サイドウェイ
2005年 03月 26日
映画という物は、一回の鑑賞で全てを理解できるものでは無いというのが持論であり、毎回、前情報を元にどの部分を見ようかと決めるのであるが、正直、この作品は、「生情報」が多すぎて自分で「何処を見るか」決められなかった。生情報が多かったのは、特にオスカー情報を貰ったときの米在住の友人からが多く、彼らの中ではイチオシだった作品の鑑賞も区々だったので、だったらカリフォルニア・ワインの紹介映像程度に気楽に観ようと思った。タイトルもsideways(寄り道)だしと思っている内にいきなり主人公と親友は寄り道してしまうが、ここでいいオトナが親のお金をくすねてしまうシーンを観た瞬間、いや、待てよ、このsidewaysは「斜め」とか「横向き」の方じゃないかと、主人公を通した人間性を提言しているところを観た方が面白いんじゃないかと軌道修正した。鑑賞の途中で「鑑賞方針」を変えるという作品も近年では珍しい。
この方針は正解だった。筆者も大体、この作品の年齢層であるから、マイルス(ポール・ジアマッティ)の心境も、ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)の気持ちも大変良く理解できた。特にマイルスの心境は、そもそもこの旅の企画が親友の独身最後のなどと言いながらも自身の現実逃避旅行であるところだったり、親友に嘘を突き通すところ、また同時に親友の窮地を救うところというのは、殆どの部分で共感できた。
筆者も学生時代に、友人とふたりでクルマの旅に出たことがある。日本縦断の旅で、おおよそ1ヶ月を費やした。その間には色々なことがあったが、振り返ると信頼と友情というよりも、妥協と浪費の産物だったと思う。しかしそれを不定期的に打開するのが、若気の至りである、興味本位という奴だった。この作品ではその興味の対象が明らかに違うふたりであるが、だから1週間が限度だったのかも知れないし、逆に1週間持ったのかもしれない。筆者の経験から、この作品を観て、(余りいないと思うが)もし、友人とふたりで長期の旅に出ようとという計画を持ったとしたなら、それは是非中止されることをお薦めする。
最後にヴァージニア・マドセンについて、一言だけ。オスカーとGGでの助演女優賞はノミネートだけで終わったが、この作品で「全米批評家協会賞」等数々の受賞があり、見事な復帰をした。20代の前半は、所謂、「青春映画」のセクシー女優であったが、この作品で見事に知的なオトナを演じあげたことに拍手をもって賞賛したい。ベッド・シーンは無かったが作品の風潮からしてそれで良かった。この年齢でこの路線の女優は、正直ハリウッドでは常に不足気味である。今後は主演も増えることを望みたい。
しかし、ワインを飲んだままクルマの運転をしているが、アメリカでも随分飲酒運転には罰が厳しくなったのでは? 日本では絶対に考えられない。次回はDVDが出たら、それこそ自宅でカリフォルニア・ワインと共に楽しみたい。
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by turtoone
| 2005-03-26 15:53
| 映画(さ行)