暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ロング・エンゲージメント

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「アメリ」コンビが再び。それだけの理由で見に行った作品である。結論から先に言うと、素晴らしい、本当に見事で完成度の高い作品である。勿論「アメリ」も良かったが本作品はそれ以上である。どれくらい素晴らしいかというと、今年スクリーンで観た映画の中では、まだ採点をしていないから分からないが、「ネバーランド」以上かも知れない。更に言えば、筆者が今まで見た「戦争」をモチーフにした映画の中でも、「シンドラーのリスト」(この作品は筆者の中では別格ですから・・・)に次ぐ評価をしたい作品である。

冒頭から絶賛しているが、ネタバレなしでレビューを書くのには大変苦労する作品なので先に申し上げておくと、結末は殆どの皆様が想像されてい通りである。

なにから書いたら良いか難しいが、まずは、オドレイ・トトゥ。今回気づいたのは、彼女の存在は、監督やカメラ、美術のスタッフに様々なイマジネーションを与えることの出来る貴重な女優であるということである。「アメリ」でも、その魅力に世界中がファンになったが、それと同じで、恐らく彼女の存在が周りに与える影響は、映画を製作していく上で様々な発見があると思う。ヒロインを如何に美しく撮るか、ヒロインを中心に如何に素敵な映画を作れるかということ。これは、良く考えてみれば、フランス映画の伝統である。仏映画が世界に誇れる部分というのは以前はこの趣向であり、映画芸術であった。そういう意味では、この監督も制作スタッフも、全てその轍をきちんと踏んでいるということである。前回「アメリ」の大ヒットの根本は、フランス映画が基本に沿って作り上げたことの結果であるといえる。流石に芸術の国である。

ちなみに、スタッフだけでなく、キャストも良い。これもオドレイ・トトゥを中心に、俳優の「環」が出来上がっていると言える。

次に、構成と編集について。これも「アメリ」と同じ技法があらゆる場面で使われている。確かに、最初はこのカット・バックの多用や、二重・三重にフラッシュ・バックさせてしまうのはどうかと思ったが、要はこれは戦争映画では無い。戦争の悲惨さを訴えているとか、戦争から何を学ぶのかということではなく、テーマは「崇高な恋愛物語」である。その本筋をしっかりと堅持している限りは、逆にこういう技法が生きてくることに大変驚いた。同時に、ひとつひとつのエピソードの完結があるところが、この構成でも無理がなく自然に繋がっているのである。この脚本の構成と編集に関しては、筆者が考える限り、例えば100のプロットをどうやって順番に並べるかという発想からは出てこなくて、部屋中に100枚の紙片を投げ放って、ランダムに拾い集めた順番にストーリーを構築して偶然繋がったとしか思え無い。

そして、今回も色について。この作品は、セピアの使い方が巧妙である。しかし、それは奇麗にハケやブラシを掛けて引いた色でなく、バケツ一杯の絵の具をキャンバスに広げたような、不均衡な「美」を保っている。そのセピア地に対して、ヒロインの心境を反映した色遣いが、大自然の色、建物、機関車、自宅の庭、郵便配達の服など様々な色に調和させている。その表現力が素晴らしく、恐らく、台詞がなくこの色合いだけでも物語の大筋は理解できるであろう。そして、今回も特に「赤」色の表現が見事で、余り出てこない変わりに、絶妙にヒロインの心境とリンクしている。「アメリ」のように、「色」を前面に出す箇所は少ないが、きちんと作品の押さえになっている。この感覚もフランス映画ならではである。

ラストも絶妙である。

総じて、この作品は、仏映画の高い芸術性と伝統の継承でもあるが、同時に、ハリウッド映画が失ってしまったこと、忘れていることを全て持っている作品である。筆者もこの作品を一度みただけでは到底全てを理解できない。本当にこの作品には、物語よりも、演出、脚本、撮影、美術、効果などの細部にわたり、見るべき箇所がたくさんある作品である。公開中にもう何回か、そしてDVDが出たら、何度も観たいと思う。

「アメリ」ファンには勿論、より多くの方に、何度も観て欲しい。


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by turtoone | 2005-03-19 17:51 | 映画(ら行)