暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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宇宙戦争

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最初に申し上げるが、この作品はH・G・ウエルズの「宇宙戦争」ではなく、スピルバーグ監督の映画作品"War of the worlds"である。という書き出しで、実は映画鑑賞以前からこのブログで始めようと思っていたのだが、当初とは少し違う意味であるが、まずはこの書き出しで始めることに関しては異論の無い作品であった。というよりも、この原作が「宇宙戦争」という邦題をつけられているかどうかは別として、日本ではどうして「ウォー・オブ・ザ・ワールド」にしなかったのだろうかと不思議であった。つまり、この作品は所謂、「宇宙」という空間で起こることではないし、少なくとも今までのスピルバーグの作品傾向を知っている人であるならば、その主体が、「宇宙の戦争」で無く、人間の可能性と、地球という惑星の大宇宙に於ける存在意義を問う内容になることは当然で、だとしたらば、この邦題に拘る必要は全くなかったと思う。この辺りは、今後も、邦題をつけるときに、その関係者は再考に再考を重ねて欲しい。たまに「なんで~」と思う邦題もあるが、筆者は洋画のタイトルに比べて幾重にも捻りを利かしたこの試みは尊重している。もうひとつは、H・G・ウエルズの作品はこれまでに何本も映画化されているが、特に、その初期の作品、1902年の「月世界旅行」、1932年「獣人島」、1933年「透明人間」、1938年「来るべき世界」は映画史に燦然と輝く金字塔であり、これらはすべて、H・G・ウエルズの作品なのに対して、今回はスピルバーグの作品であることが明解に打ち出されていた。それらの要素をすべて加味して、冒頭の書き出しとなったのである。

ところで、ここでは原作の事に関してはとやかく言わない。筆者がこの本を読んだのも、もう随分昔のことであり、そのとき既にこの設定とこの結末に関しては、単に冒険小説として帰着させているからである。しかしながら、誰ではなく、かのスピルバーグが興味を持つという部分に関しては、「バック・トゥー~」シリーズのレビューでも書いたが、それ自体がこの小説の価値があるところであり、同時に、ウエルズが単なるモノ書きでは無いという証でもある。だから100万年前から存在していようが、地球上の異変はすべてその宇宙人の仕業であろうが、にも係わらすあのオチ。そう、そんなことすら想定できなかったのかどうかは問題では無い。要はスピルバーグがこの作品を取り上げて、映画というエンタメ領域から何を表現し、何を言いたかったである。

スピルバーグはまずトム・クルーズ演じる主人公の設定を普通の人間にした。ただ、コンテナを1時間で40個も処理できる有能なガントリークレーン技術者。この辺りの「含み」にまず拘りがある。そう、ID4の様に「この男になら地球を救える」という期待を鑑賞者の与える。更に、家族構成。アメリカ映画によくある、離婚夫妻の子供たちの「面会日」。複雑家庭構成の中、それでも和解はしていて、ここでもこの親子の絆が地球を救うために機能するとのではという憶測も与える。極めつけはティム・ロビンス。それまでなす術もない地球軍のもしかしたらコイツが切り札か・・・とは流石に観客は思わないが、逆に人間の清濁両面をもったキャラとして描き、良心みたいな部分とキャラであるが・・・。その辺りの連続は素晴らしい。ID4がアメリカの沢山の人の人生を描いたのに比べて、この作品はひとつの家族の予期せぬ出来事への葛藤を描いたことによって、人類全体を代表させたのであった。ID4が娯楽作品としてこのテーマに望んだのに比べて、スピルバーグは、人類滅亡危機のもしかしたら近い将来あるかも知れない事象の予測を、映像表現という形でリアリティを追求した。そしてその映像表現は、これは筆者の文章力ではとても形容出来ない。百聞は一見に如かずである。

個人的にスピルバーグっぽさを発見したのが、地下部屋のシーン。ひとつはトライポットの触覚が人間を探しているシーンは「マイノリティ・リポート」で、風呂に潜っているトム・クルーズが見つかってしまうシーンがダブル。又、同じくエイリアンが人間を探しにくるシーンは、ジュラシックパークのテーマパークの厨房で恐竜から隠れる姉弟のシーンとダブル。他にもあったかも知れないが、筆者はここで、スピルバーグの大作に隠した「遊び」を感じる。こんなところに、この大作を撮っている一方で、「これはたかが映画だよ」っていう、巨匠のゆとりを感じるのである。やはり凄い才能と人間性の持ち主だ。

勿論、すべてに満足している訳ではない。しかし、奇しくも30年事業となった「スター・ウォーズ」が完結するのと同じ夏に、同じ「SF」という土壌で、良き理解者であり、良きライバルとして真っ向から勝負を挑んだ彼のプロ意識を十二分に受け止めることの出来る題材と内容であった。



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by turtoone | 2005-07-04 00:16 | 映画(あ行)