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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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バットマン ビギンズ

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「バットマン」というシリーズは、続き物の様でもあり、又一方でシリーズ物でない両面を持ち合わせている。それには色々な要因があって、例えば、監督も途中で変わったり、主人公のバットマンを演ずる俳優が次々に交代しているという部分も大きい。しかし、今回特に大きな変更としては、このシリーズずっと支えてきた、アルフレッド役が変わってしまったことが大きい。これが、今までのシリーズに対してひとつ重要な境界線を引いたことがこの「バットマン・ビギンズ」という作品をクローズ・アップさせた重要な切り札となった。マイケル・ガフは、1989年の「バットマン」以来、前作まで、ずっとウェイン家の執事としてブルースを支えていた最も重要な人物だ。実は、3作目の「バットマン・フォーエバー」等でも描かれている様に、今までにもブルース出生の秘密や、両親の悲劇は、何度となく取り上げられて来たが、あくまでも、ブルースの夢や回想の1シーンであって、どれも決定的な物ではなかった。そしてその出生、生い立ちの秘密を当然全部把握している人物として、このアルフレッド役は、根底でこのシリーズを支えてきた功労者である。その人物を「一掃」したことにより、この作品は、根本的にこれまでのしがらみを払拭する「新解釈」として登場した、全く別物の作品というコンセプトを映画ファンに意識付けすることに見事に成功したといえよう。したがってこの事前情報がプレスを通して正式に流出されたときには、他の「シリーズ物」と違い、筆者もバットマンの過去の作品を復習することは一度もなかった。そう、こちらも予備知識(といったって、スターウォーズ同様、このシリーズは過去作品の隅々まで知り尽くしているが・・・)を携えずにこの上映に気合を入れて望んだ。

まずは本編の感想からいうと、明らかに撮影技術の向上とその技術を惜しむことなく随所に生かしていることから、今までに無い屈強な主人公の誕生となった。特に、東洋武術を前向きに取り入れていることで、付帯的に主人公に精神力が芽生えさせた点を強調させられたところの効果は大きかった。又翻って、この作品は「ビギンズ」というタイトルが示す通り、バットマン誕生秘話も含んでいることから、今まで見たバットマンにもこの精神力が培っているのかとフィードバックする効果も筆者的には含まれていた。次にゴッサム・シティーの世界観については、どうしてもティム・バートンの映像に取り付かれてしまっているが、ティム監督の3作品には、ゴッサムという街が近未来的に感じられた物を、この作品では現代に置き換えた構図を作り上げた。つまりこの作品はファンタジーであると同時に、実際に現代の病巣を風刺した隠喩法作品であるという部分を強調したのである。さらに言えば、バットマンが武者修行をしていく過程での精神的なベースは、スターウォーズの「フォース」のそれと類似していて、米教育事情における知力鍛錬ブームを裏付けているとも言うよう。いずれにしても、これほどスーパーヒーローの内面の奥底までを掘り下げた作品というのは過去に例が無い。

もうひとつは、この作品が必要以上に過去の「バットマン」、特に第一作に忠実な点は歴史を証明し再構築する作業という観点から見ると大変興味深い。これも、やはり前述のスターウォーズの試みと共通するものがあり、既に出ている「結果」に対して、その検証を導くプロセスという考え方を論証するという方式を、奇しくもハリウッドの超大作が取り入れたという事実については興味津々である。これらは、21世紀に人類が改めて自らを問い、自らを裁き、自らを生成発展させるために最重要項目なのではないかと考えるのである。

そして、「バットマン」シリーズの色々スタッフやキャストが色々と代わって行く中、「スターウォーズ」の様にルーカスという生涯をこの作品に捧げた大黒柱の無い中で、単にアメコミの域を出てこの一大事業に現在でも取り組んでいることのスピリットに深い感銘を覚えるのである。
取分け、ワーナーブラザーズ社と、制作のベンジャミン・メルニカとマイケル・E・ウスラン、それにバットマンの生みの親である、故ボブ・ケインの3人の偉業に大きな拍手を送りたい。


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by turtoone | 2005-06-26 00:57 | 映画(は行)