暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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Ray/レイ

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ここまで、ゴールデン・グローブ賞のコメディ部門・主演男優賞獲得を初め、全米批評家協会賞・放送映画批評家協会賞の主演男優賞等、賞レースでジェイミー・フォックスの演技は高い評価を受けている。しかしながら、一方で作品賞に関しては、受賞は愚かオスカー以外には、ノミネートすらされていないのが実情であった。今回、この作品を見ることが出来、その意味が大変良くわかった。

まず、作品全体に関して言えば、可也、単調である。というか、山場になるところが全くない。例えば、「フォレスト・ガンプ」なんかもそういう意味ではそうなのだが、あの作品は「短編集」的なところがあり、沢山の完結した話を繋いでいるから、ヤマはそれなりに来る。それとテンポが速いことと、SFXという超オマケ付きだったら、飽きなかったし、評価も高かった。この映画にはそういうところは全く無い。

次に、「人物伝」というカテゴリーで見ても、過去の「名作」に比べると可也見劣りする。例えば、同じ黒人でいえば「マルコムX」では、デンゼル・ワシントンの大小を使い分ける演技の妙に比べると、残念ながら比較にならない。それは多分に、ジェイミー・フォックスが殆どの場面で「サングラス」をかけているから、目の演技が出来ず、こちらに伝わってこなかったのだと分析する。映画俳優にとって、「目の演技」がいかに重要か、この作品を通して理解できた。又、例えば、他の作品、「ガンジー」とか「アマデウス」(こういうオスカー受賞作と比較してはいけないのかも知れないが、この作品もオスカー作品候補なので・・・)と比べてしまうと、正直なところ、相当物足りなかった。これは、鑑賞前の期待が大き過ぎたのかもしれない。

敢えていえば救われていたのは音楽であるが、これも逆効果だったのは、ジェイミーは生前のレイ・チャールズから直接指導を受けているというが、これが映画作品を作る上で仇になった。確かにレイに似ているが、これは単に、レイの物まねであって、ジェイミーの芸では無いということ。物まねだけだったら、全米中探せば、もっとレイに似ている人が居るだろうから、その方が良かった。寧ろ、レイが音楽に託した人間性を前面に出して欲しかった。その上でサングラスと、直々のご指導は邪魔だった。CMや予告編のカットだけなら、レイに良く似せていると思えたが、流石に2時間30分も付き合うと、一応、偉大なる音楽家として尊敬に値するレイ・チャールズに失礼だと感じた。ジェイミーは以前から好きなコメディアンであったが、「コラテラル」は良かったのに、今回は器用過ぎるのが仇になった格好だ。

もうひとつ、この映画は、幼少の頃の「毅然とした母の指導」と「弟のこと」という二大要因をフラッシュ・バックを用いてカット的に使った。これが一度や二度でなく、見ているうちに、どういう場面で使うかのパターンがわかってしまったために、この映画の主題であり、オチである少年時代のトラウマの正体が映画半ばで、観客に分かってしまった。ネタバレしてしまうのである。しかし、そうなると、彼がドラッグや家庭で悩んでいる部分が全部「興冷め」してしまい、後半は本当に早く終わって欲しいと思った。

この映画の作成中、レイ・チャールズは生きていた(そうでなくても映像は数多い)のだから、例えば、歌の部分は本人の映像(わざとモノクロとかセピアにして逆効果を狙う)にするとか、幼少はフラッシュ・バックを度々、用いるのでなく、最初か途中のどこかで纏めて処理してしまった方が、観客に本当にレイが悩んだことを的確に伝えられただけに、残念な構成だ。この作品、脚本や効果に関しては評価が出来ない。

又、不安なのは、ジェイミーの今後である。「コラテラル」と公開が逆だったら評価も出来たが、このレイのイメージ壊すのは大変だと思う。かのオスカー俳優、ベン・キングレーにしても未だにガンジーを払拭していないとする映画ファンもたくさんいる。

一言でいうと、レイ・チャールズはソウルの神様として余りにも有名過ぎた。その彼の映画を作るのに、音楽とクスリとトラウマとオンナでは、余りに一般的過ぎて現在、アメリカ人の多くが抱えている悩みや生活の一部と一緒であって、一般人と同じ土壌で語ろうとすること自体の作品コンセプトが甘かったといえる。もう少し、中身を凝縮し、(例えばラストをかの名曲に持っていくのなら、そのストーリーだけを追うとか、ビッグになる前の彼だけを描くとか)彼の人生を通して、何が一番言いたかったのかを明確にしなければ、どんな有名人を扱った作品でも、その感動は人には伝わらない。

そして、筆者には期待も大きかったのかも知れないが、全く伝わらなかった。これだったら家でレイ・チャールズの「レコード」に「針」を落としていた方が充実したひとときを過ごせたと思う。


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by turtoone | 2005-02-05 21:24 | 映画(ら行)