暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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JFK ~My Collection~

b0046687_18443099.jpg最初にオスカーの話から入って恐縮だが、1991年の第64回アカデミー賞も筆者には大変納得の行かないものになった。この作品は、作品賞・監督賞を始めとして8部門にノミネートされたが、受賞したのは撮影賞と編集賞の2部門に留まり、作品賞・監督賞・主演男女優賞の主要部門は、ジョナサン・デミ監督の「羊たちの沈黙」 であった。別に「羊たち~」が悪いといっているのでは無く、あの作品も筆者の好きな領域であり、又作品の評価も高い。しかし、主要部門を独占してしまう内容というほどの作品では残念ながら無い。少なくとも、作品賞と監督賞はこの「JFK」だったと、未だに納得のいかない選考であった。これは筆者のよく言う「オスカーの良識」が機能してしまった結果に相違無い。要するに「JFK」に賞をやってはいけないということと、既に、「プラトーン」と「7月4日に生まれて」という2度の監督賞に輝いているオリバー・ストーンに3度目のオスカーを取られないという暗黙の了解である。それ程、この作品は当時としてはケネディ大統領暗殺の核心に迫るというセンセーショナルな内容であると同時に、飛ぶ鳥を落とす勢いであった同監督に対する牽制であったと言える。

劇場で公開された作品は180分の内容であったが、その後のソフト化に当たっては、ロードショウでは未公開だったシーンが追加され、ディレクターズカット特別編集版として作品は200分を超える物になった。原作は、この映画の主人公でもあるニューオリンズの地方検事、ジム・ギャリンソン著作によるもので、彼の唱える「共同謀議説」を中心に構成された。それゆえに、膨大な証拠資料や、数々の取材フィルム、実際にカットされたインタビュー等の素材は豊富である一方、この暗殺説に関してはあくまでも推論でしかなく、公開に関しては様々な物議を醸しながらも当然話題性は高く、オスカーのノミネートも選考委員という専門家の批評より、映画ファンのみならず、ケネディを回顧した世論を重視したいわば、国民の支持を重視したノミネートでもあった。

特に、後半の多くを占める法廷のシーンは圧巻で、過去にこれほどの迫力のある裁判物というのも見た事が無い。同時に、多くの"芸達者"な役者を贅沢に使い、ひとつひとつのシーンに重みを持たせる点でのオリバー・ストーンの演出も健在で、社会派意識を前面に出す一方で、映画という娯楽作品に仕立て上げた点の評価は大変高い作品である。筆者にとっては、同監督の最高作品である。特に、オスカーがこの2つの賞だけは他のどの作品にも振り分けられなかった、「撮影」と「編集」が示すように、暗殺当時のトーンを落とさず、どこまで実写に近づけるかを追求した撮影技術と、膨大なフィルムも実際映像と併せて見事に組み合わせて構成した編集技術に関しては、現在でもこれを越えることが出来るかどうか未知数である、ハリウッドの職人芸には感服する。

思えば、「プラトーン」で、ベトナム戦争の新事実を追及して表舞台に上がり、更にその新事実に芸術性を加味した「7月4日に生まれて」でオスカーハンターの常連になったこの監督も、本作品の様なある意味でアンタッチャブルなテーマを描くことによってハリウッドのサークルから外される傾向となった。事実、この作品以降、オリバー・ストーンはオスカーから遠くなったというだけでは無く、全くクオリティの高い作品というのを作れなくなってしまった。ベトナム戦争3部作の中では、美術的にはもっとも照準の高い「天と地」も、また、本作品同様政界の裏にメスを入れた「ニクソン」も、残念ながら中途半端な提言に終わってしまっている。最新作「アレキサンダー」に至っては、観るべきものすら無いに等しい。ドラマチックな言い方をすれば、オスカーに見出され、オスカーに葬られ(つつある・・・)監督ではないだろうかと思うと残念である。

オスカー批判がこのレビューの大半を占めてしまったが、筆者の中では、特Aランクで採点された作品だ。


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by turtoone | 2005-06-05 19:56 | 映画(さ行)