪戯に「証言集」になることがなく、あくまでも「ドラマ」に拘った点を高く評価する。こういう内容はついついドキュメントタッチになってしまう傾向があるが、敢えてそれを断ち切った製作判断と脚本を賞賛したい。又、悪戯に高技術の戦闘シーンが無くても、観客の五感と創造力に訴えて映像効果を高めたことも高く評価する。「事実は小説よりも奇なり」というが、今夏に限って言えば「真実はSFよりも感動する」というところであろうか。

シネマライズも平日なのに満員だった。(レディーズデイ料金も無いのに女性も多かった)。上映直後に「オブラートで包んだアメリカ映画と違って見事」と賞賛の声を上げた老紳士が居たが、同感であるが故に複雑だった。

筆者的には必見である。未採点だが、A作品であることは間違いない。


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by turtoone | 2005-07-14 10:22 | 映画(は行)