バットマン ビギンズ
2005年 06月 26日
まずは本編の感想からいうと、明らかに撮影技術の向上とその技術を惜しむことなく随所に生かしていることから、今までに無い屈強な主人公の誕生となった。特に、東洋武術を前向きに取り入れていることで、付帯的に主人公に精神力が芽生えさせた点を強調させられたところの効果は大きかった。又翻って、この作品は「ビギンズ」というタイトルが示す通り、バットマン誕生秘話も含んでいることから、今まで見たバットマンにもこの精神力が培っているのかとフィードバックする効果も筆者的には含まれていた。次にゴッサム・シティーの世界観については、どうしてもティム・バートンの映像に取り付かれてしまっているが、ティム監督の3作品には、ゴッサムという街が近未来的に感じられた物を、この作品では現代に置き換えた構図を作り上げた。つまりこの作品はファンタジーであると同時に、実際に現代の病巣を風刺した隠喩法作品であるという部分を強調したのである。さらに言えば、バットマンが武者修行をしていく過程での精神的なベースは、スターウォーズの「フォース」のそれと類似していて、米教育事情における知力鍛錬ブームを裏付けているとも言うよう。いずれにしても、これほどスーパーヒーローの内面の奥底までを掘り下げた作品というのは過去に例が無い。
もうひとつは、この作品が必要以上に過去の「バットマン」、特に第一作に忠実な点は歴史を証明し再構築する作業という観点から見ると大変興味深い。これも、やはり前述のスターウォーズの試みと共通するものがあり、既に出ている「結果」に対して、その検証を導くプロセスという考え方を論証するという方式を、奇しくもハリウッドの超大作が取り入れたという事実については興味津々である。これらは、21世紀に人類が改めて自らを問い、自らを裁き、自らを生成発展させるために最重要項目なのではないかと考えるのである。
そして、「バットマン」シリーズの色々スタッフやキャストが色々と代わって行く中、「スターウォーズ」の様にルーカスという生涯をこの作品に捧げた大黒柱の無い中で、単にアメコミの域を出てこの一大事業に現在でも取り組んでいることのスピリットに深い感銘を覚えるのである。
取分け、ワーナーブラザーズ社と、制作のベンジャミン・メルニカとマイケル・E・ウスラン、それにバットマンの生みの親である、故ボブ・ケインの3人の偉業に大きな拍手を送りたい。
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by turtoone
| 2005-06-26 00:57
| 映画(は行)